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duplices  作者: rakia
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双子

上手く書けないものですねぇ…

ここ最近結構詰まってまして…あ!でも、もう大丈夫…だと思います!

頑張って書きますぜ!



「遠い所をお越し下さり、本当にありがとうございます…」


橋間寧はしまねいは自己紹介も程々に、丁寧に頭を下げた。

この人が依頼をしたのか。

葎の想像ではもっと年配の人を想像していたので意外であった。

多分、自分と同じぐらいだろうな、左目の下に黒子ほくろのある寧の顔を見てそう思う。


「いえ、こちらこそ宜しくお願いします」


真の言葉を聞いて、安堵したように彼女は強張っていた表情を和らげた。

何があったのか知らないが、相当気張っていたのだろう。

ではご案内致しますと、彼女は自身の実家である、旅館「花境」を葎達を先導する形で案内を始めた。

花境の歴史はかなり古いらしく、戦前どころか、もっとずっと前まで遡るそうだ。

中は趣のある造りである。広くはないが、狭苦しさがあるという訳ではない。

葎の第一感想は、修学旅行の時に泊まったホテルとかより全然良いな、といった至極単純なものであった。


「おぅ…なんじゃこりゃ…」


空鉦が奇妙な声を上げた。上の方の壁を見ている。

葎もつい釣られて見てしまう。


「うおう…」


仮面が一面を覆い尽くしていた。

それはもう不気味な光景だった。

壁は様々な形や色の仮面で埋まっている。能面や翁の面、般若や、おかめの面、はては明らかに日本らしくない仮面舞踏会にでも着けて行くような、派手な物まである。

統一性がないのか、本当に様々だ。

葎と空鉦が足を止めたので、真や先頭の寧も先に行かず、同じく壁の方を見ている。


--あれは…凄まじいな--


ガラが突然呟いた。

葎は前の寧に聞こえないように声を潜めてガラに問いかけた。


「何が凄まじいんだ?」


--何と言うか----未練…というか、怨嗟だなあれらにあるのは--


「うわぁ…それって悪霊か…?」


ここ最近、ガラが自分の中に出現した影響なのか、葎はガラの眼を通さなくても、霊やらの類が見えてしまう。今は最初ガラの眼で見た時のようにぼんやりとしか見えないのだが、何だか日に日に強まっている気がしていた。これ以上はっきり見えるのは気が気ではない。精神衛生的に悪過ぎる。

しかし、腕やら首やらがぐしゃりと潰れている浮遊霊を見ても意外と大丈夫なのを考えると、自分はそこそこメンタルが強い方なのでは?と彼は思う。

単に、ガラと常にいるから感覚が麻痺しているだけなのかもしれないのだが、そこら辺は彼は考えないようにしている。


「だったらやだなぁ…」


いいや、とガラにしては珍しく、葎をからかいもせず応えた。


--無数の面に取り憑いているのは実体のない思いだろう。私が見る限りだがね。

種の無い果実みたいなものでね、霊体の核たるものが無い----つまり外側だけの虚像なのだよ--


「ふうん…核が無いとどうなんの?」


--再生が出来ない。消されればそのままだ--


消えるだけの思い----

もし、あるのだったら---何を思うのだ?

いずれ消える自分とその運命にどう向き合っているのだ?

それに意思があればの話だが----


「真さんに言った方がいいんじゃ…?」


--あれ単体で出来る事なんてたかが知れている。

それに歴史ある場所には大抵ああいうのは、在るものなのさ--


「あれ~?ガラさ~ん?

