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プールで待つ少女

作者: スポック

待ち人


夏の月明かりの下

髪飾りを星屑のように輝かせながら

少女はプールサイドで 彼の優しい瞳を待つ

ふるえる胸を 手でしっかりと押さえている

水面を見つめるその眼は まるで愛しい男を見るよう


少女の手は波と共に 大きく揺れる

そして誰も来ない入り口を見つめる

「私の想いを ジョークにしないで」

そっとつぶやく


たった一人

虚ろな眼は泳いでいるかのよう

まるで白昼夢を見ているかのように

そのまま悲しげに頭を振る


彼のために買った花柄の水着

華やかさとは反対に 少女の顔は悲しげ

胸を痛めたように 顔をしかめる


冷たい水辺を そっとつかり

彼が待っているかのごとく 必死に泳ぎだす


不意に立ち止まり 顔に切なさを浮かべている

「なぜ なぜ あなたじゃなきゃダメなの」

そっとつぶやく


そして再び泳ぎだす

誰もいない プールサイドに向かって…

----------------

再会


月が少し東へ傾いても 少女はまだ待っていた

突然すっと両手を降ろした

入り口のぼんやりした人影を見つめている


少女の拳はブルブルと震えはじめた

「来て、くれたの…?」

途切れながらつぶやき、リスのような黒目を見開いた

まるで夢を見ているかのように ちぎれそうに手を振り出す


少女の顔は笑顔でいっぱい

その華やかさは 水着にも負けなかった

安心したように 頬を緩める


早速水着に着替える二人

待ちかねたように 並んで泳ぎだす


不意に立ち止まって彼を引き止める 

「あなたじゃなきゃダメなの」

そういってギュッと抱きついた


そして再び泳ぎだす

二人を待つプールサイドに向かって…


初投稿のスポックといいます。

甘酸っぱい青春をイメージしてみました

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