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第83話「NEXT1 〜カーズの洗脳〜」


第25章「TIME NITE KYANITE 弍」


かつて平和だった国エクネ・ウルファはブランドー族に滅ぼされ、長い時が経つと族長カルゴスが島を支配する冷酷な大魔法使いとなっていた。

城下では義賊アレックスと息子ゴードンが貧しい民を助けていたが、裏切り者ベトレイの密告によってアレックスは捕らえられ処刑される。

父を失ったゴードンはカルゴス討伐を誓う。


橋を壊され城へ行けなくなったゴードンはパオンタウンへ向かい、職人ハックから奪われた道具の奪還を依頼される。

下水で出会ったメリーと協力し、敵から道具を取り返す。


地上に戻る直前、メリーは町へ戻れないと告白する。

パオンタウンの王は謎の装置で人格を変えられ、住民を苦しめていると聞かされる。

すると、メリーは護衛オーベンに連れ戻されてしまうが、去り際にゴードンへ秘密通路の鍵を託す。


ゴードンはハックからもらった発明品とともに城へ潜入。

地下牢で拘束されたメリーを救い出し、装置の部屋の鍵を持つオーベンと遭遇する。

メリーが弱みを突いて説得し、オーベンは葛藤しながらも鍵を渡す。

二人は王を狂わせた謎の装置の部屋へ向かう。


 ♢♦︎♢


その頃──


「オーベン・アムス!! 牢屋からアルメリアが逃げ出したらしいな!」


「申し訳ございません、王よ……」


「アルメリアが牢屋から逃げ出した後、姿は見てないのか……」


「ええ……まだ見つかっておりません……」


「フン……役立たずめ……」


「心配なさる必要はありませんよ……」


「カーズか……」


「私めが、姫を見つけ出して差し上げましょう」


 ♢♦︎♢


エロ本のおかげで無事に脱出できたメリーはその後、ゴードンたちは遂に謎の装置の部屋を発見する。

鍵を使い、扉を開けて部屋に入る。

するとそこには、いろんな機械が散らばっていた。

そして謎の装置も見つける。


「これが、例の装置か……」


「これがこの町を苦しめてるのね……」


「苦しむなんてとんでもない。正しいことをしているだけですよ」


ゴードンたちの背後にカーズが現れた。


「なるほどですね……話に聞いた通り、装置を嗅ぎまわってた奴がいたのですね……」


「あなたは!?」


「ご機嫌麗しゅう。私、カルゴス・ブランドーの部下で、呪術師をやっているカーズでございます」


「ブランドー一味!!」


「この装置を作ったのはお前か!!」


「ええ、この装置は洗脳装置というものです」


「洗脳!?」


「この装置で、あなたの父を操り……この町を支配していたのです」


「なんですって!!」


「あなたの父の素直さには感服いたしました。おかげでこちらもスムーズに事を運ぶことができたのですからねぇ……」


「許せない!!」


「おっと不用意に私に近づかないことです。私は言葉だけでも、あなたを呪うことができます」


カーズはメリーに呪いの言葉をかけた。

するとメリーは急に苦しみだし、倒れた。


「メリー!!」


「私に近づくとこうなります。さて……」


カーズはなにかを取り出した。


「これは洗脳装置のリモコンです」


「リモコン?」


「このリモコンがあれば、私の言葉でなくても、誰の言葉でも人を洗脳することができます。この装置を使って多くの人類を操り、カルゴス様の理想を実現させる!!」


「そんなことさせるか!!」


「やれやれ……騒がしい……ふぁ~、それにしても眠い……昨日は徹夜漬けで呪術の勉強してた挙句……朝早くから急な呼び出しをくらうとは……」


カーズは眠たそうに喋りだした。


「ともかく早急にあなたを呪い殺さねば……」


カーズはゴードンに呪いの言葉をかけた。

するとゴードンは持ち物にあった耳あてを取り出し付けた。

耳あてをしたことにより言葉が聴こえない為、呪われずにすんだ。


「おのれ!! そんなものを持ち歩いていたのか!! 小癪な!!」


「(あいつものすごい眠たそうにしてるな……そうだ!!)」


ゴードンはハックからラジカセを取り出し、音楽をかけた。

すると、カーズはぐっすりと眠りについた。

その隙にゴードンは洗脳装置のリモコンを奪った。


「たしか……誰にでも使えるんだよな……」


ゴードンはリモコンを使い、カーズを洗脳した。


「お前は人々を散々苦しめ、遂には町まで滅ぼした。その罪を償い、お前の力で自分の身を滅ぼせ!!」


