終わりの構築[3]
廊下を歩くこと数分の後一つの研究室前に着く。
第四研究室。機械の製造、修理等を主に行い、各研究室からのアイデア、依頼が最も集まる場所。
男は研究室前の扉にある掌紋認識システムを強く押し、研究室内に入った。
「ちょっと主任。力入れすぎです。扉が軋む音が聞こえましたよ。」
室内に入ると共に聞こえてきた女性の声。目を向けると彼女は手元のパソコンをいじりながらこちらに話しかけていた。
黒い髪を一つにまとめ、メガネを掛けている。顔立ちは整っていて、綺麗な声質。世間で言う『美人』だ。
「はぁ…。こちとら寝不足なんでね。それにイヴで休みなのに急に呼び出されたんだ。多少は多目に見てくれんかねぇ。神崎くん。」
男は苛立ちを抑え、そう言った。すると彼女はこちらに顔を向け、半眼で、
「呼び出されたのはあなただけじゃないんですからね。」
と、こちらを一瞥する。
彼女の顔をよく見ると、目元の隈を軽く化粧で隠していて、唇はカサカサに乾いていた。
男はそれを見た後、申し訳なく思い、頭を掻きながら「すまん」と一言だけ言った。
「こちらこそすみませんでした。少しイライラしていたもので…」
彼女に悪気が無いことはわかった。自分と同じ状況だったのだから。
「そっちの資料はどんな感じ?まとまったか?」
「朝一で連絡が来たんですよ?ある程度終わっててもまだですよ。どっかの誰かが、自宅でも仕事しなければ、ねぇ?」
チラッとこちらを見る。再び「すまん」と一言。
「いいですよ、もう。終わりましたし。」
彼女はゆっくりと席を立ち、扉の前の男の前に立つ。
「主任。行きましょうか。最終調整に。」




