海神の祈願
ブラックフライデー
それは、なぜか日本にも導入されつつある
特売がされるお祭りである。
そんなお祭りに
参加しようとしている
1人の
いや、1柱の海の男が居た。
ポセイどーんは
海の神として
漁船が行きかうのを好ましく眺めていた。
今日も海に人が来る。
漁船に狩られて行く、魚たち。
そして、無事を
豊漁を期待して
祈りをささげられる。
ポセイどーんは
満足していた
そうしたら
末弟である、
雷の神である
少年に化身して活動を楽しんでいる
ゆぴたん
に……
「海って、お兄ちゃんの領土なんだから
かってに魚を取っていくのって
財産侵害……
泥棒なんじゃないの?」
その言葉に
ポセイどーんは
はっとさせられた。
言われてみたらそうなのでは?
いや、でも自分が人に返事する事なんてないし
祈りはささげられているし
「お兄ちゃんが良いのなら良いけどね」
そう、いいつつ
ちくわ
を、食べているゆぴたん。
その理屈だと
自分も、海の生物
つまり財産を泥棒している事になる。
(ちくわは魚のすり身から作られる)
「よし
わしも、海の神だ
威厳を取り戻しに行こう」
そう決意した海の神は
祀られた神社で
ブラックフライデーに、便乗した
海神祭りを開催した。
豊漁
養殖
安全祈願
などの、安売りである。
しかも、神託として降臨する
VTuberである。
これはバズる
と、思われたが……
すくなくとも、ポセイどーんはそう思っていた。
「そりゃ、船の上で
動画配信なんてみないよ。
画面酔いしちゃう」
ゆぴたんの
またも、心ない言葉により
ポセイどーんは
枕を濡らすのだった。
「わしに安全祈願をしてくれたら
船酔い対策も入ってるのに……」
そう、思って……。




