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第47話「宇宙での出来事1」


第12章「宇宙での出来事」


私は見知らぬ島へとたどり着いた。

どうにか暮らそうとしても、お金は、ほぼ学費と、島を渡る運賃で使い果たしていた。


漂流してたどり着いた島はギブタウンという所であった。

少し歩くと、とあるポスターが目に入る。


「ん? なにこれ?」


『力が強い奴、頭がいい奴、やる気ある奴、大募集! 多くの配達物を運ぶだけでオッケー! 仕事するだけで、超高収入! 楽しいぞぉ~! カルロス』


「なに、このあからさまに、胡散臭いポスター」


「あれ? ポスター見てるってことは、もしかして、君、この城へ応募するつもり?」


城の従業員が話しかける。


「なわけないでしょ! 誰がこんな絶対怪しい職場に仕事なんて……なんて言ってられないか。今はもう、一文無しだし……今は、どれだけおかしい職場でも、生きるために文句を言ってる場合じゃないわね……よし! 決めた! 私、この城で働くわ! アンタの社長にそう伝えておきなさい!」


「あ、ああ……分かった。カルロスさんに、ちゃんと伝えておくよ……ただ、あそこで働くとなると覚悟しといたほうがいいぞ」


 ♢♦︎♢


「……ということよ。思い返せばいろいろあったなぁ」


「まさか、てめぇが城に来る前にそんなことがあったとは……」


 ♢♦︎♢


で、その後──


「初めまして、今日からここで働かせていただくニーナと申します。たくさんのご迷惑をおかけしますが、一日でも早く戦力になれるよう精一杯頑張りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」


「あなた、こんなクソ男にそんな礼儀正しく接しなくていいわよ」


緑色の髪をしたクールな女性が腕を組んで城外の扉に寄りかかっている。


「おい、メグ、余計なことを言うな!」


「え、メグって……」


「あれ? あなたもしかしてニーナちゃん?」


「メ、メグさん!?」


なんと、学校の先輩であったメグと再会した。

話を聞けば、メグもニーナ同様、フラムに関与していたことが発覚して、退学させられてしまったとのこと。

こうしてニーナはギブタウン城で働くことになった。


 ♢♦︎♢


「前に言ってたあの人はメグのことだったのか」


「入ってみたら案の定、この城は悪の温床そのものだったわ。トップは、だらしなくて、アホで、バカで、ゴミで、カスで、どうしようもないクズってことがすぐに分かったわ」


「そこまで、悪口言わなくたっていいじゃないか!! 僕ちゃんピュアだから地味に傷ついちゃうんだからよ!!」


カルロスが半泣き気味に叫ぶと、ニーナは呆れたようにため息をついた。


「ま、この城に入ったら偶然、メグ先輩と出会えたし、全部が悪かったわけじゃないわ」


「だろ? 感謝しろよ?」


「感謝するわけないでしょ」


ニーナはすぐにツッコミを入れるが、その口調はいつもよりは柔らかかった。


「その時は楽しかった。でも未来の世界にまで行って、死ぬことになるとは思ってもなかったなぁ。メグさん元の世界で心配してないかな……」


ニーナは空を見つめていた。


 ♢♦︎♢


「今頃ニーナちゃんどうしてるんだろ」


メグはも未来の世界に飛ばされていた。

そこで薬屋の先生に拾われ、その店で働いていた。

治療術科で培った知識はすぐに役立ち、たちまち町でも評判の薬師になった。

忙しい日々の中でも、ふとした瞬間にニーナのことを思い出す。


その後、スカイギャラクシーの村長オースティンの夢を叶えるため、未開拓の島に医療施設を建て、彼女はその地で働くようになった。

その場所こそ、後に青年がオースティンの願いを継ぎ、息子が立ち寄ることになる島だった。


メグは静かに空を見上げる。

どこかであの城の仲間たちも同じ空を見ているような気がしてメグは微笑んだ。


 ♢♦︎♢


そして息子は──


「きったねぇ空だな。雲がなんかキモい」


「さっきから思っとったんだが、やはりアンタも宇宙についてくるのか?」


「ああ、アンタのロケットが完成したら俺も宇宙に行くつもりだ」


「まさか、宇宙に行ってなにかまた悪さをしようと考えておるな?」


「ふざけんな! その逆のようなもんだ! 実はさっきもちょろっと言ったが、強盗を追ってるんだ」


「強盗? お前さんの仲間かなにかか?」


「ふざけてる場合じゃない! その強盗が今宇宙に行ってるから、俺が宇宙に行かないと、そいつを捕まえられないんだ」


「宇宙にまで逃げる強盗……一体なにを盗まれたんじゃ?」


「水晶の欠片と天使の翼だ」


「なんかいろいろ事情がありそうだな。まぁ、仕方ない。お前さんも宇宙に連れていってやろう」


「おう、すまんな」


「塔の中にロケットがある。パーツを組み立てたら、宇宙に向かう」


「早く行かせろ。欠片と翼が取れなくなったらどうしてくれるんだ」


「せかさんでくれ……あれ?」


「どうした? なんかあったのか? なにかあればただじゃおかないからな!」


「塔の鍵をどこかに……」


「おい! クソジジイ! なにしてくれとんじゃゴラァ!」


「もしかしたらあの時……」


 ♢♦︎♢


「おい、キチガイ!」


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! 金だ! 報酬だ! この世の全ての生き物たちよ!! 全ての物をこの私に貢げ!!!! うひゃひゃひゃひゃ!!!!!!! …………ヴハァァァ!!!」


