表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
duplices  作者: rakia
1/71

夢の続き

ライトノベルみたいな感じで軽く読んでくれたらありがたいです。

文章がつたないので、読みにくいかもしれません。

言葉、表現の間違いなどありましたら是非ご指摘ください(笑)

ちなみに初投稿です。




 目の前にはテーブルがある。

 テーブルの上には紅茶のポットとティーカップ、それと茶菓子が置いてある。


またこの夢か…


椅子は二つあり、片方にはいつもの通り、黒いはっきりとしない影が座っていた。

 影は俺に気付き、振り向く。


 ――ヤア、イラッシャイ―― 


 ――セキニツカナイノカネ?―― 


 ――コウチャガサメテシマウヨ――


 お前は誰だ? と、問いかける。


 ――ワタシカネ? キミガヨクシッテイルダロウ?――


 夢はいつもそこで終わる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ゆっくり息を吸う。


「大丈夫…大丈夫…」


 栖小埜葎すおのりつは自分に言い聞かせていた。


 一人で扉の前でぶつぶつと独り言を呟いている俺はきっと不審者に見えるだろうな…いやいや、そんな事を考えている場合じゃない。とりあえずはこの目の前の扉を開けなければ…

 時計はもう一時を示している。


「…よし」


そして葎はドアノブに手をかけた。


「こ…こんにちは…」

「おっ? やっと来たね、やけに遅かったけど、まぁ無事に来られてなによりだ」

「はい。今日から宜しくお願いします真しゃん…あっ…」


見事に噛んでしまい、彼の顔はみるみる赤くなっていく。


「ははっ! やっぱり君面白いね」

「初めてなんだから、緊張するくらいがちょうど良いんだよ」

「あっ…すいません…」

「いやいや、謝る必要は無いよ」

 

目の前の男、府儀真ふぎまことは笑いながら手を差し出てくる。葎はうつむき気味にそれに応じた。


「改めて今日から宜しく」

「それと、これ。制服だ。奥に部屋があるから着替えてきてくれ」

「あっ、はい」


 制服を受け取り、店の奥へと足を進める。レジの真後ろが従業員用の通路になっており、査定中の商品などが通路の横に配置されている。


「何だこれ? リサイクルショップって、こんなものまで扱っているのか…」


古そうな油絵を眺めてみる。

 奥に進むにつれ、いかにも怪しい物が増えてきた。通路は薄暗く、視界が悪い。

 足元に気を付けながら葎は進む、雑多な物が多く非常に進みにくい。ふと、足元から顔を上げるといきなり白い顔が目の前に現れた。


「っ!?」


それは白い仮面のような物だった。白地をベースに金の煌びやかな細工がしてある。


「大丈夫かい?」


奥から真に声をかけられ、平静を装いながら葎は返事をした。


「だっ大丈夫ですっ。なっ何とか…」

「そうか? 奥の方は薄暗いから気をつけてくれ」


 正直、心臓が止まるかと思った。胸がバクバクと脈を打っている。

 真正面に、こんな不気味なお面を吊り下げないで欲しいものだ、心臓に悪すぎる。


「ここ…だな」


 通路の突き当たりに扉があった。葎はドアノブを手をかけ、回した。


 カチャ

中に入り全体を見渡す。部屋の中はそこそこ広く、木製のロッカーが二つと、洒落たカフェテラスにありそうな大きなテーブルが一つ、それとテーブルとセットらしき椅子が四つあった。

 不自然に置いてあるテーブルに若干の違和感を感じる。別に在っても問題は無いのだが、どこかこの部屋に不釣合いな印象を感じた。


「それにしても…よく雇ってくれたなぁ…」


葎は高校を卒業して数日も経たない某日に事故に会い、そこから一ヶ月も寝たきりだった。幸い怪我も後遺症が残る程では無く、漫画のように記憶が無くなるなんてこともありはしない。事故による影響は殆ど無かったと言っていい。なぜなら彼は特に将来の展望も決まっておらず、無意味に大学に行くよりはアルバイトでもしつつ、自分のやりたい事を探した方がいいのかと、自分の進路は決めていなかったからだ。