命令が脳に突き刺さった瞬間、カーズは自分の魔力を暴走させた。

皮膚の下で血管が黒く膨れ、骨が砕ける音が響く。

次の瞬間、全身から炎が逆流し、肉が焼け、皮膚が裂け、自らの魔法に呑まれるように崩れ落ちた。

焦げた臭いが漂い、カーズの巨体は黒い塊となった。

その途端、メリーを縛っていた呪いがふっと消えた。


「あら……急に楽になった……」


「よかった、呪いが解けたんだ」


「そうだ、カーズは?」


「カーズなら死んだよ」


「本当に!?」


「ああ、とりあえずこの装置を破壊しよう。これはあってはならない物だ」


ゴードンたちは装置を破壊した。

カーズを倒し、人々を洗脳から解放したゴードンたち──

その後、ゴードンたちは城の広間まで移動し、洗脳が解けた王に今までの事情を話した。


「そうか……私はなんてことを……カルゴスに町を滅ぼされただけでなく……洗脳されていたとは……」


「でもどうして、カーズの話に乗っちゃったの?」


「一度町を滅ぼした連中の言葉など聞かないつもりでいた。が、奴にこう言われたんだ」


 ♢♦︎♢


「我々の部下が手荒な交渉してすまなかったと思っています。そこで謝罪の意として、あなた方にこの装置を差し上げます」


「なんだ? この装置は」


「この装置を設置すれば、悲しみに満ち溢れた人、暴徒と化した人々を落ち着かせ、この町を救うことができますよ」


 ♢♦︎♢


「町に残っている資源も施設もなかったあの時、なにかにすがるしかなく、やむなくあの装置を設置した。だがそれがまさか、人を洗脳する装置とは……お前たちを傷つけてすまなかった」


「たしかに、奴は言葉を巧みに操り騙すのが得意そうだった。事情は分かったよ」


「気にしないでね。父様が元通りになっただけも良かったもの」


「そうか……ありがとよ、アルメリア」


そして王はゴードンに近づく。


「ゴードンとか言ったか……苦労をかけてすまなかったな……心から礼を言う。ありがとう」


「私からも……今までの無礼を許してくださいませ」


「そんな礼だなんて……」


「して……そなたはこれからどうするのだ?」


「僕はカルゴスを倒す為に、旅を続けるつもりです」


「そうか……だがカルゴスは世紀の大魔法使いだ。並大抵ことでは倒せんだろう。それでも行くのか?」


「はい!」


「父様……」


「どうした、アルメリア」


メリーは決意を決めた表情で王に向く。


「私もカルゴスを倒しに行きます」


「なんだと!!」


城内がざわめく──


「カルゴスによって様々な人が亡くなり、多く文明が彼らによって奪われました。この失われた町にただ残ったとしても、今の私ではとても役立ちそうにありません。だからゴードンと共に旅に出てカルゴスを倒して、失われた町の人たちに少しでも希望を取り戻したいのです。私たちが立ち向かわなければ、きっと未来はない」


「実際に姫様がいなければ、僕はこの町を救えなかったかもしれません。今では心強い仲間です」


「うーむ……仲間か……我が娘をできれば外に出したくないが、娘を傷つけた今の私に、止める資格がないのかもしれん……なんなら奴を倒した姫たちしかこの壊滅的な状況を任せる人はもはやおらん」


そして王は頷き姫へ近づく──


「分かった。ゴードンと共に旅に出ることを許す」


「父様!!」


「だから、ゴードンよ。どうか絶対に我が娘を守ってやってくれ」


「承知しました」


こうしてメリーはゴードンと共に旅に出ることになった。


 ♢♦︎♢


城を出た後、ハックと再開した。


「そうか、お前さんたちのおかげで、この町は守られたのか。で、次の場所へ進もうと?」


「はい、でも行くアテがなくて……」


「ならば、この先を進んだ先にあるクリスタルタウンへ向かうといいじゃろう」


「クリスタルタウン?」


「カルゴスのことじゃ……既にあの町にも手をかけているじゃろう……」


「そこにはなにが?」


「あの町には、この世界でも重要な物……時の水晶というものがある」


「時の水晶?」


「行けば分かる。あの町にはワシの古い友人がおる」


「詳しくはそいつに聞くのじゃ」


「分かった、ありがとう」


「達者でな」


ゴードンたちは次なる町、クリスタルタウンへと向かった。


 ♢♦︎♢


そしてベトレイは──


「チッ……カーズめ……まんまとやられたな……カルゴス様に報告しなければ……」


またもや、ベトレイはゴードンの様子を見ていた。

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