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第84話「NEXT2 〜エレクトの日記〜」

クリスタルタウンへ向かう街道は、思いのほか静かだった。

この道は昔、隊商がよく使っていたらしく、道の先には、古びた街道跡があった。

半ば土に沈んだ指標、折れた木柵、ところどころ黒く焦げた岩と……人が倒れていた。


「……誰か、倒れてる?」


ゴードンの声で全員が足を止めた。

岩陰に旅人らしき男がうつ伏せに倒れていた。

衣服のあちこちが焼け、土には焦げ跡が続いている。

男はかすかに息があり、ゴードンが肩をゆすぶると、うっすら瞼を開いた。



「……に、げろ……あいつは……宝石を狙って……」


そこまで言うと、男の瞳から光が消えていった。

ゴードンたちは旅人の亡骸を道の端に丁重に横たえ、祈りを捧げた。


「行こう。ここで立ち止まっても、何も救えない」


そして一行は足を速め、光を放つ鉱石の町──クリスタルタウンへと続く坂道を進んでいった。

そしてようやくゴードンたちは目的地であるクリスタルタウンへ辿り着いた。

町の名の通り、周囲の岩肌には大小さまざまな鉱石が埋まり、陽光を反射して淡く光っている。

どこか冷たい空気が漂っていたが、同時に活気のある鉱山町らしいざわめきもあった。

町に着くと一人の男がゴードンたちを迎えた。


「ようこそ、クリスタルタウンへ。私は町長のルタスと申します。あなた方の噂は聞いています。なんでも悪党を懲らしめたとか」


「いや、それほどでも……」


軽い挨拶を交わすと、ルタスは彼らを自宅へ案内した。

木造の家は質素ながら、壁には鉱石採掘にまつわる古い道具が飾られている。


「この町にはルビーやダイヤモンドといった珍しい鉱石が地下深くに眠っています。ここで働いている者のほとんどが、鉱石を売って生活しています。だがいずれ、カルゴスという男に、この町にある鉱石も奪われるでしょう」


「あの、この町には時の水晶という水晶があると聞きましたが……」


「分かっています。話はハックから聞いています。時の水晶がある場所へ案内しましょう」


時の水晶がある場所へ向かおうとした際、大男が現れた。


「彼は私の息子、クリスという者です」


「ど……どうも……」


クリスは、ガタイがいい大男の見た目の割に性格はどこか臆病そうに見えた。


「クリス、時の水晶がある場所まで案内してくれ」


「わ、分かった……」


ゴードンたちは、クリスの案内で時の水晶がある場所までたどり着いた。


「ここにあるのが、時の水晶です」


「これが時の水晶……ん?」


メリーは水晶に違和感を感じ、透視の魔法を使った。


「なんだろう? 水晶の中に、なにか物体があるわ」


「物体?」


ゴードンが尋ねる。

水晶の中には、機械のような小さい物体が見えた。


「その水晶の中に眠っている物体が、どうやら我々の意思を読み取るらしいんです」


「物体が意思を? どういうことですか?」


「私も詳しくは分かりませんが、水晶に触れて未来か過去かどちらに行きたいか念じると、念じた世界へ行けるんだとか」


「それじゃあ、僕が未来に行きたいと念じれば、未来に行けるってことですか?」


「ええ、そういうことです。しかし、水晶の中にあるその物体は既に壊れているらしく……今水晶に触れても何一つ反応がありません」


ゴートンたちは水晶に触れ、未来に行きたいと念じたが、何も起こらなかった。


「本当になにも起こらない……」


「だったらこの役割のない水晶は今、何一つ価値がないんじゃないですか」


「ちょっと! 言い方!」


「ええ、今のところ、この水晶には何一つ価値はありません。ですが万が一、この水晶の中にある物体が何らかの方法で復活した際、悪用される危険性があるのです。ですので、この場所に大事に保管しています」


