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第59話「蘇生の儀式1」

カルネスはトイレでラヴォスに遭遇し、拉致されてしまう。

その後、隠し通路を開き、敵軍の待ち伏せを掻い潜りながら広間へ進む。

そこではラヴォスとカルネスが対峙していた。

激しい戦闘の末、カルネスはラヴォスに敗北し、瀕死のまま搬送される。

さらにチェロスもラヴォスの猛攻を受け、重傷を負ってしまった。

息子は報酬欲しさにラヴォスへ挑む。

チェロスは屋上のミサイル砲を使うようにチェロスに指示され、息子は文句を言いながらもその案に従い、最終決戦の地、ギブタウン城の屋上へと駆け上がった。

互いの信念──復讐と報酬──が激突し、炎弾が飛び交う中、チェロスの声が再び通信に響く。

息子は指示に従い、ラヴォスを屋上中央へと誘い出した。

息子はチェロスと連携してラヴォスを屋上中央に誘い出し、起動したミサイル砲のスイッチを叩きつけた。

轟音が鳴り響き、ラヴォスは一瞬にして光に包まれ、苦悶の声を上げて倒れ込み、彼はついに処刑される。


 ♢♦︎♢


ラヴォスが死刑され、数時間が経過した。

息子はラヴォスが落とした天使の翼を捜索しているが未だに出てこない。

そこでチェロスとすれ違う。


「ラヴォスを倒してくれて助かったよ」


「ああ、報酬のためなら俺はどんなことでもするよ」


「(本当に性格が別人だ……)しかし、あのままラヴォスを自由にしていたらいずれ世界は滅んでいたかもしれない。アンタは世界を救った。ありがとな」


チェロスは失った家族のことを思い出し、普段見せない涙を流す。


数秒の沈黙の後──


「俺の家族や家は戻らないけどな……同じ被害者が出ないことは嬉しいことだ」


ラヴォスを狂わせた事の発端はカルロスの仕業だということを知った。

カルロスは俺が今勤めている城の元トップなため、複雑な気持ちになった。

だが、俺はこの先もギブタウンのこの城で勤めるつもりだ。

人殺しよりの仕事よりここで勤めた方がよっぽどマシだ。


そういえば、もし息子さんが倒されていたら、天使の翼がラヴォスの手に渡ったとしたら……

あの日記が事実なら、ラヴォスの父親は死んでいる。

おそらく父親を生き返らせるのではないだろうか。

もし、生き返らせることができたなら、ラヴォスの悲願は成就されるだろうから、町を滅ぼすことをやめたのだろうか。

俺には分からない……


 ♢♦︎♢


その後、治療を終えたカルネスは、いつもの調子でぼやきながら歩いていた。


「まったく、おろかな奴だ。俺がもう頭の片隅にもなかった数十年前のどうでもいい復讐のために修行して、ネチネチやって来て……結局、たかが一般人の息子に負けるとはな。その点、俺は違う。地道に修行を重ね、その結果いまこうして城主という肩書きを持っている。世の中、結果がすべてだ。今が良けりゃ、それでいい!


『ブゥ〜!』


「……っと。腹の調子が怪しいな。ちょっと用足してくるか。その後、まぁ……夜のお楽しみでも満喫するか。へへ、あの映像の続き、思い出しただけでニヤけちまうな」


平和だった……

驚くほどバカみたいに。


 ♢♦︎♢


城の人間は蘇生の儀式のために水晶や、特に天使の翼のことを読解した。


“時の水晶”

使い方により、自分の未来の姿を視たり、過去や未来にタイムスリップすることができる。

なぜ時の水晶が誕生したのか、誰がなんの目的で作ったのかは現在も不明である。

この水晶にはいくつか色があり、タイムスリップの際は、色によって過去に行くか、未来に行くかが決まるが、あまり解明されていない。

明確なのは、一度破壊されると、二度と修復はできないということである。

同じような物を作るにはこの水晶の欠片をいくつか集め、組み立てる必要がある。

ただこの水晶を目撃した人間は数えるくらいしかおらず、実際に実在するかどうかは未だ分かってない。


“天使の翼”

