第89話「元凶との対峙」
大昔、ゴードンは島を支配するカルゴスを倒す旅を続けていた。
水晶と日記を奪ったカルゴスを追う中、彼の部下ベトレイの発信機による妨害を受けるが撃退し、ついにカルゴス城へ潜入する。
圧倒的な力に追い詰められるが、メリーの魔法の鏡で大魔法を反射し勝利。
城は崩壊し、カルゴスは倒れた。
ゴードンは故郷に帰還し、人々は暴君の死を喜び町は発展し、ギブタウンという名が生まれる。
しかし瀕死のカルゴスは魂を時の水晶に移して生き延びていた。
カルロスたちは異世界に転送され、カルロスの先祖であり世界支配を企んだ暴君カルゴスと戦い、なんとか勝利を収める。
そして、水晶内のカルゴスを封印するものの、青年が水晶に触れた瞬間に異界へ吸い込まれ、カルゴスの実験で肉体を分解され、世界征服用の機械兵器へ改造されてしまう。
未来世界で仲間が集結し、水晶の力で元の世界へ帰還する準備を進める一方、現代ではカルロスとニーナが再度水晶に吸い込まれたことで封印が解け、カルゴスが復活。
未来ではカルネスが金庫を開いた瞬間、カルゴスが姿を現し世界征服を宣言して去っていく。
カルロスたちは破壊された町を見て事態の深刻さを悟る。
フラム、シーサー、メル、兵士たち、チェロス、そして治療班のメグまで、全員がカルゴス討伐のために準備をする。
同じ頃、町長会議の最中に爆発音が響き、オースティンも急ぎ現場へ向かう。
全員がその脅威へ立ち向かうため、動き始めていた。
そしてカルゴスとの対峙──
♢♦︎♢
「さっきからネズミどもがこそこそ追ってきやがって、目障りだ」
いきなり魔法を放ってきた。
『ズドン!』
ニーナは地面を蹴ってカルゴスの一撃をギリギリでかわした。
「すばしっこいネズミだ」
『ズガン!』
続いてチェロスの放った氷の槍がカルゴスの肩をかすめる。
「効かんな」
カルゴスは、蚊にでも刺されたかのようだった。
「こいつ……硬すぎる……」
チェロスが歯を食いしばる。
カルゴスの上半身はほぼ完全に機械化されており、両腕と胸部は重厚な合金で覆われていた。
しかも装甲は蒸気を吹き出しながら自己再生を繰り返している。
「通常攻撃は通じない……」
「だからこその封印作戦でしょ!」
ニーナが叫ぶ。
「メル! 結界の起動準備は!?」
「あと20秒! カルネスナビと座標を同期中!」
カルゴスの巨体が近づいてくる。
「なら、それまで俺たちが時間を稼ぐだけだ!」
エドワードたちの兵士も加勢した。
「僕とエドで正面を抑えます! フラムさん、援護頼みましたよ!」
「任せて。高密度の魔法支援、いくよ」
「10……9……」
『パシュ!』
フラムの両手から火と風の魔法が放たれ、シーサーの風と混ざり合って、カルゴスの視界を覆う。
「ガジェットシールド展開」
カルゴスの右腕から光のバリアが出て、魔法をかき消した。
「効かんと言ったはずだ。小賢しい虫どもめ」
「5……4……」
「完成したよ!! 封印陣、展開!!!」
メルの叫びとともに、カルゴスの足元に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
光の線が地面を走り、天へと光の柱が伸びる。
「なっ……!? これは……!?」
カルゴスの動きが止まる。
「3……2……1……」
「今よ、結界制御コア、起動して! カルネスナビ、全力モードでいっちゃって!」
カルネスとカルネスナビを通じて遠隔で連携をする。
『了解ぃ〜♪ カルネスナビパワー全開〜☆』
光の柱が四方八方に展開し、カルゴスの動きを封じる結界が発動する。
『ゴゴゴゴゴ……』
カルゴスの体が震え、ついに動きを止めた。
「やった……!?」
ニーナが思わず声を漏らす。
「……フン。封印か。小賢しい魔法の鏡を思い出すな」
カルゴスの口元がゆがむ。
「貴様ら、俺の本体がどこにあるか理解していないようだな」
「な、なに!?」
次の瞬間、カルゴスのサイボーグボディが火花を散らし、崩れ始める。
「この体は、端末に過ぎん。本体を封じられるとでも? フハハハハハハ!!」
結界が砕け散った。
