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duplices  作者: rakia
21/71

少年の日常と老人の回想

 実は、この話は番外編みたいな仕様っす。

 前からの話に微妙に関わってるっちゃ関わってるし、関わってないって言えば、そうなんですね~(笑)正直見なくてもいい…(ry

 とにかくどーぞ!


 腹減ったな。昼はしっかり食べたんだけど。

 風早燐太は薄っすらと自分の姿が映っている窓ガラスを見ながらそう思った。

 オレンジ色の陽光が校舎に黒い陰影を作り出している。もう、夕暮れに近い時刻だ。


「燐太ー帰ろーぜ」

「お~ちょっと待ってなー」


 ぼんやりと窓の外を見ている燐太に、悪友の齋藤士さいとうつかさの声が届いた。

 彼との付き合いは中学生の頃からだ。足を怪我して走れなくなってからも、彼だけは前と同じ様に接してくれていた。再び走れるようになった今でもそれは変わらない。

目立つような奴では無いけれど、頭が意外と回る。そんな彼を気に入っていた。

 今度、葎に会わせてみようか。あーそれ良いかも。三人で対戦プレイ出来るし。


「そういやさ。あの、連続殺人犯、まだ捕まってないんだってさ~。まだこの辺にいんのかねぇ? 何つったけ? うばば? あべべだっけ?」

「あー? さぁ~? どうなんだろーな?」


 惚けてみるが、やはりその名前を聞く度にあの夜の事を思い出す。

 …姥季淡慈だよ、姥季淡慈…。あべべって誰だよ…外国人?

 忘れたくても忘れられないのだ。何故なら彼は姥季淡慈の最後の目撃者である。

 警察と学校からは口外しないように口止めされているので、この事は言えない。言いたくもない。

 去る六月のある日、彼は幼馴染未満の少女、柳葉藍子と共に姥季淡慈に襲われた。

 その時は運良く、メロンパンマンもとい、栖小埜葎という青年に間一髪助けて貰い、大事には至らなかったが、一歩間違えば死んでいたのかもしれないのだ。

 情けないが、あの女なのか男なのか、よく分からない淡慈の顔を思い出しただけで体に震えが走る。

 姥季淡慈はあの後、消息を消した。警察もお手上げらしい。もしかしたら、執念深く燐太や藍子を狙っているのかもしれない。

 だが、彼は決めている。

 今度は藍子を危険な目に遭わせない、と。

 本音を言えば、二度と遭わないのが一番なのだが。

 考えてみりゃあ…あいつに襲われなかったら、葎と出会う事も、藍子と仲直りする事も無かったんだよな………。


「燐太、居るー?」


 げっ…あいつの声だ…マズイ…早く…早く逃げねぇと…!!


「燐太どうした? ………あ~分かった…柳葉ちゃんだな~? また喧嘩でもしたのかよ?」

「いいから、早く行くぞ…! 俺はまだ死にたくねぇ! それにありゃあ、お前も原因の一つじゃねぇかよッ!」

「……何だったっけ?」

 

 彼がこんなにも焦っているのは、今朝の出来事が発端である。

 家が直ぐ近くにある燐太と藍子は、物の貸し借りを頻繁に行う。今朝は藍子から借りたゲームを返す筈だった。


ーーーーーーー


ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おはよ」

「…前から思ってんだけど、家近いからって一緒に登校すんのって…恥ずかしくね?」

「そんな事ないわよ。燐太のお母さんからもしっかり見張るように言われてるし、後藤先生からも監視を続けるようにって」

「監視って何!? 俺監視されるような事やったっけ!? 囚人か何かなの!? 俺は?」

「日頃の行いの賜物ね」

「嬉しくないよ!?」


 毎度の事ながら容赦がない。


「…そうだ。この前から貸してるゲーム…あれどうだった?」

「ゲーム…?」


 この前貸して貰った奴っていうと…あのひたすら異界の神を育てる奴だよな…。


「ああ、あれか。面白かったぜ?」

「あら、そう。クリアした?」

「おう。クリアして――――」


 クリアして、自分はどうしたのだった?

