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duplices  作者: rakia
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回想録 其の零


 かなりのネタバレ……。察しのよろしい方は真相に……至ってます?


 何はともあれ、本編をどうぞ! 


 おまけ!? 短いんだから無いよ!




 ある所に一人の無口な男がおりました。

 男は色々なお面を作る職人で、そのお面を作る腕は大層見事なものでした。

 とても寡黙な男でしたが、村人達には慕われ、幸せに暮らしていました。

 でも、男にはある欠点があったのです。男は異常な程に食いしん坊だったのです。

 食べても。食べても。どんなに食べてもお腹は満たされません。

 だから男はいつも飢えていました。

 ある日男は綺麗な赤い鎖を拾いました。それは真っ赤な石榴の様な色で、丁度人間の頭がぐちゃぐちゃになったら見えそうな色の鎖でした。鎖は男の眼にとても美味しそうに映りました。

 何故か? そんなのは男しか知りません。

 とにかく男にとって赤い鎖は美味しそうな食べ物に見えたのです。

 男は鎖をしゃぶり、舐め、噛み砕きました。何度も口を血だらけにしながらガリガリとガリガリと鎖を噛みました。するとどうでしょう。鎖は解けるように男の舌の上で消えてしまったのです。

 赤い鎖を食べてしまった男の飢えは満たされました。


 一時的に。


 そう、一時的になのです。暫くすると男はまたお腹が空いてしまいました。その飢えは、鎖を食べる前よりも強烈で、吐いてしまいそうな程でした。

 男は片っ端から食べ物を口に詰め込みました。だけどやっぱりお腹が空いてしまいます。

 欲求ばかりが膨らみます。


 お腹が空いた。


 何か食べたい。


 何を食べたら満たされる?


 何を食べたら満たされる?


 何を食べたら満たされる?

 

 何を食べても満たされないのです。そんな時に同じ村の住人が男の家を訪ねて来ました。

 お腹が空いて気が立っていた男は、追い返そうとも思いましたが――――。


 これを食べたら満たされる?


 男は村人が美味しそうに見えました。

 急いで戸を閉め、村人が後ろを向いている間に男は大きな斧を持ちました。

 村人は男の様子がおかしくなった事に気が付きません。

 錆びた斧が村人の頭に食い込み、村人の割れた頭から血が噴出しました。

 まるで男の食べた鎖のように真っ赤な血が男に降り注ぎます。男は体中にべったりと付いた血を舐め取りました。新鮮な血液は、生臭い鉄の味がしました。それでも、男とっては御馳走でしたが。

 村人を殺し、食べてしまった男の飢えは再び満たされました。


 一時的に。


 男は食いしん坊なのです。どれだけ食べても、村人の肉でお腹を満たしてもお腹が空いてしまうのです。貪欲な男はもっとお腹を満たしたくなってしまいました。

 男は村人を食べた時に妙な力を手に入れました。それは本来の自分とは違う、凶暴な人格と入れ代わる能力と食べた人間の魂を捕らえて放さない能力でした。

 男は凶暴な人格になっている間に、人間とは思えない力で隠れて村人を襲い食べるようになりました。

 魂ごと村人を食べた男は満たされました。でも、まだ足りません。

 食べても食べても、飢えは次から次に男を駆り立てるのです。そんな男に村人達はなす術も無く、一人また一人と食べられてしまっていきます。そして、男の食べた魂は男の体内に――――牢獄に繋がれてしまうのです。

 しかし、男にも僅かながらに良心というものが残っていました。

 男はある日、無心でいっぱいのお面を作りました。それは男の村人への感謝の意であり、同時に呪いでもありました。

 男はお面を作った晩に、自分の生まれ育った村から姿を消しました。

 その翌日から男は目に付いた村を襲うようになりました。

 いっぱい食べました。いっぱい殺しました。だけど、まだ足りません。男の力は食欲と共に増していきます。背中には赤い地獄が沸き、囚われた魂は亡者のように蠢きます。亡者達は男の‘口‘となり、新たな亡者を作りだしてしまうのです。

 食べて食べて食べて――――男はいつしか‘鬼‘と呼ばれるようになりました。

 そんな時に男の前に一人の青年が現れました。

 その青年は鬼と化した男を退治するようにと、都から遣わされて来たのです。

 青年は白い手甲を手に嵌め、五色の光を操りました。 

 緑の光は木を地面から生い茂らせ、男の眼から青年を隠しました。

 赤の光は生い茂る木を燃やし、青年を探そうと木々の中に入った男の肌を焼きました。

 黄の光は地面を変化させ、大きな沼としました。男はその沼に足を取られました。

 白の光は鉄の雨を降らせ、男を肉体を貫き続けました。男はあまりの痛みに悶え苦しみました。

 黒の光は男を串刺しにしている鉄の雨の破片を冷たく冷やし、男の体を内部から氷のように脆く砕けるようにしました。

 男は抵抗しました。今までに自分が食べた魂を糧に、更なる力で青年に襲い掛かりました。

 男は青年の懐に入りました。青年に男の‘口‘が迫ります。

 それは一瞬の内の出来事でした。

 男は青年の放った‘無色の光‘によって跡形も無く消えてしまったのです。

 男は消え、村々には平和が戻りました。

 しかし、男に捕らえられていた魂達は男の腹の中で粉々に砕けてしまっていて、元通りにはなりませんでした。原型が無くなった魂は風に乗ってどこかへと消えました。

 こうして男は青年によって倒され、村々には平和が戻りましたとさ。

 

 ですが、このお話には続きがあるのです。

 男は自分の生まれた村にお面を残しました。そのお面には男の執念が篭っており、一度消されかけた男の魂は、そのお面達の中で再生されてしまいました。

 男は眠りながら待ちました。眠って力を蓄えようと待ちました。

 でも、待っても待っても男に力は戻りませんでした。男はいつしか本当に寝てしまいました。

 深い深い眠りでした。

 何年も。

 何十年も。

 何百年も。

 男は眠り続けました。

 そして長い年月が過ぎた後、男は唐突に目覚めました。男を呼び起こす者が現れたのです。

 男は喜びました。何故ならその者の体を乗っ取れば、男は再び現世に蘇る事が出来るからです。

 しかも、男の前に現れたその人物は条件(、、)を満たしていて、器には申し分ありませんでした。

 男は目の前の人物を食べようとしました。

 だけど――――男は逆に食べられてしまいました。

 だって、男よりもその人物の方がお腹が空いていたんですもの。

 男を食べたその人物は、まだお腹が空いています。その人物は男と同じ事を繰り返そうとしました。

 ですが、そんな事をする必要はありませんでした。

 何故なら、その人物が食べる果実の種は既に撒かれていたのですから。

 めでたしめでたし。

 


 ああ……明日からお仕事? だ……。


 何としてでも早めに書き終えるぞ~。お~。ノ

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