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一四話 切られし争いの口火

アルサヒネ歴 八六五年一〇月二一日

月村蒼一は異世界で仕事をする⑭


 僕とグラシューの二人はウルフ達と手を組み、S級クエスターであるノヴァさんが率いるゴルシ派クエスター集団と、一戦を交えることとなった。


 こちらはアージェントウルフが一〇頭と、それを率いるリーダーのオーロウルフのダルムが一頭。そして、クエスターである僕とグラシュー二人を合わせた総勢一三名。


 あちらは総勢二四名のクエスター集団。全員がバッジを付けており、C級以上の位を持っているのは明白で、それなりに質の高い人材を用意してきていることが窺えた。僕らはそんな強豪クエスターに対し、同時に二人は相手にしなければならず、苦戦を強いられることは目に見えていた。


 そんな状況にも関わらず、僕はなぜか恐怖心が無かった。命を落とすやもしれない局面に立ち入っているのにも関わらず、寧ろ気持ちが高揚していた。グラシューにもなぜテンションが高いのかと問われたが、自分でもその理由がよく分からなかった。


 戦いの口火が切って落とされた。


 双方の軍勢は、薄暗い草原を駆け始めた。


 グラシューは真っ先にノヴァさんの下へ向かい、刃を交えた。


 半年間続いている因縁の対決。


 それに終止符を打とうということか。


 その間柄に僕が口を挟むのは言語道断。


 彼らの闘いに関し、僕は遠くから見守ることにした。


「よう、若いの。暇そうならオレ達が遊んでやろうか?」


 気付けば、三人のクエスター達が僕を包囲していた。


 僕は彼らのバッジを見た。


 三人ともブロンズのバッジを身に付けており、C級だということ、つまり、相手の軍勢の中では最も格下の部類であることが察知できる。


 僕がこちら側の戦力として、一番低いと見られたか。


 たしかに、僕はバッジなど付けるに値しない、デビューしたばかりのクエスター。効率的に、且つ確実に相手の戦力を削いでいくには、戦力の低い駒に僕を当てることは理に適っている。


 とはいえ、そんな僕に対して三人もの駒を要す点は、解せないところである。


「C級のみなさんが、僕のような低級クエスターを三人がかりで襲うとは、随分慎重ですね」


 僕は微笑を浮かべ、皮肉を込めて彼らに向かって言った。


「お前のようなガキ相手に、三人も要らねえのはわかってるよ。ただ、これはリーダーの命令だ。何でかはわからねえが、大人しく観念するんだな」


「リーダーの命令⋯⋯?」


 僕はそう言われ、グラシューと激しく攻防しているノヴァさんを見た。


 彼は華麗にグラシューの攻撃を捌きつつ、こちらをチラチラと確認しているように見えた。


「ふーん、そういうことですか」


 ノヴァさんは、僕のことを多からず警戒しているようだ。


 とりあえず、戦力として削られてもそれほど痛手にならない彼ら三人を相手にさせ、様子を見ようという魂胆であろう。


 僕は三人の顔を見回し、短剣を引き抜いた。


「悪いけど、僕もそんな暇じゃありませんので。早々にケリをつけさせて頂きますね!」


「何だって⋯⋯?」


 呟く彼らが構えを取る前に、僕は即座にリスヴァーグを三発放った。


「ぐぎゃああああっ!」


 三人は剣圧を浴びると、数十メートルほど先に吹き飛んでいた。


 そして、彼らは起き上がることなく、地に伏したままでいた。


 しきりにこちらを確認していたノヴァさんは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。


 僕はすぐに気持ちを切り替え、次のターゲットを探した。

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