 確か、藍子に返そうと思って――――





「おっ、燐太ゲームなんて持ってきて、どした?」

「藍子に今日返そうと思ってさー」

「没収されねーように気を付けろよ?」

「当ったり前よー」


 …それから? それから放課後に?


「お前犬飼ってんだよな~?」

「可愛いぞー。毎日フリスビー投げてやってるぜ!」

「士、ノーコンだから犬困ってんじゃね?」

「燐太より酷くねぇよ」

「ほう…俺は石動の星と呼ばれた程の逸材だぞ!」

「何のだよ。星でも何でもいいから飛んでけよ」

「いいから、これ投げてみるからキャッチしてみろ。ぜってー取れねーから!」

「うわ…面どくせぇ…」

「いくぞー! 破壊光線んんーーーーーー!!」


 ひゅ~ん…パキン…


「いや、それどっちかつーと、葉っぱカッター……おっ…わり、取り損ねちまった」

「何やってんだよー」

「わりーな。…ところでこれゲーム入ってた袋だった気がすんだけど…」

「…………へ?」


 袋に入っていたゲームのディスクは、粉々に割れていた。




 ……し…しまったぁぁぁぁああああ!!! わ・す・れ・て・い・たーーーー!!

 不味い…不味いぞ…どうしよう…こいつに何て言うか…

 藍子は燐太の心情も知らず、にこやかに口を開いた。


「あれ、私の友達が次に借りたいっていうから、悪いんだけど、返してくれない?」

「…が…学校に置き忘れたから…あっちで返していいかなぁ~?」

「声どうしたの? 何か変よ?」

「いいえ? 何もおかしくなんてないよ? ちょっと今日は男の子の日で…」

「男の子の日!?」

「そういう事で先に行ってるぜ!」

「あ、ちょっと…!」


 それから、それから?


「もう…何で先に行くのよ…」

「いやぁ…少しばかり、士とどっちが早く着くか競争をだな…とにかくこれ! 返したぜ! そんじゃ!」

 よし…! すかさず振り向かず、迅速に逃げるッ!!

「…? 変なの……まさか壊れていたりなんかしないわよね? まさかね~…そんな訳――――………………り…ん……たぁぁぁぁぁ!!!!」


 その日、学校では鬼神のような叫び声を聞いたという生徒が続出したという。



ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 やばい…このままだと玉子焼きルート二週目一直線だ…! 

 逃げちゃ…じゃなくて、逃げなくちゃ駄目だ…!


「焦るなよ~」

「焦るわーーーーー!! こちとら、生死が懸かってんだーーーー!!」

「安心しろよ…多分、狙われるのはお前だけ」

「余計駄目じゃん!?」

「燐太ー」


 来た…! ……おおっ! そうだ…あそこがあった…!


「士、後頼んだ!」

「あ――――おい!」


 教室のドアをガラガラと開ける音と同時に、柳葉藍子が教室に入って来た。


「…齋藤君? どうしたの? さっき燐太の声がしたと思うんだけど――――」

「あ? あいつ? か…帰ったんじゃあないのかな…? ははは…」


 士の言葉に片眉を上げながら、藍子は不審そうな表情を作る。


「えっ? でも教室からは誰も出てきてなかったよ?」

「あ―――あいつは、……そう! 窓から帰ったんだ!」

「ここ三階よ?」


 燐太すまぬ…! 後は頑張れ。


「ん……でも教室には居ないようね? やっぱり帰ったのかしら?」

「そ…そうだぜ…?」


 やった…! 俺は生き残ったんだ…! さすがの藍子も此処には居るとは思うまい…っ!

