アニメ・漫画オタク女子は三次でも面食い説
タイトルからお察しの通り女性に対して失礼な話になってしまうだろうが、非モテ男の戯言としてご容赦頂きたい。
非モテに限らず、男性に限らず、誰しも「面食い」の異性は嫌だろう。
勿論、私たちに視力がある限り、容姿の良い相手を好ましく思う事からは逃れられない。「見た目なんてどうでもいい」なんていう奴ほど信用できないだろう。第一印象に大きく寄与する見た目が、恋愛において本当の意味で関係しないはずはなく、あとは各人の考慮要素においての比重、あるいは顔面偏差値の許容限度に差があるだけだ。
とはいえ、見た目に大きく比重を置くような相手は、やはり好ましく思いにくいだろう。「人は中身」という建前や劣等感を抜きにしても、外見にばかり関心を持つ短慮への忌避感として、それこそ自分の見た目に自信がある人であっても、顔ばかりで選ぶような相手は嫌なはずだ。
一方で、美少女アニメのヒロインたちは大抵そういった心配がない。それどころか、我々の劣等感を刺激しないように男と一切関わらないか、主人公が男なら恋愛未経験で主人公一筋といった、安心安全処女設計だ。時にはイケメンをフッてクラスカースト最下位の主人公に惚れてくれる。
あえて言おう、私はそんな女の子が大好きだ。
「イケメンに興味が無い」ような女の子なんているはずがないと、頭でわかっていても、やはりそうであってほしいものだ。非モテフレンズ諸君らも、同じ気持ちでいてくれているはずだ。
しかし、私はここであえて警告しよう、一見すると我々を理解してくれそうな女性が、実は我々の理想から最もかけ離れた存在であるかもしれないのだと。アニメや漫画が好きな女性は、平均よりも「面食い」なのではないかと。
アニメ趣味の男性、その中でもいわゆる非リア寄りの方々は特に、多く自分の趣味に理解のある女性と交際したいと思うことだろう。
昔に比べれば、若い女性はアニメ趣味の男性に対し理解を示すようになったのだろうが、それでも女の子ばかり出てくる男の妄想丸出しなアニメなどもまだまだ多い中、アニメが好きだと公言するのはやはり抵抗がある。そんな中で、漫画やアニメが趣味だという女性は、同類というか、アニメオタクだからといって差別しないだろうと期待や、単に趣味のジャンルが同じとして親近感を抱かせてくれる。少なくとも、アニメなど馬鹿にしていそうなアウトドア派っぽい女性などよりは、馬が合いそうだ。趣味だけで見れば、相対的には魅力的に見えるだろう。
しかし、趣味が近いからと言って、内面まで私たちの理想とする女性であるとは限らない。我々男は妄想の奴隷だ、一つ自分の期待に適えば、他の多くの期待にも適う存在なのではないかと、少なくとも無意識的に期待してしまう。
そこで、一旦はそういった思い込みから離れてみよう。まず、当然ながら、アニメ・漫画が好きだからといって”三次元の”「イケメンに興味が無い」などということはない。
では逆に、疑ってみてはどうだろうか。アニメ・漫画が好きである事と、”三次元のイケメン”が好きである事との間に、一定の関係性が見出せないかを考えてみるのだ。そこに繋がりがあるとするならば、二次キャラの容姿に注目するしかないだろう。ただし、女性は女性でイケメンキャラが好きだから、三次元でもイケメン好きというような簡単な話をしたいわけではない。三次元のイケメンと二次元のイケメンとで、比較して考えてみるのだ。
そうやって考えてみると、二次元イケメンが、三次イケメンとそれなりに容姿として近い事がわかる。というのも、二次元美少女の場合と比べると、二次元イケメンというのは明らかに三次元に近いのである。
多くの場合、二次元美少女キャラたちは、大抵の場合、三次元とは大きく乖離したデフォルメがなされている。要するに、二次元美少女は目がデカい。実際にはアニメのように目が大きい人間はいないし、いたとしてもバランスとして不自然であり、おそらく美人にはならないだろう。
対して、二次元イケメンの場合、切れ長の目・通った鼻筋が、実際の人間の顔のバランスの範囲内で表現され、少なくとも二次元美少女よりは、三次元から乖離していない場合が多い。「美少年」的キャラが女性キャラに近いデフォルメとして目が大きくなる場合もあるし、画風に左右されることもあるが、少なくとも傾向として典型的なイケメンキャラが三次元のイケメンと近くなる事は理解してもらえるだろう。