「よし! やったか!? …………だ、大丈夫か?」


「うぎゃあああああああああああああああああ!!!!」


「うわっ!!! なんじゃ!!! …………ふ、ふぅ……寿命が縮んだわい……」


 ♢♦︎♢


「あの時お前さんに襲われた時に持っていた鍵を落としたのかも」


「お、俺のせいにすんなよ!」


二人が互いに顔を見合わせて言い争っていると、遠くから呼ぶ声が聞こえた。


「あ、オースティンさん!」


「メグ?」


「あの! この鍵ってもしかして落としましたか?」


「そうじゃ! 塔の鍵じゃ! ありがとなメグ!」


「だ、大丈夫かこのジジイ。一緒に宇宙に行くのが不安になってきた……」


「なら行かんでもよいぞ、勝手についてくるだけじゃろ」


「うるせぇ! 強盗のせいで不本意だが行くんだ!」


「まぁよい、ロケットを完成させるからしばらく待っていてくれ」


オースティンは古びた工具を手にしていた。

ボルトを締めては外し、何度も同じ部分を眺めて首をかしげている。


「……ジジイ、本当にこれ、飛ぶんだろうな?」


「もちろんじゃとも! ワシを誰だと思っておる。天才オースティンじゃぞ!」


息子はため息をつきながら、オースティンが間違えて逆向きに部品をつけているのを見た。


「おい、それ上下逆だぞ!」


「なにっ!? あー、そうじゃそうじゃ、試しに逆にしてみただけじゃ!」


「言い訳が苦しいんだよ! それより煙出てんぞ……大丈夫かこれ」


「大丈夫大丈夫! 多少の煙は愛嬌じゃ!」


「……いや、煙が出てる時点で大問題だろ」


 ♢♦︎♢


やがて、息子たちはロケットに乗り込み、宇宙へと飛び立った。


「おお、やっと着いた。ついに宇宙へ降り立つことができたぞ!」


「チン◯スみたいなロケットでもなんとかつけたか……ヒヤヒヤしたぜ」


「こら、下劣なこと言うではない」


「はぁ……ただ宇宙に行きたいというだけで宇宙に来たあの村長と命がけで盗まれた貴重なアイテムを強盗から取り返し行く私……やれやれ、果たしてどちらが偉いのやら……父さんは、こんな自分勝手な奴を相手に手助けをしろと言うのか……無茶な話だよなぁ……」


「なんか言ったか?」


「いや、なんでもねぇよ。どうせ話したところで、低脳なアンタには理解してもらえんだろ」


「低脳って……むむっ……でもワシは嬉しいんじゃよ」


「悪口を言われることがか?」


「そんなわけなかろう。相変わらず性格が悪いのぅ」


「そりゃどうも」


「褒めてはないけどな。嬉しいんじゃ……ワシはな、大昔から宇宙に行くことが夢じゃった。それが実現した。こんなに喜ばしいことがあるか。たとえこんな奴と一緒でも嬉しいんじゃよ」


「こんな奴? 性格悪いってこのジジイも人のこと言えんよな」


「村長を辞めてまで宇宙のことについて専念したんじゃ。最近になってスカイギャラクシーの村長をやることになった。だから……」


「呑気に夢の話を語りやがって! 俺はとりあえず強盗を探すぞ! せいぜい満喫してろよなジジイ!」


しかし、しばらく探しても強盗はいなかった。


「クソッ! 見当たらねぇ!」


「仕方ない、またロケットに乗って少し移動するか。じゃが、うちの町からこの宇宙まで、かなり燃料を消費してしまって、今日はもう動かないんだ。今からワシの家から持ってきた燃料タンクで燃料を補給をするから、今日はゆっくりここで休むんだな」


「シューズといい、ロケットといい、お前の町の物はつくづく不便だな、畜生! で? 燃料満タンになるまで、どんだけ時間かかるんだ?」


「一晩かかるかのう……」


「一晩!? チッ……退屈だなぁ……大体こんな場所のどこで休めと言うんだ……それも、このジジイと」


「明日になれば、燃料も満タンに、なってるだろう。洞穴がある、あそこで休もう」


「休憩所の時といい、なぜここぞという時に限って俺を足止めするんだこのジジイは……まぁ、いうて俺も疲れてんだ。寝るか」


息子はこの後に訪れる悲劇を知る由もなかった。

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