7 部屋に残された朝
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「ごめん、アリア。今日は食堂じゃなくて、自分の部屋で食べてもいい?」
「え、構いませんが……どうしてですか?」
「うーん、なんか食堂まで行くのが面倒臭くて……」
(本当は、これからどうするか考える時間が欲しいだけなんだけど)
アリアはその理由に納得したらしく、「いいですよ」と小さく頷いた。
「そうだ。アリアは、もうご飯を食べたの?」
「わ、私ですか……? まだですけど……」
「だったら、一緒に食べよう! せっかくだし!」
突然の提案に、アリアは目を見開いた。
信じられない、という表情でこちらを見ている。
「い、いいのですか? 私がご一緒しても……」
「うん! 私、アリアと一緒に食べたいんだ」
一瞬だけ考え込むような仕草を見せたあと、アリアはふっと笑った。
「そういうことでしたら。では、私の分とお嬢様の分を運んで参りますね」
「うん、お願い!」
それからしばらくして、アリアは二人分の朝食を運んできた。
「あ、お嬢様。先にお着替えはなさいますか?」
「え? ううん、しばらくはこのままでいいよ」
――このまま、というのはパジャマ姿のまま、という意味だ。
転生前は、仕事などで外に出ない限り、家ではずっとパジャマだった。
その方が楽だし、落ち着く。
だからここでも、それが当たり前だと思っていたのだけれど。
アリアは何か言いたげな、微妙な表情でキリアを見つめている。
(……もしかして、この世界では、邸にいるだけでも着替えるのが普通だったりする?)
不思議そうに見返すと、アリアは困ったように口を開いた。
「……何か、変なものでもお食べになりましたか?
以前は、私が勧めても必ずお着替えなさっていましたのに。急に考えが変わるなんて……」
(怪しまれてる!?)
「あはは……たまには、悪くないかなって」
そう言うと、アリアはさらに訝しむように目を細めた。
――けれど、怪しまれるのも無理はない。
これまで毎日、公爵夫妻と食堂で食事をしていたのに、突然部屋で食べると言い出し、
しかも使用人である自分を誘ってくる。
そのうえ、きちんと着替えていたはずの令嬢が、急にパジャマのままでいたいなどと言うのだから。
(だって、私は――あなたたちの知っているキリアじゃない)
そう思いかけて、キリアは首を振った。
今は、それよりも考えるべきことがある。
まずは、この状況をどう切り抜けるか。
それを見つけなければならないのだ。