特に、女性向けとか、あるいは腐向けとか言われるアニメでは、特にそのように描かれる事がほとんどである。多くの二次元イケメンは、人間の顔から極端な乖離はしていないのである。
それに、「イケメン」として設定されていなくとも、二次元は「イケメン」らしきキャラとそうでないキャラの違いがわかりやすい。
女性キャラの場合は、ネタキャラとかモブでない限り、(あるいはモブでさえ)大抵は似たようなデフォルメがされ、どれくらい美少女なのかは作中の設定や他のキャラの反応からしか察することが出来ない事が多い。しかし、男性キャラの場合、特に少年漫画とかの場合は、イケメンのデザインが比較的わかりやすい。悟空とトランクス、どちらがイケメンとして描かれているのかは明らかだろう。また、そうしたイケメンキャラの方が、そうでないキャラに比べて「極端なデフォルメ」が少ない。そして、女性読者の人気を集めやすいのも、そうした「デフォルメの少ないキャラ」である。丸い目のルフィより、目に丸みの少ないゾロやサンジの方が女性読者人気も高い。
さらに言えば、「イケメン」かどうかよりも、単に「デフォルメの少ない」キャラが女性人気を集める傾向さえうかがえる。
例えば、『進撃の巨人』のリヴァイ兵長は、あの男性キャラのラインナップでは、イケメンとして描かれてはいないように思えるが、一番女性人気があるようだ。勿論、キャラクターの立ち位置も関係はしているだろうが、「(比較的には)デフォルメが少ない」という要素を備えている。
進撃に限らず、ワンピのゾロ・サンジとか、ナルトのサスケとか、テニプリの跡部とか、銀魂の土方とか、イケメン設定の有無に関わらず、切れ長+三白眼が単に女子に受けるデザインであるのかもしれない。とはいえ、これらのキャラが各作品内の他の登場人物の中では、「二次元的なデカい目」を持たない、「極端なデフォルメの少ない」キャラであることも事実だ。
なお、少し前から流行り出した「塩顔イケメン」は、こうした二次元イケメンと類似性が感じられる。いわばアニメ顔のイケメンだ。アニメ顔の美少女など現実にはいないのに、アニメ顔のイケメンは現実にもいるのである。漫画・アニメで形成された二次元における「イケメン」のイメージが三次元のイケメンとして逆輸入されたのではないかと私は考えている。鶏が先か卵が先かはともかく、今や三次と二次のイケメンには明らかな同一性が見られる。
こうした傾向から察するに、アニメ・漫画のキャラの見た目に対して、我々男はほとんど三次元との同一性を求めていないのに対して、女性はむしろ三次イケメンに近い見た目のキャラを好みやすい。言い換えれば、三次元と二次元が、完全に区別できないのである。
そこから、私が懸念として、あるいは仮説として主張するのは、顔面偏差値の水準に影響を与えるのではないかということだ。
イケメンが好きだからアニメを観ているとまでは言わずとも、漫画・アニメを観ていれば、顔面への評価が厳しくなっていく可能性がある。
男の場合は、いくら美少女アニメを観ていようと、先にも述べたように大抵は女性の顔が実際の人間の顔とかけ離れているので、三次元における顔面偏差値判定にはそれほど影響しないと思われる。少なくとも、アニメキャラと同じようなバランスの顔を三次元に求めるようなことはない。
しかし、女性の場合は、アニメを観ていれば、そのままとまではいかずとも、顔のパーツのバランスとかのレベルにおいては、三次元でもイケメンになるような顔がたくさん目に入るし、好みのキャラに近い顔が三次元的にもイケメンになり得るのである。
そうなると、三次元においても、顔面偏差値の許容限度が厳しい、いわば「面食い」になってしまうのではないだろうか。我々と同類だと思っていたアニメ好きな女の子たちほど、かえって三次元でもイケメンが大好きなのではないか。現実を知るアウトドア派の女性の方が、顔面偏差値の許容限度がかえって低くなるのではないか。
もちろん皆がそうだとは言わないし、これ自体私の思い込みかもしれないが、そういう見方もできるということだ。
世の非モテフレンズ諸君、アニメに理解がある女性だからといって安心してはいけない、現実が非情であることを忘れてはならないのだ。やはり三次元はクソ、信じられるのは二次元だけだという事を踏まえて世界と向き合わなければならない。