「ま、待って、制御できない! 暴走する!」
結界から逆流した魔力が暴風となって広場を襲う。
「全員退避!!」
シーサーの指示で仲間たちは即座に撤退。
カルゴスの皮の下から現れたそれは、禍々しい残留意識の塊。
ドロリとした闇の瘴気が、見る間に周囲へ広がっていく。
「……あれが本体……!?」
「……いや、本体の一部かも……」
ニーナが拳を握りしめる。
「このままじゃ……パオンタウンどころか、世界が……」
カルゴスは街を見下ろしながら、右腕を構えた。
『ドォォン!!!』
広場の一部が爆発し、子どもたちの悲鳴が空を裂く。
「火が! 火が広がってる!!」
「誰か……助けてぇえええええ!!」
パオンタウンは恐慌状態に陥った。
「これ以上この町には手を出させない!」
カルゴスが振り返る。
「勇者ごっこの小娘たちか。まだくたばっていなかったか」
「ごっこじゃない! 私たちはこの世界を、本気で守る!!」
「おっぱい」
「ア、アーサー!?」
アーサーが突如前に出る。
「……どこ行ってたのよ!」
「……」
カルゴスは眉をひそめた。
「なんだあの変態は……」
「ちょっとアーサー引っ込んでて!!」
「フン、構わん。かかってこい。お前たちの足掻きなど無意味だ」
再びカルゴスが構えを取ったその時、パスカルの槍が閃光のように飛んだ。
「!?」
腕の動きが止まる。
「油断するな! 俺たちが来たってことは、もうお前の思い通りにはならないってことだ!」
仲間たちが続々と前へ出る。
「街を守れ! 負傷者は俺たちが援護する!」
「ジョニー、子どもたちを避難させろ!」
「了解!」
「チェロス、反対側から回って!」
「了解した」
「皆、行くわよ!!」
全員が全力でカルゴスへと突撃するが、闇の瘴気が地を這い、建物や石畳を腐らせていく。
「空気が……重い……」
フレディが剣を支えに膝をつく。
「ぐっ……」
「あ、あれは……」
メルが震える声で言った。
「カルゴスの本体に繋がる……世界を染め上げる中枢!」
黒球は人型へと変化していく。
白銀の髪、紅の瞳、機械のような無表情。
だが、その身体から放たれる闇のオーラは明らかに異質だった。
「はじめまして。私は〈オリジンカルゴス〉。端末ではない、私そのものだ」
「オリジン……!? 貴様が元凶か!」
「違う。お前たちの愚かさの、当然の帰結」
「ふざけるな!!」
チェロスが叫ぶ。
「だからって人の命を奪っていい理由になるか!」
「それはお前たち人間が決めることではない」
カルゴスから闇の刃が無数に飛び出した。
「来るぞ!!」
「私に任せて!」
フラムが魔法障壁を展開、仲間を守る。
そして魔導書を開き、詠唱を開始。
「凍てつく世界、燃えさかる太陽。陰と陽、我が手に集え!《アルティメットクレスト》!」
巨大な火氷砲がカルゴスに直撃するが、吸収される。
「っ……!?」
「私のコアは、属性変換と質量再構成を司る。攻撃はすべて私の力となる」
「じゃあ……何を撃っても……」
絶望の中、チェロスが叫ぶ。
「違う! 奴が吸収できないものがあるはずだ!」
「……! 心だ……! 感情の力だけは、まだ……!」
「そうだ!」
「我々が守ろうとしているのは、文明でも物質でもない。生きようとする意志そのもの!」
「皆の想いを力に変えて!」
「カルネスリンク、解放!!」
ニーナの胸元の宝石が輝き、全員の意識が繋がっていく。
『了解〜! リンクモード・オープン☆ これが、カルネスの全力ナビ~!』
光の翼が全員の背中に広がる。
「これが……!」
「皆の想いが、力に……!」
「いける!!」
「シーサー! 突撃!!」
「おう!」
仲間全員が力を合わせ、〈オリジンカルゴス〉へと立ち向かう。
光の翼を背負い、仲間たちが飛翔する。
「いけええええっ!!」
ニーナが先陣を切り、氷の刃をカルゴスへと解き放つ。
それに続くはシーサーたちの剣閃、フラムの精密な魔法弾。
すべてが〈オリジンカルゴス〉へと収束していく。
「感情の波長……共鳴している!」
ニーナの叫びとともに、リンクされた魔力が結晶化し始める──




