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魔法基礎

この世界の魔法の概要です

セレーナの家に案内された翌日、朝早くに目が覚めた。

こちらに来てから、夜は特にすることもない。そのために早く眠り朝早くに目覚めるようになったのだ。


半ば寝ぼけながら、ふと窓から外を見る。すると家の横にある広場でエルシェが剣を振っていた。

その動きは袈裟斬りに振り下ろしたかと思えばすぐに横に剣を薙ぎ払う。かと思えばすぐに後ろに半歩下がり剣を突く。まるで剣舞のようだった。朝日を浴びてとても美しく思えた。その光景に時間を忘れて見入ってしまった。


朝食の後、その話をエルシェとセレーナにする。

「ああ。見ていたのか。気にしないでくれ日課なんだ。」とエルシェは照れもせずにいった。

「素人目にもかなりの腕前じゃないかと思ったよ。もしかしてエルシェがあれほどの腕前ならその先生のセレーナも剣の腕前はかなりのものなのか?」ときいてみる。その問いかけに、

「まさか。私は魔法の方が得意よ。剣ではエルシェにとてもかなわないわ。護身程度の心得しかないもの。」と笑ってセレーナが答えた。

「それなら剣はエルシェに教わったほうがいいかな。もし魔法を使えなかったら剣で戦うしかないだろうし。」と昨日から考えていたことを口に出す。その考えにセレーナは

「そうね。魔法が使える使えないは別として、護身術程度の剣の扱い方は知っておかないと危険かもしれないわね。でもまずは魔法の方ね。魔法の適正があるかどうか見てみましょうか。」と何かの準備を始めた。


セレーナが鈍い黒色をしたごつごつした形の石をテーブルに置く。

「これは魔導石といって、魔法に反応する石よ。これを握って光がともる様子をイメージしながら光よ。と唱えるの。そうすると魔力があるならそれに反応して石が光るわ。ちょっとやってみるわね。」

そう言ってセレーナは石を軽く握り「光よ。」と唱えた。

その瞬間魔導石が淡く輝く。

「こんな感じね。じゃあカズヤやってみて。」と言われ石を渡される。

俺は魔導石を軽く握って。「そう。それで石が輝く様子をイメージをして唱えるの。」とセレーナが言う。俺は言われた通り、先ほどセレーナがやったような輝きをイメージして唱える。


「光よ。」


魔導石は反応しない。「あれ?」そう思った瞬間魔導石がチラッチラッとわずかに光る。

「あれ、これって光ってる?」と疑問に感じる。

「光ってるわね。ただカズヤが半信半疑だったのかしら?魔法は想像力が大切なの。魔法の適正があるかどうか不安だったのかしら?でも、魔導石が反応してるってことは魔力があるってことよ安心して。」と言ってセレーナが安心させるように微笑む。

