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第80話「TIME1 〜スパイの正体〜」

これは、まだギブタウンという名前が付けられる前の話である。

とある島にエクネ・ウルファと呼ばれる一つの国があった。


その国は文明こそそれほど発展はいなかったが、広い土地、自然、多くの人や農作物もあり、争いや大きな問題もなく、平和な国だった。


しかしある時、エクネ・ウルファの近辺にある別の国ヘトレットと呼ばれる国にいる貴族がエクネ・ウルファを訪ねてきた。

そしてその貴族は、エクネ・ウルファの王と出会い、無理な交渉を持ちかけてきた。

王や町の人たちは交渉を断固拒否。

やがてエクネ・ウルファとヘトレットの国が対立し戦争が始まった。


死闘の末、エクネ・ウルファはヘトレットに敗北した。

エクネ・ウルファを襲った貴族はブランドー族といい、戦力が高い兵隊や知力の高い学者を多く持つ貴族であった。


それから長い月日が流れ、カルゴス・ブランドーという男が新たに一族の長となった。

カルゴスは頭脳明細な大魔法使いであったが、性格は冷酷で残忍であり、目的の為に手段を選ばなかった。

彼は、国はおろか島全体を支配した。


 ♢♦︎♢


ある日のこと、カルゴスの部屋に部下が訪ねてくる。


「失礼致します。カルゴス様」


「入れ」


「先程カルゴス様の息子であるカルラス様が国制圧の為に、新たな島へ出発されました」


「ふむ、カルラスも順調に仕事をしているようだな。カルラスが向かっている地は非常に強い武力を持った軍団がいると聞いている。後で兵隊と支援物資を送ることを忘れるな」


「はっ!」


ブランド一族はカルゴスが中心になって動いている。

カルゴスの他にもブランドーの血を引いた者が別々に活動している。

ブランドー族はより一層、力を強めていった。


「それにしてもこの土地はいいものだ。綺麗な水、多くの食料、そして土地の広さ。先代たちが手に入れたいと思う気持ちも分かる」


「さようでございますね」


「そういえば先代たちがこの城を乗っ取った際にある日記を見つけたそうだ」


「日記?」


「この国エクネ・ウルファのラウ・トレア王が記した日記だが、それにはあることが記されていた」


 ♢♦︎♢


★ラウ・トレア日記


○月×日

この間やってきたブランドーと名乗る他国の貴族はどうやらこの国に、戦争を仕掛けに来るらしい。

正直、あれだけ強い武力をもった軍がこちらに攻められては敵わないだろう。

だができるだけのことはやってみる。

そういえば昨日、奇妙な夢を見た。

どこからか声が聞こえた……


世界はいずれ 巨悪な存在に 支配される

しかし ある時 結束の力を持った者たちが現れ その者たちが 巨悪を滅ぼす 

世界を変えるのは 善か 悪か……


そう、私に告げた。

あの声は何者だったのかは定かではないが、もしかすると未来の予言だったのではないだろうか。

もしこの国が滅びた時は、いずれ現れる結束の力を持った者たちに託そう……


 ♢♦︎♢


「この結束の力を持った者……これは、すなわち俺のことではないだろうか」


「と言いますと?」


「俺は複数の部下、隊を持ち、それらを従えている。金も人も力も全てを持ち合わせている! この俺に逆らうような悪の存在は全て始末してやる!! 金と力が全てだ!!! 何事も金と力があれば解決する! 金と力を持ってる奴は偉い!!!! フハハハハハ!!!!!」