 そう思っている燐太が、現在入っているのは教室の清掃用具入れである。

 埃っぽく狭苦しい中で、彼は安堵の息を漏らした。


「じゃあ、居ない様だから、私帰るねー、灯ちゃんも待たせているし――――」

「じゃ、じゃあね~」


 よおし…! 俺の勝利―――――


「――――何て言うと思ったのかな? 燐太くぅぅーん?」


 だ…? 何…! あ…ああああ?

 ブラインドから幽かな光と「奴」の眼が見えた。

 奴は目を細め、この世のものとも思えない笑い顔でこう言った。


「か・く・ご・するのね?」


 ガンガンと、用具入れの扉を叩く音がする。

 今は必死の覚悟で抑えているが、長くは持たないだろう。


「わひっ…! えちょ…やめて…ぐげ…おろろろろろろろーーー!!」


 惨劇の場に居たとされる生徒、齋藤士は語る。


「人って…爆発するんですね…いやもう、『爆発しろ』っていうか…したんですね…彼は」


 心痛な面持ちで、語る彼の表情は、散っていった友に捧げられていた。


「ぐごごごごご…んべげらッっ!! ぎゅぁぁぁぁああぁぁ!!」


 今日二度目の絶叫に、部活動で学校に残っていた生徒と教師陣の全てが戦慄した事は記憶に新しい。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 昇降口で南屋灯がゆらゆらと揺れながら、燐太と藍子の到着を待ちわびていた。

 下校時のピークはとっくに過ぎていて、彼女以外の生徒は居ない。

 放課後の下校口なんて状況シュチエーションはいかにも、何か不可思議な事が待っている気がする。

 実際に起きた事は一回も無いのだが。


「遅いですね…燐太君呼んでから、結構…」

「お待たせ~灯ちゃん! さっ行こうか」

「…藍子ちゃん? その残骸は何ですか? 人ですか?」

「コレ? これは人だったものよ。それはいいから、行きましょう。正門が閉まっちゃうよ?」


 原型を留めていなくても、人間は生命維持が出来るのだと、灯は生まれて初めて知った。


「う…そうですね」


 藍子は何も無かったかのように、灯と昇降口から出た。


「灯ちゃん、アイスでも食べない? 寄って行こうよ」

「アイスですかぁー! 暑いし良いですねー! …あ、でも、私今日あんまりお金…」

「大丈夫よ。今日は私もあなたの分も、それが奢ってくれるって言ってたから」

「えー…何か悪いです…」

「そんな、自分から言ってるんだから、お言葉に甘えさせて貰おう?」

「それじゃ――――」

「魔khfはsggふぁ6がっがうがgf…」


 喋った…!!?


「今…今…燐太君……しゃ」

「…? それの事? それは喋るわよ? 当然」

「それって…」


 横目でその、猟奇的生命体を見る。


「ffふhdっす8っやshhそp」


 おおう…


「………………風早君?」

「じおさぷwyfhfぷえるぐ」


 駄目ですね…


「さはどhでぃjhkしゅyd」

「…………………」

「くじゃいでゃsjぁじkjhhg」

「…………私、チョコクッキーが良いでっす」

「私はどーしようかなー。やっぱバニラか…それとも、ミントか」

「だったら、半分こにしますか!」

「そうね」


 灯は、見ない事にしておいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「居らんのぅ…」


 そう言ったのは老齢の男性だ。きちんとした身なりで、裕福である事を窺わせる。

 昭和生まれの例に洩れず、背の丈は小さい。しかし彼はその中でも一際小さい部類に入るだろう。

 銀のような白髪と白い髭が、穏やかな顔に威厳を醸し出している。

 古ぼけたパナマ帽を被り、それが風で飛ばないように押さえつけていた。

 確か…彼からこの帽子を譲り受けた日も、こんな風が吹いていた。


「…此処も随分と様変わりした…」


 現在のこの場所の風景と、彼の記憶の中の風景が対比される。

 写真に残っていれば、白黒であろう昔の景観も彼の記憶では色鮮やかに見えている。

 この橋も、今の様なコンクリートではなく木だった。

 此処へ、来る度に彼の声を思い出す。



 ――――たけちゃん。これ欲しいか?