その様子に「そうなのか。もっと強くイメージすればもっと輝くのか?」とセレーナに確認する。セレーナは「ええ。もう一度やってみる?」と提案してくれる。

その提案にうなずいて瞳を閉じる。もう一度イメージする。魔法が使えると確信して。より強い輝きを想像する。


「光よ。」


その瞬間光がはじけた。

それを見ていた、セレーナとエルシェは驚いていた。

「すごいな。初めてでこんなに強い光を出せるとは。魔力もそうだが、イメージを練り上げことにも優れてそうだ。」とエルシェは褒める。

「そうね。これならもしかしたら、優れた魔法使いになれるかもね。」とセレーナも喜んでいる。

そうなのかと思いつつ、魔法の適正があったことに対して安堵する。もし、魔法を使えないと魔物と剣で戦わないといけなくなるからだ。



「魔法の適正もあることが分かったし、さっそく魔法を教えましょうか。二人共外に出て。」そう言ってセレーナは立ち上がる。


広場でセレーナがエルシェに指示を出す。

「それじゃエルシェ簡単な魔法を見せてあげて。」と言う。

それを受けエルシェは「分かった。」と言って、俺とセレーネから少し離れる。


エルシェは右手を前に出し「ファイアボール!」と唱えた。

その瞬間、その右の手のひらの上にスイカくらいの大きさの炎の玉が浮かびあがった。


「おお。すごいな。魔法って感じだな。」俺は思わず声に出す。その様子を見て

「ありがとうエルシェ。もういいわよ。」とエルシェに礼を言った。

それを確認してエルシェは「わかった。」と言い炎の玉を消した。


「今のは簡単な火の魔法でファイアボール。イメージしやすいから簡単よ。それじゃカズヤもやってみましょうか。」

そう言ってセレーナはポケットから指輪を取り出した。

「その前にこれをはめてね。」

指輪を受け取る。銀色のシンプルな指輪だ。特に装飾も施されてない。

「これは?」

「魔法を使うには媒介となる魔導石が必要なの。でも魔導石の形だと使いずらいでしょ。だからそれを魔導石を精錬して指輪を作るの。だからこの指輪がないと魔法はつかえないわ。」

そう言って指輪を渡される。確かにそう言われてセレーナとエルシェの指をみるとその指には指輪がはまっていた。

「それと魔法を使うにはイメージが大切よ。強いイメージがより強い魔法になるの。逆にイメージを練りあげられなければ魔法は発動しないわ。」とセレーナが説明する。

「わかった。」そう返事をして指輪をはめ、二人から少し離れる。


右手を出して先ほどエルシェに見せてもらった炎の玉をイメージする。赤く輝く炎の球だ。

「ファイアボール」


エルシェのように炎の玉が右手の上に浮いていた。

出来たと思った瞬間その炎が消えた。

「上出来ね。魔法は問題なさそう。むしろさっきエルシェが言ったように魔法の適正は高いみたいね。」そう言って申し訳なさそうな顔をする。

「それで申し訳ないけど私はこれから用事があるの。だからカズヤのことはエルシェにお願いするわ。頼んだわよエルシェ。それとごめんなさいカズヤ。」とセレーナ言った。その言葉に

「わかった。」とエルシェが返事をする。しかし俺は、

「ちょっと待ってくれ。セレーナが教えてくれるんじゃないのか?」と思わず聞いてしまう。セレーナが魔法を教えてくれると思っていたんだが。

その言葉に「私では不満か?」とエルシェは眉を少し吊り上げる。慌ててそうじゃないとエルシェに伝える。

「そうじゃない。ただどうせ教わるならエルシェよりもセレーナの方がいいじゃないか。セレーナはエルシェの魔法の先生なんだろ?」

「ごめんなさい。昨日のうちに伝えておくべきだったわね。基本的には私がいるときは私が魔法を教えてあげるけど、私が見れないときはエルシェにお願いしてあるの。安心してエルシェの魔法の腕も相当よ。私はこれから用事があるから、ちょっと出かけないといけないの。本当にごめんなさいね。」

そう言って、セレーナは家の中へと戻っていった。



その様子を見て、エルシェが「そんな残念そうな顔をするな。ちゃんと教えてやるから。」といって気をつかってくれる。さらに続けて「ではまずは魔法の基礎知識について簡単に話しておこう。」と話を切り替えた。

俺はその言葉に「ああそうだな。よろしく頼む。」と気持ちを切り替えてそううなずいた。


「まず魔法だが、大きく分けて6つの属性があるといわれている。この6つの属性とは火・水・風・地・氷・雷だ。ただあくまでも大きく分けてであって、厳密にはここに該当しない魔法もあるらしいがそれについては気にしなくてかまわない。つづいて魔力だが、これが魔法を使う上での本人の資質だ。これは魔力が強ければ強いほど、強い魔法を使える。逆に魔力がなければどうやっても魔法は使えない。次に重要なのがイメージだ。魔法はイメージをもとに発動する。だから強いイメージであればあるほどイメージした通りの魔法を発動できる。」と魔法について一気にエルシェが説明する。

「なるほど。それでさっきセレーナがイメージが重要と言っていたのはそれか。」と俺は頷いた。その様子に俺の理解が追い付いていると認識したのかさらに

「そうだ。それともうひとつ、魔法を使うには魔法名が必要だ。」と説明した。その言葉に

「魔法名?それはさっきだったらファイアボールみたいな呪文のことか?」と疑問を発した。

「ああ。要は魔法を発動するキーと思ってもらえればいい。この魔法名はイメージと合致するものが必ず存在すると言われている。つまりイメージが出来ていてもそれを現実化するために魔法名が違えばその魔法は発動しない。だから魔法名はそれを発動する鍵となる。」とわかるようなわからないような説明をする。正直イメージがしづらい。

