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第五夜 彼
石畳の街。街灯の間をくるくると二人で歩いた。
夢の中で出会った彼はやさしくて、とても素敵だった。
目が覚めて、母に「理想の彼に出会った」と話したら笑われた。
大学でいろんな人に出会って、友達になった。
ほんのちょっと痛い恋もした。
大学の二年目のとき、男友人のうちの一人がメガネからコンタクトレンズに変えた。そこにいたのは、あの夢の彼だった。
ここにいた。
そう思って、私は彼に近づいた。
彼と付き合うようになって、将来の話なども出るようになり、もうこのままゴールインという手前で、彼が手を振って去っていく夢を見た。
昔から付き合った人と分かれる前に、その男性が手を振って去っていく夢を見る。
それは終わりの予感。
でも結婚の約束までして、お互いの家に挨拶まで行って、日取りも決めて。
なぜこの結婚直前の段階で?
彼に夢の話をしたら笑われた。
「夢は夢だよ。ありえないよ」
「うん。そうだね」
そう答えて、少し安心する。
結婚して三ヶ月後。彼は逝った。
夢は夢であって欲しかった。