 ――――それ…あんたが大事にしてるもんじゃないのかよ


 ――――うん。まぁそうなんだけどさ。俺、招集されちゃった


 ――――されちゃったって…! 何処にだよ


 ――――南の方で……忘れた!


 ――――これから、行く所ぐらい覚えとけよな…千人針は?


 ――――とっくに貰ったよ。それで、どうなんだ? 欲しいのか?


 ――――いらねぇよ。だって、それじゃあ、形見みたいじゃねぇか


 ――――なあに。生きて帰ったら取りに来るさ…おい、これ、親父や母ちゃんに言うなよ? どやされるのは勘弁だかんな!

 

 ――――じゃあ預かる。…だけど、ちゃんと帰って来いよ? 遊ぶ相手がいねぇとつまんねぇんだよ!


 ――――ああ。きっとな。まだ嫁さん貰ってないのに死ねるか!


 ――――…あんたらしーや。元気でな、ひでちゃん


 ――――大きくなれよ。武も


 ――――うっせぇ。帰ってくる頃には追い越してるわ


 ――――ふはッっ! だといいな?


 竹を割ったような気持ちの良い男だった。

 彼は年が離れているのに、彼とは不思議と気が合っていたし、自分は本当の兄よりも彼の方に懐いていた。血が繋がっていないというのは関係ない。心が近いか遠いかだ。赤の他人だとしても、本当に心から通じ合えるならば、それは血が繋がっているのと同然だと思う。

 きっと帰ってくる、そう信じた。しかし、彼は帰って来なかった。

 約束は果たされる事も無く、色だけが抜け落ちてしまった。

 このパナマ帽を手放せないのも、いつか彼が帰ってくるかもしれないという、有り得ない希望の現われかもしれぬ。

 年を食ったな…不意にこんな事を思い出すなんて。

 ビュォォォォ………


「んお…?」


 風が帽子を攫っていく。彼は飛ばされていく帽子を掴もうと、身を乗り出す。

 あと一寸、あと一寸で届く。彼が手を伸ばした時だった。


「あ…」


 落ちてしまう。帽子を取ろうとして自分が落ちるなんて、笑える話だ。

 老人の筋力は体を支えきれず、体が引きずられるように前進する。

 


「あっぶねぇ!!」


 若者らしい、張りのある声が聞こえた。少年と二人の女の子がこちらに気が付いて、唖然とした表情で見ている。顔は老眼なので識別出来ない。しかし、何故か少年と眼が合った気がした。

 


「うおりゃぁぁぁぁ!!」


 眼が合ったと思われる少年が、こちらに向けて駆け出してきた。

 むぅ…助けてくれるのは在り難いのだが、間に合う筈も無いだろう。

 少年は、川に飛び込み、そのまま走って――――

 変じゃないか? 幾らなんでも、少年の足はただでは済んでいないだろうに。

 何で平気で走り続けられているのだ?


「とぉぉぉぉおおおう!! …あり?」


 少年は落ちた帽子を頭から飛び込むように、拾ってくれた。

  



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 

「済まないのォ…あんなに全力で拾ってもろうて」

「ホントにな…俺、爺さんが落ちると思って、飛び込んだのにな!」


四回目かと思ったぜ…。


「お怪我ないですか?」

「おぉ…お嬢さん大丈夫じゃよ…」


 しっかりとした口調の少女が聞いてきた。


「今日は風が強いですからねぇ~」


 今度はのんびりとしている口調の娘だ。


 落ちるかと思った。だけれど、落ちなかった。落ちたのは帽子だけだ。

 びしょびしょになった少年は、どんよりとした顔を向けている。


「…その帽子大切なんだろ?」

「……どうしてそう思う?」

「何となく」


 何となく思った。そうとしか言えない。

 無理矢理例えるなら、葎がメロンパンを愛でる感じ…は違うな…藍子がアイスを選ぶ…違う…ぬぬ? 

