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第44話「ニーナと魔術学校1」

一方、カルロスたちは、死後の世界で暇を持て余していた。


「あーよく寝た。だが実に暇だな。こんな雲一面の生活飽きちまった。寝るかお前と喋るくらいしかできねぇじゃねぇか」


雲一面広がる死後の世界に横になるカルロスと退屈そうにしているニーナ。


「そうね、特別変化があるってわけでもないし」


「ニーナ、なんか面白い話してくれ」


「急に振られても出てこないわ」


「チッ……」


「だってカルロスがいう面白い話って金とかの話でしょ?」


「この際なんでもいいわい。ならば前から疑問に思ってたのだが、毎度のように僕ちゃんに歯向かったりするのに、なんであの城に来たのかとか、働く前はなにをしてたのかまだ聞いてなかったが、暇つぶしに話してくれよ」


「そうねぇ、いいわ。暇だし話してあげる。あの頃は、働ける場所もなければ、お金もなかった時に、たまたま城を見つけたの」


「どうゆうことだ? たまたまって城にどうしても働きたいんだと思ってたんだが」


「んなわけないでしょ! あんな所で働いてたら人生を棒に振るって言ってももいいくらいよ!」


「いくらなんでもいいすぎだろ!」


「もういちいち突っかからないでくれる? 話すんだから黙って最後まで聞いてよ!」


「……あ、ああ」


「あれは随分と昔の話になるわ。私がまだ魔法学校の学生だった時の話よ」


ニーナは静かに、過去の物語を語りはじめた。


 ♢♦︎♢


私が入学する日のこと。


「ついに来た……数々の難関の試験に合格し、厳しい魔法の実習試験にも合格して……やっとこのノーブル高等魔術学校へ入学できた!! やった!!」


希望の高校に無事に合格し、そして入学式の日を迎えた。

私は喜びて胸がいっぱいになった。


「受験勉強を苦労した甲斐があったわ!! これから楽しい学校生活が待っているんだわ!!」


私は学校に到着するが、そこまで時間に余裕がらないことに気づく。


「あっ、いけない、早く入学式に向かわないと……」


少し進んでみると、建物の隅っこで一人の少女がしゃがんでいた。

気になった私はその少女に声をかけた。


「(なにかしら、あの子、あんな所で……きっとなにかあったんだわ)ちょっと、アンタ! ノーブルの子? 早く行かないと遅れるわよ!」


「………」


「ほら、行くよ!」


「………」


「一体、なに? あなたは?」


「……いいの……私のことは、ほっといて」


「なんでよ?」


「この学校へ入学して来たけど……いざ来て見たら、緊張しちゃって……正直、やっていけるか不安で、ずっとここにいるの……」


「なに言ってんのよ。そんなもん、やってみないと分からないじゃない」


「そうかな……」


「そうよ。あの難しい試験に合格したんでしょ?」


「試験? ああ、まぁね」


「だったらこれからも頑張れるよ。ほら、行きましょ」


「う、うん」


こうして、私たちは一緒に校内へ向かった。

入口には教員が立っており、名簿を片手に生徒の名前を確認している。


「おう、みんな入学式へ急げ! とりあえず、名前を確認したいからこっちに来てくれ。それで、君は?」


「ニーナです」


「ニーナっと……はい」


教育は名簿を確認する。


「次、隣にいる君!」


「あっ、えっと……フラムです……」


「フラムっと……あれ? おかしいなぁ、そんな名前、この名簿にはないぞ? ん〜いや、でもこの学校の生徒である証の紋章バッジは付けてるな? あっ、もしかしたら記入漏れかもしれんな。 まぁ、とりあえず君たちは早く向かって! もうすぐ入学式が始まるから!」


「はい」


私とフラムは顔を見合わせ、駆け足で入学式の会場へと向かった。

そしてすぐに入学式が始まる。


「えー、オホン! 諸君! ようこそノーブル高等魔術学校へ! 私が学校長のノーブル・アムスである。君たちはこれからこの学校で多くの魔法を勉強し、この世の中の役に立てるよう精進してもらいたい。これから勉強をしていく君たちにある話をしてあげよう。それはこのパオンタウンの歴史だ。実を言うと、元々、パオンタウンは技術や文明が発達していた町だった。ところが、あることをきっかけにパオンタウンは変わってしまった」


