第81話「TIME2 〜パオンタウン〜」
ゴードン──
「なんてことだ……城へ向かう為の橋が壊されている。恐らく昨日、父さんが来た時に城の兵士が破壊したんだろう」
橋が壊れているとなると遠回りしないといけない。
そして、橋の周辺には城の多くの兵隊たちがいた。
「かなり大勢いるな……このまま無策に突っ込んでもやられるだけか。この橋が渡れないとなるとかなりの大回りになるけど、仕方ないか」
ゴードンは城から正反対の道に進み、エクネ・ウルファの城下町を出た。
「今の状態じゃ、きっと城にたどり着いてもやられてしまう。どうにかして、安全に城に忍びこめる為の準備をしないと。この近くだと……パオンタウンって町が近いか……」
ゴードンは資材や道具を手に入れる為にいろんな町へ行くことにした。
♢♦︎♢
一方その頃、パオンタウンの城では──
「ちょっと!! それ勝手に取らないでよ!!」
「ならん!! これはブランドーに献上する!!」
とある王族がもめていた。
「勝手に人の物をとるなんて泥棒と一緒じゃない!!」
「泥棒とは人聞きが悪いな!! これはこの貧困の町を救う為の行いだよ!!」
「人の物を取って、高値で売ることが町を救うの!?」
「姫! ここは大人しく言うこと聞いてくだされ!」
執事も駆け寄る。
「オーベン・アムス、我が娘アルメリアを頼む」
「はっ!!」
「オーベン!! あなたまで父の言うことを聞くの!?」
「私の主はあなたの王でございます。それに……今ここであなたが王に逆らうと、どんなことが起こるか分かりませぬ」
「……」
このパオンタウンもまた、カルゴスたちの制圧により貧困な町と化していたのだ。
例によってこの町の王もカルゴスに逆らうことができずにいた。
♢♦︎♢
ゴードンがパオンタウンに着く。
「ここがパオンタウンか……ここも僕の町と同じようにカルゴスにやられたのか……」
「おう、ちょいとそこの若いの! こっちに来てくれ!」
ゴードンが町に入ると、とある人に話しかけられる。
「あなたは?」
「とりあえず今は来てくれ」
「は、はぁ?」
言われるがままゴードンはその人について行き、家にたどり着いた。
家には機械の道具で散らばっていた。
「ここがワシの家じゃ。ワシの名はハック・ション。武器やアイテムの改造、合成などをやっている」
「改造と合成?」
「お前さんが持ってきた武器やアイテムを改造して、通常のアイテムより効果をより強くすることができる。改造に必要な素材、あと金さえ渡してくれればよい。あと合成についてじゃ。合成は、武器もしくはアイテムと、合成になる素材を掛け合わせれば、新たなアイテムを生み出すことができる。まぁ、これも金がかかるがの」
「改造と合成か……面白そうだな。必要なアイテムが手に入ったら試してみるか」
「うむ、そうしてくれ」
「それで? 僕をここへ呼んだのは、そのことを聞かせるため?」
「実はな、その改造や合成をやる為のワシの商売道具が、カルゴスとかいう奴らの手下に奪われてしまったんじゃ。お前さんに取り返してきてほしいと思ってな」
「こんな場所にも、カルゴスの魔の手が……でもどうして僕に頼もうと?」
「お前さん、アレックスの息子だろ」
「なに!? どうして父さんを?」
「実はアレックスとは馴染みでな。よくウチに来ていたよ。それでお前さん、泥棒なんだろ? 泥棒の知恵を絞って、ワシの商売道具を取り返してきてほしいのじゃ」
「そういうことか……」
「カルゴスの手下の情報は、町の人に聞けば分かるかもしれん」
「うん、分かった。なんとか頑張ってみるよ」
「うむ、頼んだぞ」
こうしてゴードンは改造屋のハックの商売道具を取り返すことになった。
町での聞き込みで、カルゴスの手下はパオンタウンの城の近くにある地下の下水道にいるということが分かった。
ゴードンは早速、地下の下水道へ向かう。
その途中、フードコートを着た女性と出会う。
「見かけない顔ね……あなた、ブランドーの一味?」
「(ブランドー……カルゴスのことか)いや、僕はブランドーの一味じゃない」
「じゃあ、あなたは何者? ブランドーの一味でもなければ、なにしにこんな下水道に来たのよ」
「実は僕、用があってブランドーの一味を追っているんだ」
「用って?」