時の水晶の説明を終えた後、ルタスは町外れの墓地へ足を向けた。

薄い霧が立ち込め、風が草を揺らしている。

静寂の中で、一つの墓の前で足を止めた。


「あなた方にはこの人物を知ってもらいたい」


墓の名前にはエレクトと書かれていた。


「エレクト……」


「ああ、どうやらこのエレクトという者が、時の水晶を作ったらしい。私の家に、彼が書いた日記のような物があります。それを読んでほしい」


そして、ゴードンたちはルタスの家へ戻ってきた。


「これがその日記です」


ゴードンたちは日記を開いた。


「かなりいろんなことが書かれているわね」


「はい、ぜひ読んでほしいところに印をつけておきました。読んでみてください」


「エレクトという人物が一体なんなのか。こうして見せてくれるということはなにかの手がかりが書いているのかもしれない」


ゴードンたちは日記を読み始めた。


 ♢♦︎♢


★エレクトの日記


〇月×日


もうあまり時間がない。

あと一週間で、この地球に超大規模な大災害が起こり、世界は滅んでしまうらしい。

なんとしてでも今作っているタイムマシンを完成させ過去へ移動しなければ、この俺もこの地球と共に散りになってしまう……


〇月△日


タイムマシンを作るにせよ、問題はある。

従来のタイムマシンの仕様ではまず、大規模なタイムスリップが行えないこと。

無機物の物体は、時間が進んでも存在を残すことができるが、生命を持つ人間や動物はそう、うまくいかない。

人間が未来や過去にタイムスリップするには、未来または過去の世界で、自分が存在していなければならない。

人間がタイムスリップを起こすと自分の体もその場所に合わせて時間が流れる。

要するに、人間がタイムスリップ可能な範囲はその人間がこの世に産まれて来た瞬間から、自分が死ぬ瞬間までの一生分の間だけ

なのである。


〇月×日


今、この状態の体を歳をとらずに自由にタイムスリップする方法はないだろうか。

早くしないと、地球が滅んでしまう。そうなったら手遅れだ。

それに、俺の手柄を横取りしようと、カルゴスが俺にちょっかいを出して邪魔して来るかもしれない。

あいつは厄介だ。

俺と同じくらい天才で、今や複数のロボットの開発を手掛けている。

カルゴスは機械いじりなら、どの人物にも負けないだろう。

地球がもうすぐ滅ぶということをカルゴスは知っているのだろうか。

今作っている物を目付けられたくない。


〇月a日


色々あったが、何とか歳をとらずに、未来と過去を行き来できる試作品のタイムマシンができた。

早速テストしよう。


プロジェクト コードネーム:タイムネクストカイヤナイト(通称:TNK)

完成予定 2xxx年〇月■日

制作:エレクト


カイヤナイト……藍晶石らんしょうせき……まさかこれが役に立つとは……

このタイムマシンにちゃんとした名前を付けよう。

『タイムネクストカイヤナイト』では読みづらいか。

うーむ……なら「時の水晶」と読むのはどうだろう。


〇月b日


テストはうまくいった。

石の中に埋めたAIブロックが、プログラムした通り

触れた人間の体をちゃんと認識できた。

テストではちょっと前の過去へ戻っただけだが、何とか元の世界へ帰ることもできた。

タイムマシンを制作中、遂にカルゴスがこの研究室にやって来た。

いろいろと言い合いになった後、カルゴスが試作中のタイムマシンを勝手に使用してしまった。

しかも、遥か遠い過去の世界へ飛んで行ってしまった。

カルゴスが過去の世界でなにをやらかすか分からない。

俺はカルゴスを追う為、同じものを急いで作り始めた。


〇月c日


取り急ぎ、タイムマシンを作成した。

が、前の試作品に比べて、少し粗い部分があるのが気になるが

時間もない。

制作中の物も持ち、カルゴスが飛んだ世界へ向かう。


 ♢♦︎♢


ゴードンたちは日記を読み終えた。


「この日記に書かれていることについて我々は理解できなかった」


「たしかによく分からないわね」


「ただルタスさん、分かったこともあります。カルゴスが遠い未来からやって来た人間だったってことです!」


「そうね。カルゴスはきっと滅んでいく世界から逃れて、この世界へやって来たのね。そういえば、その水晶を作ったエレクトは……」


「そこはあまりわかっていませんが……恐らくこの世界へ来るときに何らかの事故があったのでしょう」


その時、外から大きな騒ぎが聞こえてきた。


「何事だ!」


扉が勢いよく開き、町の兵士が駆け込む。


「大変です! カルゴスの手下が、時の水晶を奪いに来ました!!」

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