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11 冒険者ギルド

 しばらく歩くと、剣と盾のマークが描かれている旗が付いた建物を見つけた。


「あの建物かな」

「そうじゃないかしら」


 大きくて頑丈そうな建物だ。ここら辺で一番大きいな。聞いた通りに歩いてきたし、武器を持ったガタイのいい男たちが出てきたので、おそらく間違いないだろう。



「よし、いくぞー」

「おおー」


 中に入ると、一斉に視線がこっちに向いた。結構な人数の冒険者がいる。そういう時間なのかな。

 レティが少し気圧されたけど、すぐに立ち直り、受付に向かった。わたしもそれについて行く。

 中は意外ときれいだが、酒場も兼ねているらしく、お酒臭い。鼻がいいので正直あんまり長居したくない。

 むさくるしい男ばかりだけど、受付は綺麗なお姉さんだ。ベテランの雰囲気がある。


「こんにちは。冒険者ギルドは初めてですか?」

「うん。冒険者登録と、従魔証がほしい」

「わかりました。ではまず、冒険者ギルドの説明をいたしますね」

「うん」


「冒険者ギルドに登録しますと、ランクが付けられます。Gランクから始まり、F、E、D、C、B、Aと上がっていき、次にSランクとなります。たくさんの依頼をこなさないとランクは上がりません。ランクが上がるごとに依頼は難しくなりますので、無理はしないようにしてください」


 まあ、Sランクなんて遠い夢よね。


「受けられる依頼は、現在のランクと同じランクのもの、それと1つ上のものになります。Gランクの方は半年以内にFランクへと昇格しないと、冒険者登録を剥奪することになりますので、ご注意ください」


 見込みなしって判断されるのね。どれくらいでランク上がるのかしら。


「依頼はあちらのボードに貼られた紙に書かれていますので、できそうな依頼がありましたら紙をはがしてこちらまで持ってきてください。その際、後程渡すギルドカードも一緒に提出してください。依頼を受ける処理をします」


 横の壁に大きなボードがあり、そこにちらほらと依頼の書かれた紙が貼ってある。

 少ないのは、今の時間だと一通り持って行かれた後だからだろう。


「依頼を完了したら、依頼完了の証拠品と共に、ここの受付に戻ってきてください。依頼完了の処理をします」


 さっきから他の受付に行っているのがその依頼完了した冒険者かね。


「常設依頼というのもあります。その場合は貼り紙を剥がさず、受付に寄る必要もありません。納品するものだけ持ってきてください。それと、討伐依頼ではないけれど、魔物の素材を売りたい場合は隣のカウンターにお願いします」


 他にも緊急時の招集とか、一定期間依頼を受けないと冒険者登録を抹消されるとか、カードなくさないでねとか、細かい説明をされた。


「最後に、二階に資料室があります。冒険者であれば自由に使えますのでよろしければご利用ください。何か質問はありますか?」

「平気」


 ちゃんと聞いてたみたいね。まあ、わからなければまた聞けばいい。



「では、こちらの用紙に必要事項を記入してください。必要でしたら代筆いたしますが」

「だいじょうぶ」


 レティは書類を受け取って書き始める。本が読めるんだ。字だって書ける。

 ちなみにわたしは読めるし書ける。神の情けか、最初からできたのだ。素直にありがたかった。

 大人しく待っていると、後ろで声がした。


「あんなガキが冒険者かよ」

「デカイ魔物だな。暴れたりしないのか?」

「あれちゃんと言うこと聞かせられてんのか?」


 とか聞こえる。

 レティにも聞こえているんだろう、眉間にしわが寄っている。

 可愛い子がそんな顔しちゃダメよ!



「書けたよ」

「はい、確認しますね…。はい、大丈夫です。只今カードと従魔証をお持ちしますので少々お待ちください」


 そういって受付のお姉さんは席を立った。

 大人しく待っていると、


「よお嬢ちゃん。そこの魔物は嬢ちゃんのペットか?」


 ガタイのいい強面の男がニヤニヤしながら話しかけてきた。

 やっぱりいるのかこういう人。その顔腹立つな。


「シュガーは友達。ペットじゃない」


 レティが負けずに言い返した。なんて勇ましいのかしら。やっぱり天使ね!


「はっはっは!! 魔物と友達とはめでてーな!」


 この人ちょっとお酒臭いな。酔ってるのかな。

 周りにも笑っている人がいる。そんなにおかしいかね?

 イライラするからやめてほしい。


「あなたには関係ない」


 強気のレティもいいわね。格好いいわ。


「おいおい、こいつが暴れたら誰が殺すんだ? 関係ないわけないだろ」

「シュガーはそんなことしない」

「はっ。所詮は魔物だろ」


 そういって男はわたしを小突いてきた。

 殺そう。


「シュガーに触らないで」

「飼い主なら守ってみろよ。ああ、守られる側か。はっはっは!」


 レティが怒ってる。怒ってても可愛いなあ。


「シュガー平気?」


 そう聞きながら小突かれたところをさすってくれる。優しいなあ。

 答えるために鼻でスリスリする。

 レティはくすぐったそうにして笑っている。やっぱり笑顔が一番ね。

 レティの笑顔を見ていれば、まだ我慢できる。


「冒険者ギルドに似つかわしくない光景だなあ!」


 この人まだいたのか。暇なのかね。仕事しろよ。

 受付さん早く戻ってこないかな。

 早くしないと朝のフラストレーションを消化できていなかったわたしが大暴れするよ。



「ちょっと、やめな」


 ん?

 後ろからお姉さんらしき人の声がした。

 振り返ってみると、黒髪のお姉さんが男に向かって注意している。

 あ! 頭に! 耳が!

 獣人ってやつかな。


 しかも強い。


「こんな子供にちょっかい出して、恥ずかしくないのか?」

「ああ? 獣風情が。邪魔すんじゃねーよ」

「お、おい、やめとけ!」


 酔っ払いの仲間かな。止めに入ってる。いるならもっと早く止めに来てほしいものだ。

 てか、お姉さん露出多いな。端的に言ってエロい。お腹とか思いっきりさらけ出しちゃってますよ!


「おいあれって…」

「Bランクの…」


 もしかしてこの獣人のお姉さんは有名なのかな。

 それにしても冒険者ギルドって物騒だね。


「お待たせしました」


 あ、受付さんが戻ってきた。

 後ろで起こっている口論には触れない。


「こちらがギルドカードです」


 なんか石版に置かれた状態で出てきた。

 どういうこと。


「こちらに魔力を流してください。それで登録は完了です」


 ああ、そういうことか。ファンタジーってなんでもありよね。

 レティが魔力を流すと、石版が光る。光が消えると、カードを渡される。


「それと、こっちが従魔証です」


 首輪…え、あれ付けるの。


「この首輪はサイズ変更が可能な魔道具なので、付けている間は身体の大きさに合わせて首輪のサイズが変化します」


 ああ、いきなりでかくなっても大丈夫ってことね。すごい首輪だな。結構大きさの変わる魔物っているのかもね。

 レティは首輪を受け取った。


「シュガー、はい」


 首輪つけるから頭下げろってことね。

 渋々下げたけど、普通につけられた。


「それと」


 受付さんが後ろの口論をちらりと見て言う。


「冒険者同士の諍いにはギルド側は基本中立の立場なので、注意してくださいね」

「わかった」


 レティがその場を離れようとしたので、小声で話しかける。


「従魔が止まれそうな宿について聞いといたら?」

「あ、そっか」


 受付のお姉さんに聞いたら、この通りをすすんだところにある宿が従魔も泊まれるそうだ。

 あとで行ってみようかね。



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