被害はバイトを入院している間にクビになったぐらいだろう。

 しかし、彼は卒業と同時に勢いで、一人暮らしをしていた。資金はこつこつと貯めていた貯金だ。クビになり金銭的にかなり厳しい状況になる事は容易に予想がついた。入院をしている間は仕送りでなんとか生活できていたからよかったものの、退院後も面倒を見てもらうわけにもいかないので、新たな働き口を探さなければならなかった。

 ところが働き口は全く決まらず、どうしようかと駅前をうろついてた折、この店の前に貼ってあった従業員募集のポスターを見かけた。書いてあった番号に電話番号に掛けた所、その翌日には面接をすることになり、その後は決まってたかのように採用され、とりあえずは安心することになった。

 若干思っていたのと違うのは、アルバイトではなく正規に雇用された事ぐらいだろう。無論、金銭のやりくりに困っていた葎にはこれはうれしい誤算だった。


「おっ…ぴったり」


 あれ? そういえば服のサイズ言ったっけ? 

 真から渡された制服は着るという程の物でもない、首から掛けるエプロンタイプのものである。葎は背が高い方なので、バイトなどの制服は丈が足りない事が多いので、すんなりと着れる事は少なかったのだ。

 背中の結び目を確認しながら最初にここに来た時の事を思い返す。

 面接をしに、店に初めて来た印象はまるで博物館に来たようだった。

外装が古めかしく、木造の建物で、「これは喫茶店だ」と誰かに言われたら鵜呑みにしただろう。そう思うほど、都心にあるにしては、落ち着いていた。建物の周りだけ時間の流れがゆっくりしているような印象を、葎は持った。

 店の中の造りは変わっていて、中央にレジがあり、レジを囲むように品物が陳列してあった。

そしてレジの真後ろに従業員通路がある。不自由では無いが、おかしな造りだ。

 元々店主の真が道楽でやっているようでそんなに忙しくないと聞かされた。店内を見ればそれも納得する。変なものが多いのだ。この店が取り扱っている品は多岐にわたり、時計や食器、服はもちろん、簡単な玩具などもあるだが、用途不明な物も多くあり、まさに道楽商売にふさわしい。


「うん…変じゃないよな?」


 着替えが終わりレジへと向かった。その後は普段やるレジ打ちや、その他の雑用を教わった。

その内、買い取る商品の査定方法も教えてくれるそうだ。


「慣れれば簡単だよ」


 との事。


「じゃあ今日はこのあたりで切り上げようか」

「わかりました」


 着替えを終えたころには外は暗かった。二人は簡単な戸締りの確認をして外に出た。


「お疲れ。まだ慣れないだろうけど、明日も頑張ってくれ」

「はい…今日は教えてもらってばっかりですいませんでした」

「いや、だから謝らなくていいって」


 苦笑いをして真はそう言った。


「はぁ…」


 ああそれと、と真が思い出したように葎に声をかける。


「最近君の住んでいる近所とか、周りで性格が豹変した人とかいない?」

「豹変? ですか?」


 彼が何故こんな質問をしてきたか葎にはわからなかった。

何かあったかと思い出そうとしたが、心当たりは全く無い。


「んー特にないですね。何かあったんですか?」


 いや、と考え込むようにして真は顎に手を当てた。


「ちょっとした噂でね…最近性格が急に変わる人がいるそうだ」

「まぁ…根も葉も無い噂だよ、ただの。変な話をして引きとめて悪かったね」

「…? そうですか。じゃあ失礼します」

「ああ…気を付けてな」


 真と別れた後なんとなく小腹が減ったので、コンビニに寄って帰ることにした。

 店に入り適当に気になった商品をかごに入れる。商品を物色している最中にも真が最後に持ち出した話題が頭から離れなかった。

 なんで…なんであんな話を…?  

 もやもやとした気分になる。

 いや、俺が気にしたところでなぁ…ただの噂話だし、と素早く会計を済ませ外に出る。

 外は春特有の独特な爽やかな風が吹いていた。

 ん?

