風
これで一応二話目は終わりです!
説明が分かりにくかったり、矛盾点も多いですが、細かい事は気にするな!
「おーい、葎ーおーい」
誰かが、俺を呼ぶ。
疲れているのか、起き上がれない。
疲労感が体に滞留している。
「起きろーー葎ー」
呼んでいる。
「おい、根暗。早く起きろと言っている」
呼んでいる?
「まったく、根暗な癖に下手に正義感だけ強いからこうなるんだ」
呼んで…貶している…
「嗚呼、メロンパンばっかり食べているから脳味噌までメロンパンになってしまったのか」
…………………とりあえず起きたら、殴ろう…。つうか、この声…
「やーい、メロンパンやーい」
「メロンパンを悪口として使うなぁぁぁあああああああああああーーーーーー!!」
叫びながら葎は起き上がった。自我がハッキリと覚醒する。
またここか。白が眩しい。どうやら、またあの白庭に来てしまった、というか呼ばれたのであろう。何故なら、傍らには、あのおかしな紳士服の人物がいるのだから。
「----はぁ…三度目だから驚かないぞ……寝る……」
そう言いながら、よいしょと再び白色の石畳に横になる葎をガラが引き止める。
「待て待て、私は無視か?」
安眠を妨害され、眉間にしわを作った葎はテーブルで、多分紅茶だろうものを啜りながら見下ろすガラを、目を細め見る。出来るだけの険悪な視先を送ったはずなのだが、相変わらずの涼しい顔で葎の事など全く意に解さない。
「何だよ、疲れた、寝かせろ」
「十分君は寝ただろうが、一体あと何時間寝れば気が済む」
「……そういえば何でここにいるんだ?あの後俺は----」
「気絶した」
そうだ、自分はあの後、直ぐに気を失ったのだ。
そこから先の記憶が無い。
「あの----二重存在は?」
「……追えなかった…気絶したままの君を放っておく事は出来なかったからね……一先ず君の携帯で警察を呼んだよ。……で、今君は病院のベッドの上さ」
きちんと捕まっていればいいのだが…
この先は警察に聞くしかあるまい。
それに自分も無関係では無いのだ、嫌でも聞かせてくれるだろう。
耽る葎にガラが思い出したように言う。
「そうそう、風早燐太ともう一人の少女も無事保護されている。安心していい」
「……そっか良かった…」
ガラは葎にティーカップを差し出す。
受け取りながら彼に疑問が湧く。
「さぁ、それを飲んだら戻りたまえ、もう朝だ」
カップからいい匂いが立ち昇り鼻をくすぐる。
口をつけるとちゃんと味がした。
「美味いな……」
「当たり前だよ。何故なら私が茶葉から栽培して発酵まで行っているのでね」
「嘘だろ」
「嘘だ」
はぁ…俺も大概慣れたな…
くすくすと茶菓子をつまみながらガラが口を開いた。
「では---また、来たまえよ」
「嫌でも連れて来るだろ、お前」
「勿論!」
現実が呼ぶ。
さぁ…起きようか…
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「----…ん…ん~~ふぅわ~あ………」
カーテンの隙間から朝日が差し込んで来る。
あまりにも明るいので眼が眩み、慣れるまで時間がかかった。
欠伸をしたら、幾分すっきりとした。
--いい朝だ!--
「傷だらけだけどな…」
ちょっとしてからガラッっと扉が開いた。
年配の看護婦が病室にいそいそと入ってくる。
「あら、起きたんですね」
「あぁ、はい」
「少し待っててくださいね」
そう言い、看護婦は病室の外に出て誰かを呼んできた。
暫くすると、紺のスーツを着た人物が入ってきた。
細面で如何なる時でも冷静さを欠かないといった雰囲気を持っている。
年は真と同じか、少し上という所だろう。
「やぁ、初めまして。俺は村家霧人まあ…所謂、刑事だ」
「あーえっと…栖小埜葎です…」
口元に笑みを浮かべると、霧人は葎に楽にしてくれと言った。
「いやあ…大変なのに巻き込まれたね…」
「はぁ……あ…あの…あいつ…あの男は…?」
霧人は一瞬右上を見てから答える。
「君が聞いているのは犯人…の事だよね?
