12 戻らない覚悟
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黄金に近い色をしたイエローダイヤモンドの瞳は、皇族にしか受け継がれない。
何故なら皇族が持つ魔力は、他と比べて極端に純度が高く、さらに国を治める者として神々から、生まれた瞬間に神力を同時に授かるからだ。
この瞳の色は、神力と魔力が体内で混ざり合った結果、生まれたものだった。
(それが分かっていて、わざと黙っているのね。私を公爵家の道具として扱う為に……)
だがキリアは、このまま道具として育てられ、理不尽な死を迎えるつもりは微塵もなかった。
その時、扉をノックする音が響く。
「お嬢様、馬車の中で公爵夫妻がお待ちです」
「えぇ、今行くわ」
5歳児とは思えないほど落ち着いた口調で答えると、キリアは寝台の下から国章のブローチを取り出し、こっそりドレスのポケットに忍ばせてアリアに微笑んだ。
「じゃあ、アリア。行ってくるね」
「はい、行ってらっしゃいませ」
迎えに来たメイドと共に、義理の両親が待つ馬車へ向かい、公爵夫妻の向かい側に腰を下ろす。
そして元気いっぱいの偽の笑顔を向け、
「お母様、お父様!お待たせしてしまってごめんなさい!」
と言った。
公爵夫人は一度、穏やかな微笑みを浮かべたが、すぐに真顔に戻る。
「構いませんよ。私達が早かっただけですから。
……ですが、絶対に失礼で恥ずかしい行動をしないように。誰に対しても、ですよ。いいですね?」
少し低い声でそう告げられ、キリアは大きく頷いた。
「はぁーい!キリア、頑張るね!」
その瞳には、確かな決意と覚悟が宿っていた。
キリアは馬車の中から、遠ざかっていく公爵邸を見つめ、心の中で別れを告げる。
(バイバイ、みんな。私はもう、そこには戻ってこないから)