「この町に住むハックっておじさんがブランドーの手下に道具を盗まれたらしく、僕に手下から商売道具を取り返すよう頼まれたんだ」
「ハックおじさまの道具が盗まれたの!?」
「知っているの?」
「この町じゃ有名な人よ。世界最高の道具技師で、ありとあらゆる武器やアイテムを直したり、改造なんかもやってたわ。私も昔、ハックおじさまには少し世話になったこともあるの。そんなおじさまの商売道具が奪われたなら大変ね……私も道具を取り返すの手伝うわ」
「えっと、君は?」
「私は……メリー」
「メリーか。よろしく」
「言っとくけど、私も用があるから早く終わらせるわよ」
「わ、分かった」
メリーが仲間に加わった。
こうしてゴードンは下水道で出会ったメリーと共にカルゴスの手下を探すことになった。
「あ、言い忘れてたけど……私、少しくらいなら魔法が使えるわ」
「魔法が使えるの!?」
「なに驚いてるの? パオンタウンは魔法が盛んな町なのよ。町の人のほとんどが魔法を使うことができるわ」
「そうなんだ。メリーはどんな魔法を使うの?」
「私は中身を視る魔法を使うの。透視の魔法を使って、部屋に誰がいるのかを探ったり、宝箱の中身を確認したり……あとは敵の情報を探ることができるわ」
「すごいな。じゃあ、メリーの透視の魔法を使ってカルゴスの手下がどこにいるのか探ることができるってことか」
「そうね」
下水道を歩いていると、カルゴスの手下らしき人物の声が聞こえた。
「ククク……この先は、分かれ道……いくつかの分かれ道に、モンスターが出現する罠が仕掛けてある。正しい道に進まなければモンスターの餌食になるはずだ。この下水道の道は暗い。さすがにここまで追っ手は来ることはないだろう」
カルゴスの手下らしき人物はそう言って分かれ道へ進んでいった。
「正解の道に行かなければ、モンスターに遭遇するのか。メリーの魔法を使ってどうにか切り抜けられないかな?」
「私の魔法でどっちの道にモンスターがいるのかを確認して進んだ方が安全ね」
「もしかしたら、一部のモンスターには珍しいアイテムを持っていることがあるかもしれないけど、あんまり危ない橋は渡りたくないし……」
こうして、メリーの透視の魔法を使い、モンスターがいない道を進み、ついにカルゴスの手下らしき人物の元へたどり着いた。
「な!? 誰だ貴様ら!!」
「あなた、カルゴスの手下なんでしょ!!」
「フン、それがどうした?」
「どうして、ハックおじさまの道具を奪ったりしたの!?」
「あのジジイは世界で有名な道具技師だ。あの技術力はいずれ、カルゴス様の計画の邪魔になるだろうと考え、先手を打ってジジイの道具を奪ったのさ」
「なんだと!!」
「立ち向かうか? お前らくらい、俺一人で片付けてやる」
「クッ……」
カルゴスの手下はナイフを取り出しゴードンたちに襲いかかろうとする。
「あいつの持ち物に、手榴弾、地雷、煙幕があるわ」
メリーは魔法で、カルゴスの手下の持ち物を確認した。
そしてゴードンに小声で囁いた。
「あいつが隙を見せた時に、こっそり煙幕を奪って、その煙幕を使って、相手が私たちを見失っている間に、おじさまの道具を取り返して逃げるのよ」
「分かった。やってみる」
「フン、なにをぶつくさ言っているんだ。行くぜ!!」
カルゴスの手下が、ものすごい勢いで突進し、ゴードンたちに襲いかかる。
ゴードンたちはうまく攻撃をかわす。
「やるな。ならこれはどうだ!」
カルゴスの手下は、さらに勢いを増して突進してきた。
しかしゴードンはその攻撃も避けた。
カルゴスの手下は、勢いのあまり、ナイフを壁に突き刺した。
「クソ!! 抜けねえ!!」
その隙にゴードンはカルゴスの手下から煙幕を盗み、メリーは、ハックの道具を取り返した。
「なっ、お前ら!! 触るんじゃねえ!!」
そして、ゴードンは煙幕を使い、カルゴスの手下から逃げ出した。
「ちきしょう!! なんてこった!」
ゴードンたちはカルゴスの手下から逃げ延びた。
「見逃したか……だが次はそうはいかねぇ! 奴に連絡しとくか」
ゴードンたちは先に進んだ。
「道具は取り返せたし、後は町に戻るだけか……」
「メリーは?」
メリーは後ろを向けて動かない。
「メリー? どうしたの?」
しばらくすると口を開いた。
「……私は町には戻らない」




