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六枚目 整うYouTuber

午後のサウナ「赫炎」。

今日は暑いせいかお客が少ない。

受付で葵がタオルを畳んでいる。

 

「今日は静かですね」

 

休憩中の紅が反応する。

 

「たまにはこういうのもありだな」

 

その時。

 

入口のドアが勢いよく開いた。

 

バンッ!!

 

派手な服の男が入ってくる。

 

サングラス。

 

スマホを構えている。

 

「どうもー!!」

 

「チャンネル登録者数20万人!!」

 

「炎神トウマでーす!!」

 

葵が一瞬だけ固まる。

 

「撮影は——」

 

トウマは聞いていない。


スマホを自分に向ける。

 

「今日はですね!!」

 

「裏社会の人間も来るって噂の!」

 

「ヤバいサウナである企画をやりまーす!!」

 

葵が言う。

 

「撮影は禁止です」

 

トウマが笑う。

 

「いやいやこれ企画なんで!」

 

「迷惑系ってやつ!」

 

「バズるんすよぉ!」

 

葵が紅を見る。

 

紅は一言。

 

「サウナ行くぞ」

 

トウマが笑う。

 

「え?ちょっ、痛い痛い!」

 

紅はサウナ室のドアを開ける。

 

蒸気が溢れた。

 

「ロウリュ、いきます」

 

ジュワァァァァッ!!

 

トウマは思わず言う。

 

「うおっ、熱っ」

 

しかしカメラは回している。

 

「見てください皆さん!」

 

「怖ーいお兄さんが目の前にいるんですけど」


「今からロウリュにメントスコーラ——」

 

バシィッ!!

 

紅の熱波。

 

「ぐあっ!!」

 

トウマがのけぞる。

 

紅が言う。

 

「タオル敷いて」

 

「マナーです」

 

トウマは汗だくになりながら座る。

 

「ちょ……」

 

「これ普通に熱い……」

 

数分後。

 

トウマはサウナ室を飛び出した。

 

「むりむりむり!!」

 

水風呂へ。

 

ザバァァァッ!!

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

葵が外気浴の椅子を指す。

 

「座ってください」

 

トウマは言われるまま座った。

 

夜風が吹く。

 

数分後。

 

トウマの目がゆっくり開く。

 

 

「……」

 

 

「なんだこれ」

 

 

「気持ちいい……」

 

 

空を見上げる。

 

 

「俺」

 

 

「今まで何やってたんだろ」

 

 

葵は静かに聞いている。

 

 

「炎上ばっか狙って」

 

 

「人に迷惑かけて」

 

 

「でも」

 

 

拳を握る。

 

 

「決めた」

 

 

「俺」

 

 

「ちゃんと努力するYouTuberになる」

 

 

「迷惑動画なんてやめる」

 

 

葵が言う。

 

 

「紅さん、彼整いましたね」

 

 

トウマが立ち上がる。

 

 

「紅さん、ありがとう!」

 

 

「サウナも熱波もすげえな!」

 

 

「絶対また来ます!」

 

 

そう言って店を出た。

 

 

わずかその数秒後。

 

 

外から声が聞こえる。

 

 

「君」

 

 

「YouTuberの左江内トウマ、だね?」

 

 

「はい、そうですけど?」

 

 

警察官だった。

 

 

「過去の動画について、君にね」

 

 

「重要文化財への器物破損」

 

 

「有名人への名誉毀損」

 

 

「どちらも被害届が出ている」

 

 

トウマの顔が青くなる。

 

 

「え」

 

 

「ちょっと待って」

 

 

手錠がかけられる。

 

 

「うわあああ!!」

 

 

トウマが店の中に叫ぶ。

 

 

「紅さーん!!」

 

 

「助けてください!!」

 

 

紅はサウナ室から出てくる。

 

 

トウマが泣きそうな顔で言う。

 

 

「俺改心したんですよ!」

 

 

「助けてください!!」

 

 

紅は一言だけ言った。

 

 

「サウナ以外には」

 

 

「関わらない」

 

 

トウマが絶望する。

 

 

「そんなぁぁぁ!!」

 

 

警察官に連れて行かれる。

 

 

パトカーのドアが閉まった。

 

 

静寂。

 

 

葵が言う。

 

 

「整っても」

 

 

「罪は消えないってね」

 

 

紅はタオルを肩にかける。

 

 

「ロウリュ、いきます」

 

 

ジュワァァァァッ!!

 

 

蒸気が広がる。

 

 

赫炎は今日も

 

 

平和だった。

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