エイプリルフール
エイプリルフールに因んだラブコメです
4月1日、0時ちょうど。
(今日なら、言ってもバレない)
本気でも、冗談にできる日。
そう思って、通話をかけた。
「もしもし?」
少しだけ眠そうで、やわらかい声。
それだけで、ちょっと安心する。
「なに、急に」
「声、聞きたくなった?」
軽く笑う声。
(あー、もう無理かも)
一瞬で、いつもの距離に戻される。
でも、今日は違う。
「……うん、それもある」
少しだけ正直に言って、
そのまま続ける。
「あとさ」
一呼吸。
心臓、うるさい。
「……好き」
沈黙。
ほんの一瞬なのに、やけに長く感じる。
「……え?」
小さくて、戸惑った声。
(やば)
「エイプリルフールだから」
すぐに言う。
逃げ道。
でも、
「……あー、びっくりした」
「急に言うから」
少し安心したように笑う。
「はいはい、嘘ね」
その一言で、
胸がちょっとだけ苦しくなる。
(分かってたはずなのに)
「……ねえ」
ふいに、声のトーンが変わる。
「ほんとに、嘘?」
さっきより、少し近い声。
逃げられない感じ。
「いや、まあ…」
ごまかそうとして、
でも、
うまく続かない。
すると、
「今、ちょっと間あったよね」
くすっと笑う。
「それ、ずるくない?」
やさしいのに、ちゃんと見抜いてる。
(…ほんと、敵わない)
少しだけ観念して、
「……半分、嘘」
って言う。
「は?」
即ツッコミ。
でもすぐに、
「なにそれ」
「ちゃんと教えて」
今度は、優しい声。
ちゃんと聞こうとしてくれてる。
「……好きなのは、本当」
言った瞬間、
また静かになる。
通話越しに、自分の鼓動だけがうるさい。
「ただ」
「今日なら、冗談ってことにしてもらえるかなって思った」
正直に言い切る。
数秒。
沈黙。
(やば、重かったかも)
って思った瞬間、
「……ふふ」
小さく笑う声。
「なにそれ」
「かわいすぎなんだけど」
一気に顔が熱くなる。
「逃げ道つくって告白してくるの、ずるいよ」
でも声が、めちゃくちゃ優しい。
「……で?」
少しだけ間。
「今はどっちにするの?」
問いかける声。
でも、どこか楽しそうで。
「……本当」
気づいたら、迷わず言ってた。
すると、
小さく息を吸う音。
「……そっか」
ほんの少しだけ、声が弾む。
「じゃあ私も、本当のこと言うね」
その一言で、心臓が跳ねる。
「ずっと前から、好きだったよ」
静かに、でもはっきり。
逃げない声。
頭、真っ白。
「でもさ」
少しだけ笑う。
「こうやって言ってくれるの、待ってた」
完全に、負け。
「……ずる」
思わずこぼれると、
「お互い様でしょ?」
くすっと笑う。
そのあと、少しだけ間があって、
「ねえ」
「もう一回言って?」
甘えるみたいな声。
(無理だろ、それ)
でも、
「……好き」
言うしかない。
「うん、知ってる」
すぐ返ってくる。
少しだけ嬉しそうに。
「でも、もっと聞きたい」
完全に追い込まれる。
「明日も言ってね」
「今日だけじゃダメだから」
やわらかい命令。
「言うよ」
「何回でも」
って返すと、
「……うん」
満足したみたいな声。
少し静かになって、
でも通話は切れない。
「なんかさ」
ぽつりと、
「エイプリルフールなのに、全部本当になっちゃったね」
優しく笑う。
「……うん」
そう答えると、
「ねえ」
最後に、少しだけ小さな声で、
「これからも、いっぱい言ってよ」
「好きって」
その一言で、
もう何回でも言うしかなくなる。
エイプリルフール。
嘘に逃げるための日。
なのに今日は、
逃げ道ごと全部、幸せに変わった。
こういうテンプレみたいなのいいですよね




