第73話「征服の宣言と城主の迷走」
ヴィレムの子であるフラムは孤独に生きていたが、シーサーやメルたち城の仲間と出会い、行動を共にするようになる。
彼女たちはカルネスナビを使い、アーサーたちを探す旅へと出発した。
ボルタウンでは、ラヴォスを失った軍勢が暴走。
その船に乗っていたクルーたちは暴走の果てに冒険家ハックたちと交戦し、敗走する。
その後のハックたちの会話の中でアーサーの存在が語られ、それを偶然近くを通りかかったメルたちが耳にする。
彼女たちはハックの情報をもとにスカイギャラクシーへ向かった。
スカイギャラクシーの薬屋では、アーサーとメグが働いており、そこに過去から来たシーサー、マヤ、リリア、メル、そしてフラムが集結。
再会を果たしたフラムとメグは、高校時代の誤解を乗り越えて和解する。
仲間たちは水晶の力で元の世界へ帰ることを決めるが、メグはこの世界に残ると告げる。
一方アーサーは相変わらずおっぱいとしか喋らず、周囲を呆れさせる。
その頃、元の世界に戻れたカルロスはニーナに促され、再び水晶に吸い込まれる決断をする。
二人は宝箱のある部屋に足を踏み入れ、カルロスが封印魔法を解いた瞬間、強大な吸引力に体勢を崩し、ニーナごと水晶の中へと吸い込まれてしまった。
魔法をかける者がいなくなったことで、水晶の封印は解かれ、邪念を宿すカルゴスは自由を取り戻し、ついに外の世界へ姿を現すことができるようになった。
一方、カルネスは金庫の暗証番号に苦戦しながら格闘していた。
空になったコーヒーカップや丸まったティッシュを横目に、試行錯誤を続けると、偶然にも正しい番号を見つけ、金庫の扉を開けることに成功する。
しばしの達成感に浸る間もなく、空気が変わり、背筋に氷のような寒気が走った。
金庫の奥から黒い腕がずるりと伸び、次の瞬間カルゴスが現れる。
血のように赤い瞳でカルネスを射抜き、その冷酷な眼差しは、まるで悪夢そのものが現実に具現化したかのようだった。
♢♦︎♢
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 中から人がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ここが未来の世界のギブタウンか。んで、そこにいる顔色オバケな小僧は……まさか俺の後裔というわけか。見た目も不潔で臭そうだし、随分と俺の顔に泥を塗っている奴だな」
「あのぅ……つかぬことをお伺いしやすが……アンタ誰? それに、持ってるものはぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ラヴォスはサイボーグ青年を持っていた。
「いちいち騒ぐなよ。しばらく異次元にいて静かな環境だったから耳が痛い。んで、カルロスからか知らんがどんどんバカになってるじゃねぇか」
「カルロス? あ、父さんか! ってことはアンタ! 誰だ!」
「俺はカルゴスだ。先祖と思ってもらっていい」
「んで、なんの用だ? そんなよく分からん物騒な物を持って……」
「城にいた奴をとっ捕まえて作ったサイボーグだ」
カルネスはサイボーグの顔部分を見た。
「これは!? 息子さん!?」
「息子? もしかしたらだが、こいつはこの世界ではなく、過去の世界で捕まえたから、その息子の親かもな。話はここまでだ。バカがうつる」
カルゴスは城から出ようとする。
「どこへ行く!」
「フッ……最後にここに来た目的だけ教えてやろう。それはこの世界の征服だ」
カルゴスは出ていく。
「た、大変だ! とりあえずこのことをカルネスナビで!」
♢♦︎♢
そしてカルネスとニーナは未来にたどり着き、尻餅をつく。
カルゴスは中にいないため、未来の世界に到着することができた。
「ってぇ、なんで毎度このホールは浮いてるんだ!」
「それより私まで来ちゃったじゃない! どうすんのよ!」
「また水晶で戻ればいいだろ。僕ちゃんもそうする。こんなう◯こみたいな未来の世界はもうごめんだからな」
「それはいいんだけど……あ! カルゴス!」
「そうだ! 早く戻らんと!」
過去に戻るべく急いでカルネス(水晶)の所へ向かおうとする。
途中門でチェロスがいた。
「あれ? カルロスさん? なんでまた……」
「邪魔だどけ!」
チェロスは走ってきたカルロスに体当たりされ、弾き飛ばされた。
そしてよろめいて近くの池に落ちる。
「ごめんなさいチェロスさん!!」
ニーナも急いでいるため走りながら謝る。
「一体、なにが起きているんだ?」
♢♦︎♢
「おい! カルネス!」
「ぎょぇぇぇぇ! 父さん!? それにニーナさんも!? どうして」
「説明してる暇はない! とりあえず水晶を出せ! あ、出てた! ナイスタイミングだカルネス」
カルロスとニーナは水晶で戻った。
カルネスはポカーンとした。
「な、なんだったんだ……父さんといい、さっきの奴といい」
♢♦︎♢
