第三夜 デパート
大学で仲のよい友達ができた。
一人暮らしの私のところで、同じく一人暮らしの友達が遊びにくる。
このとき、すでにいろんな夢を見ていた私は打ち明けてみることにする。
「ねぇ。ねぇ。不思議な夢を見るんだよね」
「不思議な夢?」
「うん。夢が本当になったりする」
「あ~。ある。ある。そういうこと」
遊びに来ていたカワッチとマイちゃんが二人そろって相槌を打つ。カワッチはちょっと色が浅黒い女の子で、マイちゃんは色が白い。二人とも髪が長くて、似たような雰囲気をしていた。
それから私は夢の話をした。
よく見る夢。でもまだ現実にはなっていない。
デパート…だと思う。三階立てか、四階立てか。多分、それぐらい。
そしてくの字に曲がった形に立てられていて、渡り廊下のようなものがある。
レポート用紙の裏に簡単に図面を描いた。
その夢に入ったときには、大体デパートの中にいる。
いる場所は三階だったり、四階だったり。上の給水用の大きなタンクがある場所だったり。いつも左側だ。右側の建物には行ったことがない。
でも同じ建物なのだ。
「最後がね、いつも同じなの」
そう言って、二人がやけに静かに聴いていることに気づいた。
おずおずという感じで、カワッチが口を開く。
「最後、閃光が走るやろ?」
地方のなまりが入った言葉で言われて、思わず驚いた。
「うん。どうして知ってるの?」
「そのデパート、あたしも行ったことある。何回も」
「えっ?」
カワッチの言葉に、マイちゃんも言う。
「私もある…。私はいつも二階。閃光はどっちからくるか分からないけど、目を覆うぐらいの閃光が走って、そして暗くなって、おしまい」
背筋がぞわぞわとした。
「このデパート、ここにエスカレーターがあるねん」
カワッチがトントンと私から見て、左のほうを指差す。
「それから、ここに螺旋階段があるよね」
エスカレーターのもっと左を私が叩きながら言えば、頷く。
「下は…食品売り場とかだよね?」
「私、下りたことないわ」
マイちゃんが言って、そして続けた。
「ここにあるエスカレーター、やたら数が多くなかった?」
カワッチが頷く。
「そうなんよ。上りが二本、下りが二本、あって、反対側にも同じ数があるから、こっから見ると、計八本あるんよ」
わたしはいつも螺旋階段から降りたりしていて、エレベーターは使ったことがなかったが、たしかにやけに多くあった。
「閃光ってどっちから光ってるんやろな」
カワッチのつぶやきに私はとんとんとくの字の内側を指した。
「こっち。こっちから光る。私、ここの屋上にいたことがあったから。光ったのが見えた」
カワッチもマイちゃんも黙ってしまった。
「やっぱり…あれって、核なんかな?」
カワッチが、図面を見たままつぶやく。
「核だと思う」
私のはっきりした言葉に、二人の視線がこちらを向いた。
だって…私は見たから。
はっきりとした夢を見たのだ。




