第74話「薬屋に散った想い」
「遅かったか!」
「早く止めないととんでもないことになる!」
「止めるって、無理だろこんなん……」
「さっき私に言った言葉覚えてる!?」
♢♦︎♢
「カルゴスの奴、水晶からでて行ったな」
「終わったわ……」
「なにいってんだ、俺らでも倒せたんだぞ? また見つけ出して今度こそ倒せばいいじゃないか」
「そうね。珍しく前向きなカルロスいいじゃない」
♢♦︎♢
「でもよ、こんなん(こんな村)見ちまったら、さすがの僕ちゃんでも、ほんのちょっとだけビビっちまった……僕ちゃんたちと戦った時、口の割には強くなかったよな? でもこの感じだと明らかにこの短時間でパワーアップしている……」
「そりゃそうだけど、私たちが止めなきゃ誰があんな奴止められるっていうの! 未来の世界の人脈は広くないわけだし……と、とりあえずまだ生きていそうな人は病院に連れてくから! アンタも手伝って!」
「ああ」
破壊された村。
家の瓦礫の下などをくまなく探し、二人を救出できた。
カルロスとニーナは担ぐ。
それは兄弟と思われる人物だった。
「なんで俺は肥満のほうを持たないといけないんだよ! お前が待てよ! もしくはお前の縮小魔法で小さくしろよ!」
「人は無理よ! 物とかならいけるけどね! たとえばアンタが溜めた荷物をまとめて配達する時とかはやってたけどね!」
「……」
「……そんなこと言ってる場合じゃない! この二人、命には別状はないとはいえ早く手当てしなきゃ!」
「この辺りって手当てできそうな場所ってあったか? ましてや未来の世界のことなんて知らんぞ? 元の世界でもいつもメルに聞いてたくらいだ」
「な、なんてことだ……」
この村に住んでいた男性が買い物をして帰ってきたら村は破壊されていた。
「おい! なにがあった!」
ニーナは彼に助かったのはこの二人と告げた。
この男性にはパートナーがいた。
この二人の中にはパートナーはいなく、助からなかったみたいだ。
「そんな……そうだ、天使の翼だ……」
「天使の翼? どこかで聞いたことあるような? あぁ、僕ちゃんたちが生き返ったやつか」
「彼女に翼を捧げれば……」
「翼を知ってるのか? だが、言いにくいが、こないだ、たしか骨とか死体の一部でも蘇生できると後で兵士に聞かされたが、骨とか肉片とかそこら辺に転がってたぞ。その中からどれがアンタのパートナーのものかって見分けはつくのか?」
「愛し合った中だ! 必ず見つけてやる!」
男は原型のない村を歩いて行く。
カルロスは呼び止める。
「そうだお前!」
「なんだよ! 探させてくれよ!」
「ここら辺にこいつらを手当てできそうなところはないか?」
重い口を開く。
「……ここにあったんだが……たぶん俺が今いるあたりに薬屋があったんだが、原形もとどめていない。もうここは使い物にならないみたいだな。そしたらスカイギャラクシーってところに新しい薬屋がある。メグという女性が働いてるはずだ……もいいいだろ、すまんがもう一人にさせてくれ……」
「あぁ、悪かったな。ん? メグ? どこかで聞いた名前だな。まぁそこに向かうとするか」
残された男は悲しみで胸が締め付けられた。
「何故だ、何故二度も襲われなければならないんだ……最近復興も進み、積極的に協力していたのが妻のクラーラ……クラーラがなにをしたってんだ!!! クソ!!!!」
男性は悔しさのあまり落ちていた瓦礫を拳で殴る。
「俺がいない間に一体なにが? この村……薬屋……俺たちがなにかしたってのかよ!?」
カルロスたちは場所を聞き、村を後にする。
途中海で渡れない場所があった。
「この先があの男性が言ってた薬屋なんだけど少し海を渡らないといけないのね」
「あの野郎、俺らが船を持ってるように見えてたのかよ」
「気が動転しててそんなことに気を使えないでしょ」
「まぁよい。どうすんだこれ。一人ならなんとか泳げるくらいだが、人を担いでるとなるとそうはいかんぞ。こういう時に使えそうな魔法も思いつかないしよ」
「アンタ、唯一まともに使える魔法のこと忘れてない?」
「ん? あ! 修復魔法か!」
「それよ」
「唯一まともって……いちいちバカにしてくるんだよな……オカイモキ魔法とか使えるわい」
「そんなふざけた魔法、役に立つ時が来るのかしら……ともかく、襲撃で破壊された船みたいな物に修復魔法を使ってそれを使って海を渡ろう」
「わ、分かった」
その後、カルゴスに襲われた村の海沿いに破損した船が見つかる。
カルロスは奮い立たせるモードに入る。