 視界の隅に数人の人だかりが見える。

 あれは女の子…?

 今時の子に多いショートカットでぎりぎり校則に違反しない程度に髪を染めている子だった。

 少女の周りには見るからに柄の悪そうな男が数人たむろしている。

 絡まれているのだろうか? でも、あの人数は俺じゃあどうしようも無いな…。

 考えあぐねた結果、葎はとりあえずコンビニの店員に警察を呼んでもらおうと思った。念の為に本当に絡まれているのか遠目で確認する。間違えだったら、それこそ自分の方が迷惑になりかねないからである。

 しかし妙だ…やけに静かだ。

 目を細めよく見て見る。

 ……おかしい…何で不良の方が怯えているように見えるんだ?

 不意に中心にいる少女と目が合う、その瞬間彼は背筋がぞくりとする感覚に襲われた。少女はニタリと裂けたような笑みを浮かべた後、すぐに視線を葎から外した。男達の内の一人がこちらに気付いたらしく、葎に呼びかける。


「け、警察を! 早く警察呼んでくれ!」


 葎に対し、男は怯えた視線で訴えかけた。


「は?」


「だから警察だって! この女おかしいんだよ!!」


 状況がよく飲み込めず近くに寄る。

今まで足元に隠れていて気付かなかったが男達の仲間の一人らしき人物が倒れていた。

その人物は暗がりでも確認できるほど大量に出血していた。赤黒い血がアスファルトにこびりついている。


「っつ…!? どうしたんですか! これ!」


「あっあいつがあの女が…この辺ウロウロしてるから無理やり声かけに行ったら…!」


 倒れている男を指差しながら説明する。


「俺らもやっちまおうってなったんだけどよぉ…何でこんな事に…」


 よくみれば少女以外全員が怪我をしているようだった。唇が切れていて、目に青痣を作っている者も少なくない。

 自分も彼らと同じ目に遭うかもしれない。そんな不安が葎の中によぎる。

 少女がこちらに近づいてくる。

 不味い!早く逃げなければ! 頭では分かっているのに彼の体は動かない。少女はもう目の前まで来ている。

 葎の目の前まで来ると、彼女は彼の耳に手を伸ばした。


「何だお前も同類か」

「…えっ…?」


 まるで内緒話をするかのように少女は葎の耳に呟く。

 続けて威圧感のある、この年頃の子に不釣合いな声で。


「あんま俺の邪魔をするんじゃねえぞ…? じゃねぇと…」


 喰っちまうぞ?


 それだけ言うと少女は暗闇に消えていった。


「…ハアッはッっ…」


 息ができなかった。あの少女の異様な威圧感に呑まれていたのだ。その場にいる誰一人として少女が立ち去るまで動けなかった。

 何だったんだ今のは…

 葎はその場にへたり込んでしまった。


「…早く救急車呼びましょう」

「ああ…」


 その後、救急車が到着した。倒れていた男は頭を打って気絶していただけだった。あの血は頭を切った時に出血したものらしい。

 後から到着した警察に男達のグループは事実とは違う事を証言したようだった。

 最初の原因が自分達にある上、たった一人の少女にやられたとなれば彼らもバツが悪いのだろう。

 葎は特に怪我も無く、ただの通りすがりの発見者だったので、簡単に事情を聞かれた後、帰っていいよと言われた。


「はぁ…」


 今日は散々だ…

 葎が自宅に着いたのは九時近く。

 着替えを済ませ、コンビニで買ったパンなどを食べようとしたが、喉を通らない。風邪を引いた日でも食べられるぐらい好物のメロンパンも封を開ける気にならなかった。

 もったいないから明日食べよう…冷蔵庫に入れた方がいいのか?

 コンビニで買った物を冷蔵庫に押し込み、ソファーに横になる。

 家に帰ってきた安堵感からか、頭の中も鈍くなり、次第に瞼が重くなっていく。 

 心地よいまどろみの中、またあの夢が始まった。

 


いかがだったでしょうか。

感想、お待ちしております。

やさしーくお願いしますね(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