…食べ物ばっかりになっちまった!


「そうか…何となくか」

「ん~…そうだな」


 老人は少年の顔を見上げると、妙に嬉しそうな顔をした。


「似ている」

「似ている?」


 ……死んだ婆さんとかに…? 


「俺は…お…男だぞ…? ばぁさんじゃ、な…」

「そんな事、分かっとるわ。勝手に人の嫁を殺すな」

「そんじゃあ良いけどさ…」

「ふふふ…長生きしてれば良い事もあるもんじゃなぁ」

「そうなのか?」

「そうさ。思い出というのは通り過ぎた後に綺麗に見えるものでな…通過している時は大体苦しくてのう…時折思い出すぐらいが丁度良いのじゃ」

「…わかんねぇなぁ」

「そうじゃ、少年足は大丈夫かい? 浅いとはいえ、痛かったろう」

「そうですよー! 風早君! 折れたりしてませんか!?」

「え…!? あ、あーそれね…うんうん! 下が川だったから…うう…俺の脅威の身体能力で乗り切ったんだよ! な!? 藍子! だよな!?」

「そ――――そうですよー…こいつは昔から頑丈なんです~…千人乗っても大丈夫…」


 藍子!? いつもの冷静さは何処へ置いてきたー!?

 視線を送る。

 こういう時もあるのよ!

 視線を返す。


「そうなんでっすか! 人体の神秘?」


 『信じちゃうんだ…』

 流石、南屋…。

 良い子なのよ…良い子なの…


「ふぉふぉ! ……ふむ…やっと手放す事が出来そうじゃ」


 暑いのとは違う汗をかいている燐太と藍子は、視線を右往左往させている。

 灯は二人を楽しそうに見ていた。


「…そら…」


 老人は何を思ったのか、手に持っているパナマ帽を手放した。


「おっ! おい! 何やってんだよ!」


 帽子は風に飛ばされながら、川に落ちる。

 沈む事なく、水の上を滑っていく。


「…いいんじゃ…あれは借り物でな、持ち主にやっと返せる…」

「はぁ?」


 老人は微笑ましげに歯を出すと、頭を下げた。


「ありがとう」


 ボケたのかと思ったけど――――違うみたいだな…。

 晴れ晴れとした老人の顔に燐太は口を噤んだ。


「今イチ、良くわかんねぇが………」


 燐太は照れ臭そうに、顔を背けると、ああ、だの、うん、だの分からない声を上げた。


「どういたしまして! じーさん!」


 嫌味の無い笑顔が余計に記憶の中の彼と似て見える。

 老人は静かに微笑んだ。


「次会う事があれば、礼をしてやらん事もないぞ?」

「上から目線!?」


 無事、持ち主の所へ行けば良いのじゃが…どうかの。

 水面みなもに浮かぶ、色が抜けた帽子は、流れに乗っていく。

 本当に、長生きはするものじゃ…こうしてたまに、風と一緒に懐かしい思い出を運んで来てくれるのだから。久々にあいつの顔を思い出せたしなぁ…。

 思い出があれには詰まってると思っていたが、本当は帽子じゃなくてずっと心にあったか…。

 帽子を見るより、あの少年の顔を見た方が克明に思いだせたとは…いやはや…。

  ……ほう…あんなに遠くまで…。

 おお…忘れておった! 早く、可愛い孫に逢わねば…こうしては居られん!


 ゆるり、ゆるりと、遠ざかる。

 川の流れに沿って、老人の「昔」が流れていった。

 



 

 この先、アクションがぐっと減ります。

 大丈夫! 二・三ヶ月しますと、また戦いに明け暮れる事になりますから!

 つーかこれ…ホラーアクションからコメディになって…

 ないよ!? 一応!

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