7/8
わたしのはなし④
今、私はここにいる。
死んだはずなのに、意識がある。
なら、意味があるはずだ。
最後に目が合った、あの人に。
私は近づく。
幽霊は、人目を気にしなくていい。
そういえば花びらが飛ぶ直前、誰かの声が聞こえた気がする。
でも良くはわからない。
その時私は自分の恋を占うのに必死だったから。
いつも聞いてるような言葉だった気がする。
なんにせよ、どうでもいいことだ。
大切なのは今この時。
彼はいつもいる友達を待っている様子だ。
ボールを拾ったあの日、笑っていた彼の隣で、顔をひきつらせていた人だろう。
思い込みが激しそうな陰気な雰囲気を持ったその友達は、正直彼には似合わないけど、
彼が楽しそうだからいい。
ロッカーがわからなくて、無造作に置いたチョコレート。
彼ならきっと誰からのものかわかってくれただろう。
「私を好きになって」
何度でも。
呪文は、言葉だから。
いつまでも待つよ、その効果を
首に手をまわしながら
耳に囁き続けながら
彼の左耳の赤いピアスに口づけた。