「魔法名はどうしたらわかるんだ?」ときく。エルシェの話の通りならば魔法名の一覧辞典のようなものを常に持ち歩かなければいけないかもしれないと感じたからだ。

「魔法として発動可能なほど強いイメージを練り上げることができれば、その過程で自然と思い浮かんでくるものらしい。つまりイメージとそれに適合する魔法名、そしてそれを実現する魔力が魔法を発動するのに必要なものとなる。ただし、過去には強い魔力と強いイメージを持った魔法使いならば魔法名を必要としなかったという話もある。その点については私たちとは関係のない話だと思うが。」とエルシェは総括した。なるほど。

「それで魔法はどんなことができるんだ?」

「イメージできるものはどんなものでも実現可能だと考えられている。」その話を聞き驚く。どんなことでも実現可能なら魔法は思ったよりも万能なものらしい。まさに魔法だな。

「どんなことでもか。それはすごいな。でもそれなら元の世界に帰ることも簡単じゃないのか?」それなら早く返してくれればいいのにと思いつつそう問いかけた。

その質問にエルシェは首を横に振る。

「それは難しいと思う。理論的には可能かもしれないが、まずこの世界のに住んでいるならば、魔法のない世界というものをイメージするのは難しい。それ故にその魔法名もわからないだろう。またできたとしても魔力が足りないと思う。」と申し訳なさそうな顔をした。その言葉に納得し、

「それはそうか。もしできるならすぐに元の世界に帰してくれてるはずか。」とつぶやく。帰れると思ったんだけど、そんなに甘くないか。その様子を見てエルシェは

「そうがっかりするな。今まではできなかったが、カズヤなら元の世界へ帰るというイメージは可能だろう。それならばイメージを練り上げさえすれば、あとは魔法名と必要な魔力さえあれば帰ることができるかもしれないからな。」

「えっ。そんな当てがあるのか?」なんだ、やっぱり簡単に帰れてしまうのだろうか。

エルシェが申し訳なさそうな顔をする。

「すまん。そのあてはない。期待させて申し訳ない。おそらく帰るには莫大な魔力が必要だと思う。それほどの魔力を持つ人物など聞いたこともない。」という。その言葉に

「なんだやっぱりそうか。大丈夫そんなにがっかりしてないよ。エルシェとセレーナのおかげで何とかこの世界でもやっていくことはできそうだな。」と言って、しばらくはこの世界でやっていく覚悟を決めないといけないなと思った。それを受けてエルシェは

「そうだな。しばらくは心配しなくてもいい。私とセレーナが面倒を見てやろう安心してくれ。」と胸を張る。

よかった。いきなり面倒を見てくれると言い出したセレーナもだがエルシェもどうやら俺を歓迎してくれるらしい。


「それともう一つだけ。指輪についてだ。」話はまだあるようだった。

「指輪?魔法を発動するのに必要ってことだろ。さっきセレーナが言ってたのを忘れてないよ。」と言って指輪を見る。

「そうだが、指輪は魔法を発動する媒介となる。ただし指輪には相性があるんだ。」と説明する。まだあるのか。

「相性。指輪と魔法使いとの相性か?」

「そうだ。。今カズヤがしているものは練習用でたいした力はない。だから相性など気にしなくても誰でも扱える。だが、強い力を秘めた魔導石をもとに作られた指輪は使い手を選ぶ。その場合、相性が悪いと魔法を発動できないしできたとしても、かなり弱い。実際に、魔物と戦うならばその指輪でも戦えるが、念のためもう少し力のある指輪をする必要があるだろう。」と言ってきた。

それではこのままでは魔物と遭遇したらどうすればいいのか。その不安を口にする「それならどうしたらいいんだ?」

「安心しろこの家の周りには魔物は出ない。それに、しばらく修行してある程度魔法が使えるようになったら、指輪を用意しよう。」

その話に安心する。何から何まで世話になってしまうようだ。

「分かった。よろしく頼む。」エルシェの話に頭を下げた。

「では後は分からないことは都度聞いてくれ。魔法に関する基本知識はこんなものだ。では改めて、魔法の実践修行を始めよう。」と話を切り上げた。


こうして魔法の修行は始まった。


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