……うん。それも含めて今から話をするよ。
君にも話を聞かせて貰わないといけないからね」
そして彼は話し始めた。
大雑把に纏めるとこういう事らしい。
葎達を襲った人物は姥季淡慈というらしい。
彼は去年頃から失踪しており、行方不明であったそうだ。
彼が失踪したのと同時に、彼と関わりのある女性が死体で発見され、重要参考人として捜索されていた所を、今回この石動市で発見された。どうやら日常的に殺人を繰り返しており、各地を転々としては殺人を犯していたらしい。
彼の殺人は凶器が鋸であるという事以外は共通点が無く、関連性が無いと思われていたそうだが、地方での目撃情報、そして、今回彼が石動市で殺人を犯し、被害者の眼球を持ち出したらしいのだが、それが彼が道路にぶちまけたいくつもの肉片の中にあったらしい。死後一日しか経っていなかったそうで、霧人曰く「新鮮だった」らしく、その他、耳やら髪やらが各地の被害者から持ち去られていた部位と一致して、目撃情報と共に彼を特定するに至ったそうだ。
「その----姥季って奴は---捕まったんですか?」
葎の言葉に霧人は頭を振る。
「周辺をくまなく捜索したが、血痕が残っていただけで、見つからなかったよ。
逃げたというのが、公式の見解だな」
「そんな……!」
葎の表情を察したように霧人は言う。
「大丈夫。必ず俺達が捕まえる。約束する」
暫し沈黙が訪れるが、それを破るように霧人が口を開いた。
「というか、良く君無事だったねー。
怪我はしてるみたいだけど、殆ど大したものじゃ無いってそこの看護婦さんが言ってたよ?」
「まっ…まぁ運が良かったんじゃないでしょうか……」
「本当それだけかい?」
「は…はい」
霧人はずいっと葎に顔を近づけ、目を真っ直ぐ見る。
探るような目付きだ。
「それは良いんだけどな」
良いのかよ!じゃあ今の何!?
葎は口には出さないが、突っ込む。
「それでさ…君はあの夜何してたんだ?」
「……たまたま通りかかっただけです…」
「それで…あの子達を助けた…と?」
「…そうです」
ふうむと霧人が言う。
「あの子達も同じ事を言っているし---本当みたいだね」
その後、幾つか質問され、霧人は帰ると席を立った。
「また呼ぶ事があるかもしれないけど、その時は宜しく……っとそれと----」
「何です?」
「いや…何か----いや……いいや」
お大事に、と言って彼は去って行った。
霧人が出て行ってから先程の看護婦が再び入ってきた。
霧人が言っていた通り、怪我は打撲と擦り傷のみで、軽く検査をしたら帰っていいそうだ。
午後に病院を出てから真に電話をかけ、簡素に事情を話し、伝えた。
「君とはじっくりと話す必要があるようだ」
いっ…威圧感が…
平坦な真の声が逆に怖かった。
色々言いたい事はあるが、とりあえず話は二日後と言われた。
葎は電話を終え、病院の外の本来座るべきでないであろう石段に、腰を落ち着けてからガラに話しかけた。話題はあの姥季淡慈という男の事だ。
「…どう思う?」
--姥季淡慈を言っているのかい?--
「……ああ何処に消えたのか気になる」
--実は君が気絶してから、気配を探ってみた……
しかし…パッタリ彼等の気配は消えてしまっていたよ。少なくともこの近辺には、居ないのは確かだ」
「消えた?」
--そう、彼等はいきなりパッタリと消えてしまったのだよ。何をしたのか知らないが…」
「それっておかしい……のか?」
--気配を消す事は出来なくは無いが----
はたしてあんなに取り乱していた彼等にそれが出来たかは怪しいな--
「何だか知らないけど、半端なく怯えていたもんな…そういやさ、あの時…黒い影が、あいつを取り囲んでいたように見えたんだけど…ありゃ悪霊だよな?」
--ああ。彼等に殺された者達だろうな--
あの時、淡慈の周囲には彼等を囲こむかのように、病院で見たのと同じ黒い影が無数に蠢いていた。
ただ…病院の悪霊と違い、あれらは淡慈の事だけを見ていた---恨めしげに。
「でもさ、アレって生きてる人間は危ないんだろうけど、二重存在ならあんまり関係無いんじゃないのかよ?消せるし。それなのに、あんなに怯えるか?」
--怖かったんだろう。罪の意識とはどんな悪人でも拭い切れないものなのだよ…、彼等は忘れたつもりだったのだろうが、あれらは最初から彼等の近くにいた……君が引き金を引き、その心の底にあったものを再認識させ----見えるようにした…
だからあそこまで過敏に怖がっていたのだよ。そりゃそうだ、姥季淡慈達にとってはいきなり現れたに等しいのだから。
あそこまで怯えたからには、彼等にはきっと、私達には見えていないものまで見えていたんだろうさ--
「ふうん…」
何が見えたのだろう…淡慈には。
そして殺された人達は救われたのだろうか?