いつかの病院でも、大丈夫とか言ってたのに、大丈夫じゃなかったっすよねぇ?」


--むぅ…痛い所を突くね、君は。………じゃあ私の眼で見てみるがいい--


--………あれ?黒くてモヤモヤしてるだけで何もない…?--


「そう、あれには実体も無いし、力もない。

力があるなら、とっくに何らかのアクションを起こしているだろうな」


分かったかね?、と言うとガラは引っ込んだ。


「じゃあ…俺達が呼ばれたのってアレが原因じゃないのか…」


--そうだろうね。きっと何らかの違う理由があるはず--


「どっちにしろ、気分のいいもんじゃないな…」


--夜中に君の夢枕に立つかもしれないぞ?--


「嫌な事言うなよ…あー…マジで見そう…」


「おーい。葎や~い。何やってんだー行くぞー」


空鉦が葎に声をかけた。

真達はもう先に行っているようで、姿が見えない。


「ああっと!はい、今行きます!」

「お前、何見てた---…あぁ、あの仮面どもか…気味が悪かったよなあ」

「ですよね…」


あの無数の仮面を見て思った事を葎は空鉦に聞いてみた。


「…空鉦さんや真さんもあんな感じのをよく相手にするんですか?」

「おお!するぞ、結構な。まぁでも、大した奴は来ないからなぁ。殆ど、動いたり、髪が伸びたりするような可愛いもんばっかだぜ」

「はぁ、そうなんですか」


じゃあ、テレビでたまーにやってた、持っていると死ぬって奴は嘘なのか---


「おうよ!やばい奴は持ってくる前に持ち主が死ぬからな!」

「………………………………はい?」


えぇぇぇぇえええええええぇぇ!?駄目じゃん!それ!色々と!

それに!どうしてこの人はこんなにも満面の笑みで応じているの!?


「そんな事より、真が待ってるから早く行こーぜ」


空鉦はそう言うと先に行ってしまった。

コレ危なくないだろーな…?

空鉦の話を聞いたから、余計に気になってしまう。

葎は壁の方まで寄り、仮面にの一つを手に取ってみた。

見事な狐の仮面だ。まるで機械で作ったかのように精巧である。

思わずじっくりと見入ってしまう。


「……白い粉…?」


彼は面の端に白い粉が付いているのに気が付いた。

純粋な白色では無く、人肌のような赤みがかったものだ。

手触りはサラサラとしていて軽い。


「…あ…やべ…置いてかれる!」


真達は大きな襖の前に居た。

何の花かは分からないが藍色で見事な絵が描いてある。手書きの様だ。


寧は葎が合流し、全員が揃うと襖を開けた。

中は畳敷きの部屋でよくある和室といった内装だ。


「どうぞ…お座り下さい」


寧の言葉に従い、葎達はそれぞれ敷いてある座布団に座った。


「改めまして----初代の約束を果たしに参りました。

ここで一体何が起きてるのか、お話頂けますか?」

「……はい…私事で、このような所まで来てもらって、本当に申し訳ありません…

私達が悩まされているというのは、あの仮面の事であるというのは、書面でお知らせしたのでご存知の事だと思います----」

「はい。窺っております」

「あれは一昨年の初めに始まりました…きっかけは、村の人間の一人が奇怪な夢を見るようになっただけなのです…その夢と言うのは----あそこ---壁に飾ってあったでしょう?あの無数のお面が夢に出てくるというのです…勿論最初はただの悪夢だと、誰も取り合わなかったのですが、次第に村全体の者がその夢をみるようになりました…しかも毎日です…そのせいで、精神的にノイローゼになる者も…