 ♢♦︎♢


一方、その頃、エクネ・ウルファの城下町に一人の青年がいた。


「……誰もいないな」


青年はとある家の屋根裏に待機している。


「ターゲットはテーブルに置いてあるパン一個。誰もいないとはいえ、警戒を怠ってはいけない」


青年はゆっくりと足音を立てずに屋根裏から降りた。


「あんな堂々とテーブルにターゲットが置いてあるのは怪しいが、見たところ、部屋の周辺に罠が仕掛けられている様子はない。よし、周りに警戒しつつ取るぞ」


そして青年はテーブルにあるパンを取ろうとした。


「なんだ! パンが手にくっついて離れねえ!」


すると青年の後ろに大男がやってきた。


「おい! 泥棒が背中を見せちゃいけねえな……」


「……!!」


「こっちを向け!」


青年は後ろを振り向いた。


「……なんだ、ゴードンか」


「父さん!」


大男の正体は青年の父親であった。

大男の名前はアレックス。

その息子の名前はゴードン。

アレックスは世界では名の知れた大泥棒で有名。

といってもこの親子は義賊であり、カルゴスたちから無理やり搾取されていた物を盗み、盗んだ物は、町の人々に返されていた。


「それより、父さんこれなんだよ」


「ああ、防犯用にな。パンに見せかけた粘着テープさ」


「はぁ……やれやれ」


「お前もまだまだ泥棒としては未熟だな」


 ♢♦︎♢


その夜──


「父さん」


「なんだ?」


「こんな生活いつまで続くんだろうね……」


「さあな。あのカルゴスとかいう奴が世界の権力を握ってる限り、俺たちはなにも変わりはしねえよ。どうにかして奴を地に落とすことができればな……だが、俺たちは盗賊。力を持った兵隊とは違い、物を盗むことしか生きられねぇ……兵士でも勇者でもないんだ。俺たちだけじゃ生活は変えられん」


「そっか……」


親子は食料や高い宝石、金属製の物を盗んで生活してきたがそろそろ限界へ近づいていた。


 ♢♦︎♢


ある日のこと──


「よし、俺はカルゴスの城の周辺まで行ってくる。それまでの間、大人しくしているんだぞ」


「うん、分かった」


アレックスはカルゴスの城へ向かった。


「はぁ……」


「よう、元気ないな!」


「君はベトレイか」


話しかけてきたのは隣に住むベトレイという男。


「どうだい、泥棒の見習い君。腕は上げたか?」


「いいや、まだまださ。それより君はなにかやってるのか?」


「ああ、今日の仕事は大方終わったさ」


「仕事?」


「情報収集さ。俺はこの町では一応情報屋をやっているのさ」


ベトレイは町のあらゆる人々に聞き込みを行い、町の噂や世界の近況などの情報を集めている。


「世界中で起こっている情報を集めて、その情報を町に人間に売る商売をしているのさ」


「そうなんだ」


「聞いたぜ、お前の親父さん、またあのカルゴス城に行くって!? 大したもんだぜあんなおっかねえ所に足を踏み入れるとはよ! お前もせいぜい親父さんに追いつくよう頑張るんだな」


「ああ、頑張るよ」


「じゃ、またな」


ベトレイはその場を後にした。


「大泥棒か……僕にはまだ遠いか……」


 ♢♦︎♢


その夜──


「おかしいな……いつもの父さんならもう家に帰ってきてるはず……」


ゴードンはこの時、ひどい胸騒ぎがした。

そしてそのひどい胸騒ぎはまもなく現実となる。


 ♢♦︎♢


翌朝、朝の新聞に衝撃的なことが書かれていた。


『大泥棒アレックス、カルゴス城にて捕獲。本日、城下町の広場で公開処刑』


「う……嘘だ……」


城下町の広場に行くと、多くの兵士たちと処刑台に立たされたアレックスの姿があった。

そこへカルゴスが現れた。


「皆の衆、聞くがいい! 我が城に大きなネズミがうろついていた。ネズミはこれまでに幾度も我々の城から大量の物を盗ってきた。だが、ついに俺はネズミを捕らえることに成功した。わざわざ、町にスパイを送り込んだかいがあったぞ」


「スパイ!? 一体誰が!?」


そのスパイの正体はなんとベトレイであった。

彼は町に住むアレックスの動向を探る為に、情報屋となり、町の人々にアレックスについて聞き込みをしたり、現状の町の状態をカルゴスの城に流していた。

結果、アレックスがカルゴスの城でなにをするか事前にカルゴスに知らされていた為、アレックスは捕まってしまったのである。


「そんな……」


「泥棒という悪もいなくなり、町は一層平和になるだろう! ハッハッハ!!」


その後、アレックスはカルゴスによって処刑された。


父親の死──

ゴードンはカルゴスを憎んだ。

そしてある決意をする。


「あの悪党を許すわけにはいかない。僕も人のこと言えないけど、あんな惨たらしいことはしない。この僕が動かなければ、町は完全に支配されてしまう。僕がカルゴスを倒さなければ!」


こうしてゴードンはアレックスの仇、そして町を救う為、カルゴスを倒す旅に出る。


 ♢♦︎♢


エクネ・ウルファの城下町を後にし、カルゴスの城へ向かうゴードン。

その様子をベトレイは見ていた。


「ゴードンが動き出したか……カルゴス様に報告しなければ」


カルゴスがいる城へ向かったゴードンだった。

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