昨日の光景を思い出すと何かやりきれない気持ちになった。
先程の話に戻るのだが、とガラが言う。
--あんなに強い個性を持っている彼…あぁ彼女か---が自分の存在を完全に気付かれないようにするのは難しいと思うのだが----どう思う?--
「俺に聞かれてもなぁ…分かんないよ」
--だろうな--
「じゃあ聞くな!」
分かっておいて何故聞くんだこの野郎…!
葎の様子を無視してガラは続ける。
--……姥季淡慈か……また会うかもしれないな--
「もう会いたくないけどな」
--おや?やっぱり怖かったのかな?--
「そりゃあ……多少は…アリカの方がマシだったぜ」
--荒くれと変態、どちらがマシかといえば荒くれという事か--
「荒くれって………まぁ…間違ってはいないか」
否定しようかとしたが、半分、いや殆ど合っているので止める。
根はいい奴なんだよ、根は………多分。
--…ふぁぁ…--
「どうした」
--うん?…眠いのだ…--
「っぷ…!眠い?お前が?」
ガラの意外な言葉に思わず噴出してしまう。
--失礼な、私達だって眠くなるのだよ。大抵は君と同じ時間に眠っているし、体力---というか、魂を磨り減らなさなければ、あまり眠らなくて済むのだがね…昨日はいささか疲れてしまった--
「へーそうなんだー…だから返事しない時とかあんのかー」
--…うん?あー!はいはい、あれか…うん…まぁあれだ、そーゆーことだ--
「おいこら……何で歯切れが悪い。お前---」
--それより早く帰ろうじゃないか--
葎が最後まで言い切る前にガラが口を挟んだ。
「ったく…………分かったよ」
こうして葎は一日ぶりの家路に着いた。
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「……………………………………」
葎の目の前には神妙---とは言っても、普段通りの顔の表情の真が座っている。
天儀屋に来たはいいのだが、出迎えた真は「痛むかい?」と言ったっきり、一言も発さない。
これではいっそ、怒鳴られでもした方が楽なものである。
静寂な空気に耐え切れず、葎が声を発する。
「まっ…真さん?…やっぱ……怒ってます?」
「………まあね」
あー…ですよねー…
「どういうつもりだ?」
真のその声はかすかに怒気を含んでいる気がした。
「いやー…その~時間が…ですね…無くて…ですね…気絶しちゃってですね…取り逃がしたのは、本当にすいませんでしたっ!」
仮にもあのような危険人物を取り逃がしてしまったのだ、怒られても仕方が無い。
ある程度の覚悟はして来てる。
「……俺が言ってるのはそういう事じゃない、死ななかったから良かったものの…
そんな怪我までしてきて…、自分を大切にするという事を知っているか?君は」
意外だった。
「で…でも~」
「『でも』じゃない。姥季淡慈を逃がしてしまったのはどうでもいい。見つけ次第ただじゃ置かないから」
真は葎を一蹴すると、彼をギロリと睨む。
「そんなのより、君の方だ…問題は…!……何を考えているんだ…!」
彼にしては珍しく、言葉に熱が入る。
「……すいません、でも…!俺…助けないと…って……」
「……………………………………………」
恐縮して小さくなる葎を見て、真は呆れたように微笑む。
「…まぁ南屋灯さんの時もそうだったし----