現に私も見ました…その悪夢を…あんなものを毎夜見ては気が変になります…」

「どのような内容なのですか?」

「数多の面が渦を巻いているんです…そして段々こちらに迫ってきて---顔に…」


張り付くんです…、そう言うと寧は一層表情を暗くした。


「私達も限界です…どうか、どうか、この夢を終わらせて下さい…」


寧は疲れたような眼で真を見た。

真は力強く頷き、口を開いた。


「必ず」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「真~?夢を解決ってどうすんの~?」


軋む床を歩いている空鉦がそう言った。

調べるならば、やはり一番怪しい所をと、食影鬼が生前住んでいたと言われる、俄面の館を調べる事になった。

俄面というのは食影鬼がまだ人を喰らう前----まともだった頃の名前だそうだ。

食影鬼、本来の名前は俄面陰餓がつらいんがという腕の良い、能面職人であり、この村でも人望の厚い人物だったらしい。

ある日、村人の一人が消えるという出来事が起きた。

神隠しだと騒がれたが、結局最後まで見つからなかった。だが、それだけでは終わらず、次々と大人、子供関係無しに相次いで消えてしまった。

それと同時に村の中である噂が広まる。

「消えた村人は俄面陰餓が攫い、喰らったのだ」と。

ある者は陰餓と話した直後に姿が消えたと言い、また違う者は陰餓の家に消えた村人が居た、と言った。

俄面陰餓に対する村人の不審は募り、いよいよ、陰餓の家---現、俄面の館を改めるという事にまでなった。俄面の家は何も無く、陰餓もう既に居らず、残っていたのは面のみ。

気味が悪いとはいえ、残っていた面はそれぞれ見事な物ばかりで、村の中で分け合う事になった。

記録によれば、村の人間はそんな不気味な人物が残した物であるにも関わらず、ためらいも無く、取り憑かれたように、自分達の物にしたそうだ。

それから暫くして隣の村で鬼が出たという話が出た。

その鬼というのは食影鬼こと、俄面陰餓なのだが、誰もそれに気付かず、月日は流れていった---

そんな話らしい。

全く、そんないわく付きの品を家にテイクアウトするなんて、馬鹿だなーと葎は思う。

それにしてもこの俄面の館というのは、廃墟マニアにはたまらない建物であるだろう。

自然に出来たお化け屋敷の様である。

床は所々抜けていて、カビ臭さが鼻に付く。

そして、いたる所にある面---…

「花境」とは違い、日本らしい能面しか無い所が、余計に怖い。


「さて---どうします?」


真が立ち止まり、そう言った。

先の方を見てみると、廊下の道は二つに分かれている。

一階は調べ終わっているので、後は、この二階だけだ。

ホラー映画じゃ、一人で進んだ奴が真っ先にやられるんだよなー…皆で行けばいいのに…


「うっし!じゃあ、真と俺が右!ガラと葎は左な」

「え……ちょ…ちょっと…空鉦さん?ガラも一人でカウントするんですか!?」

「当たり前だー」

「皆で行きましょうよ!?ねっ!?」

「二人ずつの方が捗るぞ?なぁ、真?」

「そうですねぇ----」


一人マジ無理、一人マジ無理、一人マジ無理!!


「じゃあ…悪いけど葎君は左に行ってもらうかな。

住職は、ほぼ戦闘になったら、役に立たないから、付いていないと危なくてね」


皆で行けば怖くない……じゃん……!

