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GothiPico ようこそ、地上の楽園へ  作者: 岡座 道糞
高度成長時代 名付けて大躍進!
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戦乱の足音

今回はマオの領地と関係のないマカイと帝国の殴り合いです。

 マカイと帝国の国境、平原地帯にて。

スレイジ公の息子であるバール・スレイジは父親であるハンマから5万の軍勢を預かり

帝国軍の軍勢15万と対陣していた。場はまさに平原、馬の進撃を遮る森もなく岩場もない、高低差すらない絶妙な地形である。


 帝国の軍勢は長槍を主体とする歩兵部隊が10万で騎馬部隊は5万であるのに対して、バールの軍勢は7万全てが弓騎兵などの軽騎兵かハンマ自慢の精鋭重騎兵であった。ハンマはこの軍勢を使い様々局面を切り抜けてきたまさに最強軍団である。


 対する帝国軍はなるほど数こそスレイジ軍より多い物の歩兵の大半は動員兵で練度も士気も低い、槍兵の数は揃っているが弓兵の数はそれほどはない。


 しかし騎馬軍団の数は劣るものの帝国の誇る最精鋭部隊でなのだ、普通なら勝てる戦況である。

敵国軍の大将は全軍に号令を発する。


「小癪な騎馬民族どもを叩き潰すぞ! 歩兵隊を前に!!」


 歩兵隊を少しずつ前進させ、好機を見て騎馬軍団を突撃させ敵軍団を打ち破るのが将軍の策であった。

この戦闘はマカイからの定期的な侵攻であり、攻めてくる時期も分かっている。戦闘に合わせて騎馬軍団の訓練も終わっている。帝国軍は万全の状態であった。


 それにしても、騎兵と言いうのはどの国でも自尊心が強いというか、自身の強さに絶対の自信みたいなものがあるが今回の策では騎兵は温存してから使う。将軍からしてみれば騎兵の練度の差はどうにもならないが帝国の騎士からすればそうでないと強行に主張してくるのだ。今回それを何とか説き伏せ歩兵の後ろ側に待機させてある。


 歩兵隊の装備は盾に長槍と、いささか古典的な装備であるが、盾は帝国の最新の冶金術で強度を保ちつつ軽量化がほどこしてあり、長槍も分解して運搬できるなど兵の負担を軽くしながら最大の長さを得られるようにと随所に工夫が見られる物である。


 それに対してバールの軍勢は、まさに手本通り軽騎兵団で敵を捕捉し、その機動力で敵を翻弄する。

弓騎兵は帝国の弓兵から反撃を受けないギリギリの所から弓を放ち、敵の軍団に圧力を加えてゆく。


 

 それに対し、帝国軍側は弓兵を槍兵たちの戦列の前に立たせて散兵線を引くというモノであった。

これは普通は中々取れない戦法である。


 というのも、弓兵などの射撃部隊は騎馬に突っ込まれたら何もできずに死ぬしかないからである。

自身より遥かに巨体の存在が、勢いをつけてこちらに突っ込んできたとして弓兵が手に持つのは精々身の回りの些事を行うためのナイフと手に持つ弓ぐらいである。



それを見てバール・スレイジは愉快そうに笑う。


「ハッハッハー、なんじゃぁありゃ。どこの山に行けばあんな気合の入った弓手を連れてこれんだ?」



 今回の帝国軍の大将は成る程、中々粘り強い将軍の様だ。こちらに出血を強いるのが狙いか?

槍部隊は盾による防御隊形をしっかり取らせて、その統制に微塵も乱れを感じさせない。

丘の上に陣取りこちらの弓射の効果も限定的になる様にしてある。


 おまけに敵の騎馬部隊を釣り出そうとしても統制が利いていてうまく釣り出せん。

前回のはすぐに頭に血ィ昇らせてやって簡単に始末できたが今回は骨が有りそうだ。



連れてきた軍勢は4万・・。そのうち重騎兵が1万、軽騎兵のうち弓騎兵は1万しかいない。

残り1万はサーベル振るのは出来るが弓騎兵とはいえない賑やかし、残り1万は軍団をより多く見せるために連れているカラ馬の一部・・だ。


 とはいえ、だ。流石に弓騎兵を余り失うのは良くない。

どこぞの騎馬民族が、弓騎兵をやれるまでどれだけの時間がかかるか分からんし、

戦死や負傷は部族内の養い手を失うのと同義なのだから。誰にとっても望ましい事ではない。

そろそろケリをつける場面か?