天使の翼を使用すると死亡した人物を一人蘇生をさせることが可能。

使用する際は、亡骸を棺に入れて、蘇生させる者の名前を叫ぶ。

亡骸の一部、もしくは骨でも蘇生は可能。

その場合、超低確率で蘇生は失敗する場合もあるが、ほぼ成功すると言える。

天使の翼はどこで手に入るとは詳しくは分かっていない。

ただ一つ分かることは天使の翼は天使の翼の羽としていろいろな場所に散らばっていることが多い。

天使の翼の羽をいくつか集めれば天使の翼として使用できる。

翼の持ち主はかけっこ好きのレミニセンスエンジェルである。


「亡骸の一部でもいいってことは、例の骨をすぐ出せるように準備しとけ!」


「はっ!」


「あとは……低確率とか書いてあるけど、今そんなこと気にしてられんしな」


「それから、棺だ棺! それと、墓庭もしばらく使ってなさそうだから軽く掃除しとけ!」


「はっ!」


 ♢♦︎♢


翌日、儀式が執り行われる。

兵士たちは昨晩、ラヴォスが持っていた天使の翼の行方を必死で探したが、結局見つからなかった。

ある兵士は顔を青くして、誰かにだけは知られてはいけないことを思い悩んでいる。


「ヤバい、とんでもないことになった……息子さんに知られたら下手したら殺される……正直に言うか、どうするか……」


♢♦︎♢


墓前に人々が集まった。

カルネス、チェロス、ミオ、兵士たち。

儀式の空気は張り詰めていた。

兵士は天使の翼を手提げ金庫に入れている。

なにかあればすぐに確認できるようにと、天使の翼の情報が記載されている本を持っている兵士もいる。

息子は堂々と墓前に歩み寄り、大げさに咳をしながらやってくる。


「ゴホン、結局、天使の翼は見つからなかったな。心底、チェロスたちは役立たずだ。まぁ、天使の翼と、天使の翼の羽として、合計天使の翼二人分はあるんだし、父さんと誰かでも生き返らせればいいか」


息子は皆の前で大きな独り言を言う。

まるで今まで息子が不満を抱えていたものを全員に聞かせるように。


「ようやくこの長い長い悲劇も幕を閉じることができる。せめてこいつ足止めしてくれれば最後ぐらいは楽にラヴォスを倒すことができたのにな〜このポンコツ兵士がよ」


チェロスを睨む息子。

咄嗟にチェロスは目を逸らす。


「そうだ、カルネス、なんか忘れてないか?」


「ええ、このたびは助けていただき、まことにありがとうございます」


「いや礼などいらんから、報酬だよ」


「ちゃんと覚えていますよ。だが、その前にやるべきことがあるのでは?」


「チェッ、もったいぶるなぁ……分かったよ生き返らせればいいんだろ生き返らせれば。で、どうやって生き返らせんだ?」


「遺体が入ったこの棺桶を墓の前に置き、その上に天使の翼を置く。その後、蘇生させる奴の名前を叫べばよいと本に書いてあった」


「ええ、やりたくねぇなぁ……この翼、売り飛ばそうかなぁ……」


「息子さん! それは一番やったらいけないやつですよ!」


「冗談だよ冗談。本当の事か冗談かも判断できないなんて、よく城の城主を名乗れたもんだ」


「さっきから言ってることがめちゃくちゃだぞ……」


チェロスは息子を一瞥してボソッと言う。


「うるせぇ! 役立たず兵士は黙ってろ!」


「まぁまぁ、落ち着いてください」


カルネスが仲裁に入った。


「では、早速蘇生の儀式を始めましょうか。それでは息子さん、お伺いします。あなたのお父さん、僕のお父さん、ニーナさんのどなたを生き返らせますか?」


「はぁ、天使の翼はなぜか消えてしまうし、手元には天使の翼の羽が三つ……すなわち翼一つ分しかないのか……ならは生き返らせるのは、もちろん俺の父さんだ。他の選択肢など眼中にない。だってカルロスやニーナとかいう見ず知らずの奴を生き返らせる価値などないだろ? それに父さんを生き返らせてやれば、きっとお礼としてお金が貰えるだろうしな……と思ったけど、そういや父さんは火葬されたんじゃないのか?蘇生の儀式っつったら死体は必要じゃないのか?」


「遺骨だ。骨でも死体の役割を果たすだろう。本にもそう書いてあった。だよな?」


カルネスは本を持っている兵士に確認する。


「えーっと……はい! そう書いています!」


「ということです息子さん」


「おうそうか、予想外のことが続くから神経質になりすぎたな。では早速、いや、遂に生き返らせる時が来たのか。俺の苦労が実を結ぶ」


息子は棺桶に近づき、儀式を始めようとする。


「……非常に申し上げにくいのだが」


その瞬間、さっきまで目を泳がせていた一人の兵士が顔を引きつらせ、声を震わせて告げた。


「父親の骨を施錠していた金庫の鍵をどっかに落っことしてしまった……」


「だったらすぐに鍵を見つけろオイゴラ!!!!」


儀式の火蓋は切られた……はずだったが、戦局はまだ終わっていない。

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