うな垂れる、葎をよそに真と空鉦は先に行ってしまった。


--私は寝ているから、頑張れ~--


「この人でなしッっーーーーーーー!」


あぁ…本当に一人か…。

彼は怖がりつつも左の方の道を進む事にした。

昼間なのに何か暗さが目立つ、ガラ黙ったままだ。


「早く終わらせたい…」


独り言を言ってみるが、やはり恐怖は薄れない。

廊下を見ると、右側に、三つ扉があった。


「と…とにかくあ…開けてみるか…」


最初の扉を葎は開いた。


「何もない…」


あっても困るのだが、部屋の中にあったのはボロボロの家具とやはり能面のみだった。

最初の部屋の確認を終え、人知れず葎は安堵の息を吐く。


「やっぱ何も無かったな…な?ガラ?」


--……………………--


無視かぁぁああああ!この陰湿紳士め……

声一つ発さないガラに、後で何て言ってやろうか、と考えながら、葎は二つ目の扉も開く。

やはり何もない。さっきと同じだ。


「何だー怖くないじゃん----」


三枚目を彼は開けた。


「ほら~何も----………あった…」


「あった」というか、これは「居た」というのが正しい。

原型が無い、ベッドの上に何か居た。

それは襤褸切れ《ぼろきれ》のような白い布を体に巻き、頭部と思われる部分には狐のお面を被っていた。

「あばばばばばばばばばば…仮面…仮面がたったった祟りで…どうしよう!!!」


動揺し過ぎて、何を言っているのかも分からない葎は逃げようと扉に向った、だが---


ゴンッ


「んがッっっ!」


彼は、閉まりかけていた扉に強く頭を打ち付けた。

床に大の字でのびた、葎の脳内で走馬灯?のような、回想が始まり、静かに目を閉じた。

あー俺…死ぬのかな…というか…最後に…扉で頭打って死ぬってどうなんだ……ぐふ…。


「だいじょ~ぶ?」


つんつんと頬を突付かれた。

目を開けるとさっきの狐面が見下ろしている。


「死んでからも幽霊見るなんてついてないぜ…」

「いや、あなた死んでないし」

「へっ……!そんなの…仲間にしようとしても無駄だ!俺は成仏す・る・の!」

「駄目だ……この人…どーしよ~…あ、そうだ!」


突如、狐の面が取り払われた。


「ほらっ、これならどう?」


狐面の下の素顔が露になり、葎の眼にその顔が眼に映る。


「……………橋間さん?」

「そう、橋間さん。 あたし橋間舞はしままい宜しくね!」

「まっ舞?」


----双子…?

その女性は寧と瓜二つだった。

近くまで寄れば、多少なりとも違いがあるのだろうが、葎の眼からは殆ど本人にしか見えない。

違いらしい違い、は眼の下の黒子が無い事か。


「あなたって、え~っと…JPCだ!JRC!それから来た人でしょ?」


いや、JRPCだ。確かにややこしいけども。

はぁ…寧の双子なのか…?本当に?

だとしたら、ここまで性格が違うもんなのか…。


「あたし、てっきり、もっと怖い顔した人が来ると思ってたんだよね!

あなたが本当に、あの悪夢を解決してくれるの?」


子供のような無邪気な笑顔で彼女は笑った。

その表情のせいか、寧は葎と同じぐらいの年齢だと思ったのに対し、目の前の寧はもっと若く見える。

下手をしたら、灯と同じに見えてしまうだろう。

どう接したらいいものか困ってしまう。年上なのか、年下なのか分からないからだ。


「いっ…いや、まぁ…ところで、君も悪夢見るんだ?」


葎がそう言うと彼女の顔から笑いが消えた。


「………夢の中で、いっぱいの仮面が出てきてね…あたしを追いかけるんだ…それだけならいいんだけど…」

「顔に張り付く----」


葎は思わず、寧から聞いた言葉が口を突いてしまう。


「……うん……」


舞は眼を伏せた。

毎日そんな夢みたら、そうなるよなぁ…。


「あの仮面に飲み込まれたら、あたしは消えてしまう」


消える?


「それはどういうこ----」

「じゃあね!さらば!言い忘れてたけど、あたしは舞でいいよ!」

「え?おい!ちょっとまてーーい!!」


白い襤褸切れを投げ捨て、窓から舞は飛び降りていった。

急いで窓越しから彼女を探すが、飛び降りた筈の彼女の姿は無かった。


「おいおいおい…これ…マジック?」


--良かったな成仏しなくて、フフ…--


「あっ!コラお前、狸寝入りかっ!」


--非常に面白かった、主に君が--


「だってお化けだと思うもの…」


--それより気付いたな?--


「………ああ」


彼女には二重存在じゃ無いが、何かが憑いている。

よくは分からないが----何かに似ている。似ているが----思い出せない。


「橋間舞---か」









台風がやばいです…

家が揺れてます…

ああ、窓に窓に!

それはそうと、三話のサイドストーリーも考えてるのでお楽しみに!


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