校長の声は広い講堂に静かに響き、集まった新入生たちは身を乗り出すようにして耳を傾けた。

ノーブルの話を要約すると以下になる。


戦争の理由ははるか昔にこの世界で大きな戦争があった。


戦争を仕掛けてきたのは、とある大富豪の集団であった。

なんでも、金や地位によって、様々な国をこれまで占拠してきたという。

素直に要求を呑まなかった場合は、最悪町ごと滅ぼされるという。

パオンタウンもその一つであった。


数々の技術や文明は彼らによって奪われ、さらには町ごと一度、滅ぼされていた。


大富豪の集団のトップは史上最強の大魔法使いであり、これまでいくつもの国と戦争してきたが、どの国も敵うものはなかった。


しかし、それからしばらくして、一人の若者が世界を救う為に立ち上がった。

そしてその若者は、大魔法使いに挑み、見事に勝利した。

若者との戦いの後、その大魔法使いは姿を消した。

それにより、大富豪の集団も事実上の瓦解した。


「その大魔法使いたちがいなくなったとはいえ、彼らの影響は大きく、今もなお、パオンタウンは、町の復旧活動をしている。さらに近頃、大富豪の集団の残党もいるらしい。私はその残党をヴィレムと呼んだ。ヴィレムの存在を私はなにがなんでも許すわけにはいかない。君たちには将来、ヴィレムから世界を守り、立派な魔法使いとしての道を歩んでほしい。おっと、長話しになってしまったな。ただどれも重要な話だ。今話したことを念頭に置いて日々学習してほしい。これにて、話は以上だ。君たちの健闘を祈る」


戦争を仕掛けてきた大富豪の集団の残党が今も暗躍しており、彼らをヴィレムと呼んで恐れられている。

パオンタウン周辺の人々はヴィレムを決して許さず、残党の駆逐こそが急務と考えている。

魔法使いの使命とは、そんなヴィレムから民を守ることにほかならない。


 ♢♦︎♢


入学式が終わり、フラムと共に教室へ向かった。

教室へ向かっていると、私はとある人物とぶつかった。


「いたた……」


「ごめんなさい、急いでいたもので……あら、あなたたちは新入生?」


「は、はい。そうですけど……」


「そう、じゃあ、そっちも急いでいたのに悪いことしちゃったわね。ごめんね」


「い、いえ……」


「私は文明コース、治療術科三年のメグよ。あなたたちは?」


「ニーナです」


「あっ、わ、私はフラムです……」


「ニーナちゃんにフラムちゃんね。覚えたわ。困った時は相談しに来なさい。いつでも待ってるから」


「はい、ありがとうございます! 先輩!」


 ♢♦︎♢


職員室では──


「やはりフラムは記入漏れでしたか。しっかりしてくださいよ、先生! 責任重大ですよ!」


「すまんすまん、それより、このプレムって子は来なかったな」


「ん? もしかして、プレムは誤植でフラムなんじゃ?」


「そ、そうだ! そうに違いない!」


「それなら……まぁ……それも問題ですけどね。せっかく難しい試験を突破して入学してきた生徒に、不信感を抱かせてどうするんです。そういうことの積み重ねが、学校への信頼を失わせるんです。未だにヴィレムの残党も動いているんですから、生徒には前向きな気持ちで学んでもらわないと」


「ああ、今後は気を付けるよ」


そして教員は名簿を修正し、クラス発表のための名簿をを張り出した。


 ♢♦︎♢


クラス発表が掲示されていたのを確認すると、ニーナとフラムは同じクラスになっていた。


「よかった! 同じクラスね! よろしくね!」


「……う、うん」


そして二人は教室に着く。


「いきなり頼りになりそうな先輩に出会えてよかったね!」


「……」


「フラム?」


「そ、そうだね、よかった!」


そこへ、担任がやってくる。


「みんな、席に着け! 俺は担任のビリーだ!」


生徒たちは席に着く。


「さて、君たちにはこの学校で三年間、バンバン魔法の勉強してもらうぞ。この学校には、ダンジョンを攻略する為、あるいは、悪いモンスターから町を守る為に戦い、学ぶ戦闘コースと、町の技術や文明の発達や医療などを中心に学ぶ文明コースがある。戦闘コースには一般魔法科や攻撃魔法科などがあり、文明コースには治療術科や防衛魔法科などに分けられる。だが目的は入学式であったようにヴィレムことだ。それで今話したコースは、二年生になる時にどちらかのコースを受けてもらう。それに向けて始めの一年は、魔法の基礎をしっかり学ぶことになっている。コース選択を受けられるのは、この一年の基礎コースが終わってからだからちゃんとついてこいよ」


一年生のうちは全員で魔法の基礎を学ぶ。

一年生以降はコース選択をする。


ダンジョンを攻略する為、あるいは、悪いモンスターから町を守る為に戦う、実技が多めのコースは二つに分けられる。

《戦闘コース》

・一般魔法科

・攻撃魔法科


ダンジョンを積極的に攻略するというよりかは、魔法の知識を習得することや、魔法によるサポートを行うコースは二つに分けられる。

《文明コース》

・治療術科

・防衛魔法科

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