「ソイヤァ!!! ティヤァ!!!」
船を修復させた。
「はぁ、はぁ、エネルギーの消耗が激しいな……」
「けどいい感じじゃない。たまーに役に立つのね」
「たまーに……」
「早速スカイギャラクシーの薬屋まで行くわよ」
「へいよ……」
「でも船とか修復できるならさっきの村とか家とか修復できないの? あと例のカルネス君が割った水晶とか」
「すまんが無理だ。大きいものを修復したら倒れて死にかけたことがある。あとは時の水晶とか特別なものも無理だ。感覚で分かる」
「そう、じゃあそこまで役に立たないわね」
「貴様……誰のおかげで船に乗ってるのかわからねぇのか。お前もう船降りろ」
「はいはい、分かったわよ」
その後、カルロスとニーナと負傷者二人を乗せた船はスカイギャラクシーの薬屋まで向かう。
少しして、カルロスたちは目的地にたどり着く。
「やっと着いたな。さっきの奴がいってたのはここであってるか?」
薬屋の扉を開けると目の前に緑色の髪の女がいた。
「カ、カルロス!?」
「お前は? 誰だ?」
「なんでアンタがいるのよ!? ってことは?」
「ってことはってなんでこいつといつも一緒にいるみたいに言わないでくださいよ! メグさん、久しぶり。っていってもいろいろあっただけでそんなに経ってないか」
「久しぶりね! ニーナちゃん!」
「メグさん!」
「あ! メグってこいつか! 思い出した! 僕ちゃんの城で働いてた口うるさい女2号だ!」
「あの男性がメグって言った時からじゃないかなって思ってたけど、アンタは見てようやく分かったのね……」
「あの男性?」
「そうだ、無駄話してる場合じゃないんですよ。まずは私たちが背負っている方を手当てしてくれませんか? その間になにがあったかを話しましょう」
「ふぅ、重かったわぃ」
カルロスは男性をベッドにおろした。
「え? ジュアンさん!?」
「知り合いなのか?」
「ええ、でもなんでこんなことに…」
そしてもう一人はなんとジュリアンだった。
ジュアンに時々帰ってくるように言われていたジュリアンは、偶然帰ってきた時に村が襲われてしまった。
♢♦︎♢
「そ、そんな! 兄貴、そりゃないぜ! ただでさえこの村は建築家の人手が少ないってのに……兄貴までどっか行っちまったら、もう仕事なんざ、やってられねぇよ」
「ジュリアンよ……気持ちは分かる。だけどよ……路頭に迷った人が、家を建ててほしいと頼んで来てんだ。俺たちはその頼みに応えるだけさ。どんな場所であれ、雨露を凌げる建物がなきゃ人は生活できねぇ。俺は将来、世界を回っていろんな建造物を建ててみたいんだ」
「兄貴……分かった。兄貴がそこまで言うならもう止めねぇよ。ただ兄貴、この村はさっきも言ったように人手は少ないんだ。だからたまにでいいから、ここに帰って来てくれ」
「分かってるさ。なにか困ったことがあったらまた戻ってくるさ。それじゃあジュリアンよ、行ってくる」
「また帰って来てくれよ、兄貴!」
♢♦︎♢
メグは手当てを始めた。
「……ってことがありまして」
「それは大変! で、どの村がカルゴスって奴に破壊されたの?」
「どこなんだろう? 過去の世界にはあんな場所なかったと思うからよく分からないわ」
「……メンディ村」
「俺の住んでた村だ」
二人の意識が戻った。
「メンディ村ですって!?」
「メグさん知ってるの?」
「知ってるもなにも、未来へ来た時にしばらくそこで働いてたの。まさかその村が襲われるなんて……さっきの説明で、助かったのはこの二人って言ってた!?」
「ああ、その時家にいない奴で助かった奴いるけどな」
「てことは先生! メンディ村で働いている薬屋の先生は!? 助かったよね!?」
メグは取り乱す。
「先生? 誰だそりゃ」
「クラーラって人……さっき破壊されたって村の薬屋で働いてる……」
「ま、お陀仏だろうよ。あの野郎もそんな名前叫んでたしよ」
「ちょっとカルロス! そんな言い方!」
メグはショックで力が抜け、崩れ落ちる。
「先生……」
メグはしばらくその場で動けなかった。
言葉を失い、目の前がぼやけていく。
彼女の脳裏に、あの時の光景が蘇る。
メンディ村の静かな薬屋の店内ゆ穏やかな日差しが差し込み、温かい雰囲気に包まれていた。
その店で、薬草の香りとともにクラーラ先生の優しい声が響いていた。
彼女はいつも温かくて心強い存在だった。
また、誰かが困っているとすぐに駆けつけ、解決策を見つけてくれるような人だった。
そしてメグは先生と出会った時のことを思い出した。