これが君のいい所でもあり、悪い所でもあるのだろうね……」
彼はこれだけは約束してくれよ、と言い、葎の目を真っ直ぐ見た。
「悩んでいる時は絶対、誰かに相談するんだ。別に俺じゃあなくてもいい。
………もし君が一人で問題を抱えて潰れてしまったら…身近な誰かが傷つく事になる」
噛み締めるように真は言い切った。
「---分かったかい?…ほら、もう帰りなさい」
葎が口を開く前に真は葎を店から、はいはい、帰った帰った、と追い出し、しっかり休むんだぞ?と念を押してから彼を帰した。
「……はぁ…………」
とぼとぼと、道を歩く葎にガラが声をかけた。
--気にしているのかい--
「………正直、心配されてると思わなかった…」
--まぁ、君を気にかける奇特な人間もいるという訳だ--
「いつも一言多いな!お前!」
--仕様だ、我慢したまえ。かく言う私も心配してない事も無い事も無い事も無いはずが無い--
「何か…それ…訳分かんなくなってるぞ」
--そうだな…微妙と…いった感じだ--
「微妙って何だ、微妙って----」
「あーーー!栖小埜さんだ~お久しぶりっす!」
がやがやと騒ぎ始めた彼等に前から聞き覚えのある声が飛んできた。
声の主はすでにもう目の前に来ている。
「ん?おお…南屋さんか。また昼帰り?」
「そうですよ~今日もお昼で帰り----っと…!?どうしたんです?その怪我!?」
葎の様相に灯は驚いた。
彼女が驚くのも無理は無い。何故なら、ほんの少し会わなかった間にこの目の前の青年は傷だらけになっており、包帯をぐるぐると巻いているのだから。
何をしたら数日の間にこんな怪我が出来るのであろう?彼女は疑問に思い、まじまじと葎を観察するように見る。
「事故にでも遭ったんですかっ!?」
「いやぁ…色々とあってね…それに事故に遭ったのはもっと前さ…そう何度も遭ったら堪らないよ」
色々ってなんだろ…?
灯は困った顔をした。
どう反応したらいいか分からなかったからだ。
「じ…じゃあどうしたんですか?」
「なんというか----不審者に出くわした高校生達を助けたらこうなっちゃった」
「お…ぉおう…そっ…そうでっすか……あれぇ?それに似たような話を最近聞いたよーな?」
それはともかく、どうしてでしょう…この前といい。何とな~く現実味にかけてるよーな…
葎が嘘を言ってるようには見えないのだが、そう何回もトラブルに一人の人物が巻き込まれるものなのだろうか?もしかしたらこの青年は、そういうのによほど縁があるのかもしれない。
----……テメーが言うな。
「!!?」
今…誰か----
「大丈夫?ぼうっとしてたけど…」
葎が灯の目の前で手を軽く振りながら聞く。
「おわっ!!……は…はいっ!」
思考の世界から引き戻された。
もう一度あの声を思い出す。
乱暴な声だった気がする。でも---懐かしかった…
どうしてか、自然と頬が緩む。
私の気のせい…だよね?前にも聞いた事があるような----
んん?でも……これって落ち着いてよ~く考えてみたら………心霊現象じゃ!?
一気に灯の瞳がクワッと見開かれる。
まさか…!…おばーーちゃーーーーん!?
「ほ…本当に何ともない?」
切なそうな表情をしたかと思えば、急に昼ドラの主人公のような、シリアスな表情になった灯に、そっと葎は話しかけた。
「おっ…おばあちゃ……お供え物は食べ…いやいやっっ!何でも無いでっす!
