10 作戦を開始します(第2部・始)
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あの“甘い考え”を抱いてから、すっかり時間は経ち、今は夕方の六時だ。
「お嬢様、今夜は初夜会ですが……緊張してますか?」
「あ、うん。まあまあ?」
苦笑いと愛想笑いを混ぜた微妙な笑みを、鏡越しにアリアへ向けた。
(別の意味で緊張してるに決まってるでしょ! これから、とんでもないことをやるんだから!)
そう、アリアは“初夜会”と言った。
だがキリアにとっては、決して初めてじゃない。
キリアは2度目の人生。
つまり夜会なんて――過去に何度も経験している。
転生する前だって、大勢と関わり、発言の機会なんて山ほどあった。
(悩んだけど……やっぱり伝えるべき。実父に――「私はあなたの娘だ」って。
可能性が1%でもあるなら、放置なんて絶対しない)
「大丈夫ですよ! お嬢様は本当に美しいんです。国王陛下も王太子殿下も、絶対メロメロになります! 鏡をご覧になって、自信を持ってください!」
促されて鏡を見ると、そこには――この世界に来るまで見たこともない“完成品の少女”が映っていた。
濡れた剣のような銀色の髪が、腰まで流れ、
星のように輝くイエローダイヤモンドの瞳。
すっと通った鼻筋に、整った唇。
そして何より――頬はまだ幼子らしく、ぷくりと膨れている。
(うっ……キリア、あんたが誰もを魅了する美少女ってのは認める。認めるけど!)
思わず目をそらし、キリアはベッド横の棚へと視線を向けた――。