元の世界に戻ったカルロスたちは水晶を見て邪念がないことを確認する。
「これは……」
「カルゴスの奴、やはり水晶からでて行ったな」
「終わったわ……」
「なにいってんだ、俺らでも倒せたんだぞ? また見つけ出して今度こそ倒せばいいじゃないか」
「そうね。珍しく前向きなカルロスいいじゃない」
「珍しくは余計だ」
「だってこういう発言、数十年に一度あるかくらいだもん」
「そんな一緒にいねーだろうが!」
♢♦︎♢
カルゴスは──
「やはり行くとすれば未来だ。未来の方が文化とか進んでる可能性が高い。さっそくめぼしい町でも探すか」
♢♦︎♢
「早く見つけ出さないと人々が被害に遭う。ニーナ、お前の魔法でカルゴスの居場所を特定しろ」
「分かったわ……」
ニーナは魔法を使う。
「いや、反応ない」
「だとしたら奴は水晶から抜け出した後、未来に行ったんだ! 入れ違いになってたのかもな! また戻るぞ! 忙しいな!!」
カルロスたちはまた未来へ行く。
そしてカルロスたちはまた門を抜けた際に、チェロスにぶつかる。
チェロスは体を拭いていたところをまた突き飛ばされて池に落ちたのである。
「またカルロスさんたち? 俺なんかしたか!?」
♢♦︎♢
「と、ともかくカルネスナビで……ん? でぅわぁぁぁぁ! と、父さん! なんでまた!」
「てめぇいちいち騒ぎすぎなんだよ!」
「すいやせん……でも父さんが何度も帰っていって訳が分からない……さっきも変な奴来るし……」
「変な奴!? まさか!? 名前は?」
「ああ、なんかカ◯パスだかカ◯ピスだかそんな名前でしたよ」
「カルロスの先祖とか言ってなかったかしら?」
「そうそう言ってやしたよ! バカになったとか言ってきて失礼な奴でしたよ!」
「間違いない! カルゴスだ! 貴様! 何故それをさっき通った時に言わなかった!」
「父さんがすぐに水晶に入っていっちゃったんじゃないですか!」
「……まぁよい。こんな奴相手してる時間はない。ニーナ、カルゴスの場所を特定しろ」
「分かったわ」
カルロスたちは城から出ていく。
「今度はこんな奴って言われた……なんで皆からそんな風になる言われないといけないんだ……?」
カルネスは訳が分からないまま突っ立っていた。
結局俺はどうすることもできなかった。
短時間に立て続けに起きることに、理解が追いつかなかった。
情報が錯綜していて自分がおかれている状況が掴めずに、驚くか謝るか突っ立つことしかできなかった。
そんな身勝手な奴に城主は務まるのだろうか……
平和だった……
そこへ買い物に行ってたミオが帰ってくる。
「カルネスさん突っ立ってないで手を動かしてください! まだ事務仕事残ってますよね!? チェロスさんも池で泳いでるし皆してなにやってるんですか!?」
「チェロスが池で? ションベン漏らしたから誤魔化したんだろ。それよりお前、ヤバいことになったぞ。お前が買い物に行ってる間、いろいろあった。いろいろありすぎてどこから説明していいか分からんくらいだ」
「それってカルネスさんが仕事を放置するくらいヤバいことですか?」
「お前言うようになったな。でもふざけたことではない。説明するとだな、まずシーサーだかそんな奴とか性悪女とか数人が過去のギブタウンから来た。父さんと同じ時代に働いてた連中みたいなんだが、同じく水晶に吸い込まれたみたいだ。そんで時空の歪みで遅く到着したみたいだ。と思ったらそいつは全員でどっか行ったんだよな。そしたらその後屈強な男が来てまたどっか行くし、その後過去に戻ったはずの父さんたちが現れて水晶に吸い込まれたと思ったらまた未来に現れて今度は城から出てった……ほとんどの奴は俺に事情を説明しないし、いろいろ起きすぎてなにがなんだか」
「んー、とにかくなんかいろいろ起きたんですね。その中でも屈強の男が気になります」
「まさにヤバいと言ったのはこいつのことだ。世界征服するとかえげつないこと言ってた」
「なんですって?」
「だからこのことをカルネスナビで言おうとしたんだ。過去から来た奴らにもカルネスナビを渡している。念のため知らせてくる」
「分かりました」
「万が一なにかあってもこの城は俺が守る。絶対にな。なにかあれば俺は外に出るかもしれん。お前は受付にいろ。カルゴスだか知らんが、お前には指一本触れさせん(決まった!)」
「たしかに以前のあなたはだらけていたかもしれない。でもミクロンの時やラヴォスの時とかやる時はやることを私は知っています」
「ミオ……お前……」
「そうとなればまず俺はカルネスナビでこのことをあいつらに伝える」
「私はなにをすれば?」
「基本受付にいてくれればいい。なにかあればカルネスナビで知らせろ。あとは今やることは可能なら父さんたちの行方を追え! ただ遠くまで行くなよ」
「分かりました!」
♢♦︎♢
ニーナは魔法でカルゴスの居場所を特定した。
しかしその場所に着くと町は破壊されており、既にカルゴスの姿はなかった。