あ…そーだ!風早君どーでした?あの後見つかりました?」
思い出したように、ぽん、と手を叩き、灯が話題を変えた。
「風早君?…………ちゃんと見つかったよ?南屋さんと別れた後にね」
「そうでしたか…」
灯は若干ばつが悪そうに下を向く。
何となく察した葎が励ますように言う。
「風早君とあの----柳葉って子は気にしてないと思うよ?」
「そうでしょうか…私…無神経なこと聞いちゃったので…」
「学校には来てないの?」
「う~ん。昨日まで休んでいたんですけど、今日は来たらしいですね。でも、教室には二人とも来てなくて、直行で職員室に行ったみたいなんですよ、何でも、事件に巻き込まれた、だの何だのって良く分からないんですよね…警察が来て先生達を交えて説明をしたって噂です…」
---待てー!燐太!食えー!
---はん!や~だねっ!お前の激甘玉子焼きなぞ食えるかー!!
葎と灯はしんみりとした空気になっていたが、それをぶち壊すような騒々しい声達がどこからか聞こえた。
声を聞いた途端、葎の脳内に、あれえ?こんなの前にもなかったっけ?、というある種デジャブであるものが訪れる。
タッタッタッタッタッタッ…ドンッ
肩に誰かがぶつかった。
「おおっと!誰だよ…」
「危ないですねっ!----んん?」
斜め前を見るとそこには、さっきまで葎達の話題になっていた、件の彼----風早燐太がいた。
「おう!メロンパンマンと南屋か!わりーわりー!」
「だからー!メロンパンマンじゃない!む……君、髪染めたのか?」
燐太の髪はこの間までの金髪とは違い、黒くそめられていた。
葎に指摘され、まあな、と燐太は照れ臭そうに笑う。
「あんなのがあった後なのに、染めろ、染めろってうるさいんだよ、あいつさ。
----っと!やべ!追いつかれる!」
後ろには、弁当箱だろうか、何やら持っている柳葉藍子が燐太を目指して走って来る。
「何で玉子焼きだけ食べないのよー!」
「地面に少しでも零すと、虫が大量に群がってくる玉子焼きなんて食えるかー!!
胸焼けだけじゃ、済まねーわっ!しかもお前砂以外に何、入れやがった!?」
「えっ?ハチミツと…キャラメルと…チョコレートと…あっ!あとグミ!」
「おかしいだろ!特に最後!何で玉子焼きだけ変なんだよ!?」
「いいから食えーーーーーーーーー!!」
「食うかッっ!!」
『まともそうな子に見えたんだけどなぁ…』
葎と灯の思考がその時シンクロした。
「じゃ…!じゃあ俺もう行くわ!それと…ほらよっ!」
燐太はスクールバッグから袋を取り出すと、葎に投げた。
「これ…何だ?」
「ほらっ!これ、この前のお詫び!あいつの弁当だけじゃ足りねーから買ったんだわ」
「お侘びって…これカレーパン…」
「そいじゃ!」
「あ…おい!」
葎の言葉を待たずに燐太は走り出す。
少しして、藍子が葎達の所まで追いついた。
葎の姿を確認すると少しばかり足を緩め、こちらに軽く頭を下げた。
「あ…この前の………ありがとうございました。……改めてまた!」
彼女もそう言って、葎達の元から去って行った。
忘れてたけど…柳葉さんは二重存在知ってるのか…
事後処理とか、どーすんのかな…
---食え!食え!食えーーー!
---怖ッっお前怖ッっ!
それにしても何という騒がしさだ…
でも…あいつら大丈夫そうだな…もっとアレかと思ってたんだけど----
なんとも言えない顔をしている葎をちらりと見て、灯がむふーと気の抜けた声を出す。
「仲いいですねぇ~」
「いいのかな?あれは?」
「いいんですよ!」
---死ぬ死ぬ!待て待て!
---喰らえぇぇぇぇええ!!
「ねっ?」
灯は葎にっこりと笑う。
---やめろぉぉおおおおお!ぐわぁああああ!!
---やったー!食べたー!
一迅の風が葎と灯の間を吹き抜ける。
唐突にガラが口を開いた。
--いい風だな--
「あぁ…だな」
とても----気持ちのいい風だった。
<了>
ところで、活動報告とかした方がいいのでしょうかね?
それはそうと、感想待ってます!
次回は四日後ですかねぇ