「よ~し有翼騎兵隊1万。前面に出ろ!」


 バールは戦にケリを付けるべく、最強戦力である有翼騎兵を前面に出す。

有翼騎兵と言ってもユニコーンだかペガサスの軍勢ではない。騎手の背中に着いたその特徴的な羽飾りから名付けられた、この世界最強の重騎兵である。


 帝国軍もその特徴的な羽飾りを見て、即座に弓兵を槍衾の後ろの引き上げさせた。

バールはその素早い用兵に内心、舌を巻きながら冷静に軽騎兵による削りを継続させる。

戦列の後ろからでも適当に撃つことは出来るがそれには大量の弓矢が必要となる。


 開戦からこっち補給を受けながら戦闘(・・・・・・・・・・)していたこちらと違い連中の残りの矢はそれほどでもないだろう。こちらの損害も丁度良い感じだ。



「よ~し、お前ら後退だ! 出来るだけ無様にみすぼらしくな」

「了解」


 戦場にラッパが鳴り響き、騎馬の群れが突然、丘から走り去ってゆく。

粘り勝ったのか? 丘の周囲には動かぬ馬の死体が散乱している。

だが⋯⋯帝国軍大将はわずかな違和感を覚える。


「大将殿何をしている! 追撃の指示を出せ!!」


騎馬部隊の隊長は殆ど激高している様に言い放つ。


「敵の馬は疲れ切っている!! ここで追撃しないと何度でも仕掛けてくるぞ!!」

「むう⋯⋯分かった、ただし異常があればすぐに後退するように」

「騎馬隊全軍突撃!!」


 返事を聞くか聞かないかの所で騎馬隊は追撃に向かって馬を飛ばしていった。

大将は歩兵部隊にも突撃指示をだし軍勢は丘を下っていった。



※※※※※ ※※※※※ ※※※※※


「よお、ジェイクお前さんの馬はそろそろお疲れのようだぜ。別の馬に乗り変えな」

「だがまだ行けそうだぞ?」

「そろそろ敵さんがおいでなさる頃間だ」

「了解」


 後ろを見ると土煙を上げて帝国軍の騎馬部隊が猛追して来ているのが見える。

その隊長は目を血走しらせた形相だ。そのままの勢いで雪崩こんでくる


「スレイジの有翼騎兵、噂程ではないな。しねい!!」


相も変わらず、突撃のタイミングが丸わかりだな⋯⋯⋯


「散開!」


 バールの短い指示と共に、

羽飾りを付けた騎兵たちはまるで魚のように滑らかに帝国軍の騎兵の突撃を躱す。


「なっ!!?」


 それに対し帝国軍の騎馬隊はドタドタと大地を蹴りまわしてやっと方向転換をする。

そのわき腹に周囲から突撃してきた有翼騎兵たちの長い槍が突き刺さる。


「バッ馬鹿な!?」


何とか助かった者も疲れ果てた馬では逃れ切れるはずもなく服従か死かすぐに選ぶこととなった。



※※※※※ ※※※※※ ※※※※※


 将軍は不安を覚えながらも逃げた兵を追撃すべく兵を丘から降ろし走らせる。

丘の周囲に転がっている馬は多く換算しても5千にも満たない。

騎馬隊の隊長が言うように追撃を成功させないと永遠に戦争は終わらないのだ。


「ギャア!」

「グワッ」


 突如として丘の上から弓で撃たれる。

見れば、弓騎兵が丘の上から弓を射かけてくるではないか。


馬鹿なあり得ない! 周辺は事前に捜索済み。伏兵が潜んでいるなどあり得ない。

それに今更、伏兵だと!?


 混乱する将軍の目に奇妙な物が写った。

死んだ馬だ。死んだように今まで動かなかった馬が起き上がり、騎手を乗せて走り回っているではないか。


そう、はじめから死んでなどいなかったのだ。

軽騎兵たちはこちらの背後を取るため死んだふりをしてその時を待っていたのだ。

浮足立つ兵を将軍は一喝する。


「狼狽えるな! 敵は多くても数千しかおらん!! 数を頼んで叩き潰せ!」


そう敵の数は多くない、数を頼めばすぐに叩き潰せる。

もちろん敵も逃げるだろうがそれだって限界がある。敵はすでに疲労しているのだ。

何故? 疑問を感じ後ろを振り向く。


そこには偽装退却に騙され死地に突っ込んだ味方の騎馬隊がいた。

将軍はすぐに部隊に指示を出した。


「お前たち、円陣を組め! すぐにだ。突撃に備えろ!!」


 歩兵隊は平原を走り、それぞれ、いくつかの四方形の人垣を作り出してゆく。

この意志の砕けそうな盤面においても、迅速に指示に従い行動できるのが精鋭が精鋭たるゆえんである。

瞬く間に5つの方陣が出来上がり騎兵を迎え撃たんとする。


そして歩兵の陣形に今度こそ有翼騎馬兵がその牙を突き立てんと突進していた。


「フハッ、凄いなケツから引き潰してボロ肉にする算段がパァだ」

「敵をあんまり褒めないでください」

「心配すんな、奴らよりこっちのほうがスゲェ!!」


「お前たち怯むな! 槍を突き立て奴らのはらわたを突き刺してやれ!!」


 将軍の怒声に呼応するように槍兵たちは一斉に槍を突き出す。

騎兵が保持できる槍は歩兵が持てる”それ”より普通短いはずだ。

故に、方陣側は一匹のハリネズミの如く槍を突き出して待ち受ければ突撃を防げるはずである。


 槍衾を見てそのまま突っ込む馬鹿な人間はいないし、馬はもっとそうだ、人の恐怖に敏感に反応する。

見えている棘に突っ込むバカは人間と言う生き物だけだ。


 派手な羽飾り、全身に着込んだ鎧、体躯のしっかりした巨大でな馬。そしてその重武装。

有翼騎兵たちが方陣に衝突するまでの数秒、将軍にはとても長い時間に感じられた。


 槍の穂先から騎馬の槍が、滑り込むように入り込み槍兵の胸を貫く。

それは全ての方陣、全ての列で生じ、突撃を受けた面はその一撃で壊滅状態に陥った。

ご丁寧に有翼騎兵は一度引き体制と装備を整えて再度突撃を加えるつもりらしい。


将軍は敗北を受け入れ帝国北部での帝国とマカイの決戦は帝国の敗北で終了した。

スレイジ公は言うなら、ケシクとフサリサの両方を保有整備できる騎馬チートの究極。

これからマオとの関係がどうなるか楽しみです。

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