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第一回、国家現状会議

 やはり今のわたしはあまりにこの世界について知らない、シオンに知る限りのこの世界の情報を聞くことにする。シオンはかなり大雑把なつくりの地図をだして周辺地理の説明をはじめる。


「前にも言いましたがわたし達はノルト大陸のここ突き出た半島のここら辺にいるのだと思います」


 ちょうどグッドサインを横にしたような形をしたノルト大陸。

その北東に親指の様に突き出た大きい半島があり付け根の真ん中ぐらいにわたし達の村があるそうだ。

村から西に行くとマカイ王国という魔族が主な国があるそうだが、内情はバラバラで完全に戦国時代で冷戦後のアフリカばりのヒャッハーワールドらしい。


 現状、この国で係わりを持ちそうなのは東部一帯を支配しているスレイジ公とその寄子で一応境界が接しているピュース伯爵ぐらいだそうだが⋯⋯⋯はっきり言って関わり合いになりたくない。


 そしてマカイ王国の南に人間達が主であるマルク帝国があるらしい。

こちらは比較的王の権力が強く家臣に対して命令を下すことが出来る様だ。

まあその内実は宮廷闘争でドロドロらしいが、何か聞いているだけで夢がなくなる話だ



「まあ、マカイは魔族至上主義でマルク帝国は人間至上主義ってところですわね。帝国の方がやや技術で先行してますがマカイも種族自体の強さや戦闘力で食いついている感じですわね」


 

 そして最悪な事にわが村はこの両国と国境線を接しているらしい。最悪過ぎてめまいがしてきた。

ちなみにシオン達は人差し指のあたり東にある島国ベネク共和国から来たそうだ。

ベネクは商人たちの国で、マカイと帝国の両国・・と交易するなど幅広く手を伸ばしているらしい。

聞いているだけで油断できなさそうな国だ。

商売独占したいし、あんまり関わり合いになりたくないな~



 交易もやめてさらに奥地に引っ込んでガチの鎖国体制にでも突入するか? 

などと一瞬血迷うが、現状でもほとんどサバイバリャー生活なのでこれ以上生活の質を落としたくない。

砂糖の生産拡大と品質向上は続けるとして、両国とベネク共和国に首を吊るされないように祈るしかない。



「マオさん聞いてます?」

「ああ、どうやって自給自足生活しながら左団扇のロハススタイルで生活するかって議題でしょ」

「全然違いますよ、だいたいロハスってなんですの?」

「知らん! だいたいなんなのよこの村、結構やばめな場所にあるじゃない」

「まあ、マカイはいずれ接触があるかもしれませんがマルク帝国とは当分接触することもありませんよ。砂糖の事など黙っておけばわかりませんし、わざわざあの大山塊を越えてやって来るとは思えませんわ」



 今の村は精々、ゴブリンが弓と雑多な槍で武装しているだけでほぼ非武装と変わらない状態である。

まあ、100人そこらの村なので30人ほどを防衛戦力に回すのがやっとというのが現実だ。

スケルトン達を武装させても体重が全く足りないので白兵戦力としてはいささか心元ない。

わたしが直接命令しているようなものだからビビッて逃げ出すことは無いと言うのが救いではあるが⋯⋯

本格的に戦争になれば間違いなく即、滅亡である。



「そう願いたいもんだけどね。金がたまってくるとどうなるかは分からないし」

「まあ、そうですが⋯⋯今は気にしても仕方ないのではないですの?」

「そうね、いま必要なのは”鉄”よ”鉄”石で作った斧じゃまともに開拓なんてできんわ」

「残念ですけど今のわたくしの立場ではまとまった量の鉄資源を確保するのは困難ですわ」



 やはり鉄はそんなにポンポン手に入る代物ではないらしい。

地球の歴史でも鉄、とりわけ鋼鉄は超高級品で金とほぼ同じ価値で取引された時代すらあったという。

商人としての手管を教育されているとはいえ商会から脱走しているシオンでは手に入れられそうにもないらしい。まあ現状ではその金もないが⋯⋯⋯


 はっきり言ってこんな逃散農民ばかりの村では十分な武装を施すなど不可能なのだ。

まだ製糖事業は始まってすらいないわけで金はない。

金がないので学力もない、魅力もない。兵力もないから政治力もない。

金がないのは国家としては死んでいるも同然ですな

この村を国家と言えるレベルまで強化するのは難事業である。


 だがやってやろうじゃないか。

当面の目標は決まった! 開拓を進める為に鉄を確保して忌々しいクソ自然を農場に変えるのだ!!?

大量生産した砂糖でタップリ稼いであれやこれや行う。まさに夢がヒロガリング。


「鉄はまあ私の方で何とかするわ。シオン、あなたはもうちょっと周辺の情勢を詳しく仕入れてきて」




 シオンがパーキンスを連れて執務室から退出する。

部屋には誰もいなくなり広さだけはそれなりにある部屋にただ一人となる。

わたしは部屋に誰も入れないようにしてわたしだけが見ることが出来る従者に声をかける。


「コンヒューマ、今の村人の状況はどんな感じなの?」


何もない虚空からおどけた雰囲気の胡散臭い男が出てくる。


「取りあえず、マオ様に従う事には異議はないと言った感じですか」

「⋯⋯⋯にわかには信じられないわね。ほとんど掘っ立て小屋に住んでいるようなものよ。食糧だって満足に分配できてるわけじゃない。そして得体のしれないこんな小娘に従う? なぜ?」

「さあ? それは私にはわかりかねます。しかし貴女はこの村では一番兵力がある、未来を見据えて決断が出来る。それでいいんじゃないですか?」

「そう⋯⋯」


 わたしはどうでもい事を先に聞いた。

そんな事は砦から出ればわかるし、いつも見ているのだから。

コンヒューマはそんな事しか教えてはくれない。

ゴブリンたちがどんなことを喋っていたとかそんな事だ、でもわたしの前では絶対に喋らないこともある。

わたしが知りたいのはそれだ。


「わたしが、シオンを重宝している事に不満を感じているのは?」

「人それぞれといった感じですね~自分たちでは交易や諜報など出来ないのだから何も考えない。人間の助けなど借りたくない。まあ今すぐ手を出そうとか考えているのはいないようですが」

「そう⋯⋯⋯⋯」


 単純に拡張したり能力ある人間を重宝したりし過ぎると民族問題が噴出して死ぬはめになると⋯⋯⋯

アンデッドにあるのか知らんがマジでポンポン痛くなってきた。

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