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第41話「憑依された息子1」


第10章「憑依された息子」


息子はボルタウンへ向かう。


「んだよこの辺のステージから命が何個あっても足りんわ~やっぱミッションを受けるのやめよっかな~自分の命のためにも~」


息子は独り言を言いながら歩く。


「だが、もう後戻りもできないし、万が一俺が死んでもしたら翼は誰が集めるってんだ。次はどんな鬼畜ステージが待ってるか分からんけど、ミッションを受けるのをやめたらやめたで、ミオには期待を裏切ってしまうし、カルネスにはバカにされて嘲笑いでもされたらほんと腹立つ。クッソだるいが、前に進むしかないか。ほんと情けねぇ話だよな。にしてもこの町くっせぇな! う〇こみたいな匂いがする!」


ぶつぶつ独り言を言いながら、ボルタウンに到着すると、突然男が駆け寄ってくる。


「君! 折り入って頼みがあるのだが!」


突然、息子の前にスーツ姿の男が現れた。

仕立ての良いジャケット、ピカピカの靴、手首には高級時計。

一目見て金の匂いしかしない。


「またなにか(ん? なんかすんげぇむかつくけど、相手は絶対金持ちだ。さっきの小汚い頑固ジジイとは訳が違う。その頼みってやつを成し遂げたら、きっと莫大な報酬が貰えるに違いない。だから、ここはいつもの猫かぶりモードで対応するか)。はい! なんでしょう?」


「私はウィルソンという。村長だ。この町は最近汚水問題が生じている。火山灰などが原因で、水が汚染されているのじゃ。環境も悪くなり、皆に危害を及ぼす」


「だからこんなくっせーのか。あ、臭いんでございますか」


「うむ。そこで君に、この町の水を綺麗にしてほしい。もちろん、成功すれば莫大な報酬を用意しよう」


「(きた……金の匂い確定)分かりました。ところで、水を綺麗にするにはどうすればよいのですか?」


「うむ、汚水を一瞬で綺麗にする魔法のような液体の清い水は、風の洞窟の最深部に存在する」


「分かりました、行ってきます」


彼は鼻をつまみながら、硫黄の匂いが漂う風の洞窟へと足を踏み入れようとする。

その途中、崖の縁に立ち、今にも身を投げようとしている男を見つけた。


「死にたい……」


「そう思うならそうすれば?」


軽い調子で言ったその一言。

だが次の瞬間、男は本当に崖から飛び降りた。


「……まじかよ」


息子は一瞬呆然としたが、すぐに首を振って歩き出す。


「ま、俺のせいじゃねぇし。取ってこい系のミッションなんてもう慣れっこだ。さっさと行って報酬もらうか……ん?」


風の洞窟の入口に差しかかったそのときだった。

暗闇の奥からぼんやりと光る影が浮かび上がった。

それはウッドタウンで見た犠牲者たち、ウィンタータウンで死んだ犬の幽霊、そして先ほど崖から飛び降りたあの男、さらにはサハラタウンで病に倒れたあの妻の姿まで……助からなかったのか、生き霊なのか。

息子は顔をひきつらせた。


「な、なんで……なんで俺の前に現れる!? お、俺がなんかいけないことしたか!? 別に恨まれるようなこと、してねぇよな!? おい、聞いてんのかッ!!!」


幽霊たちは何も言わず、ただじっと彼を見つめていた。

その目には言葉よりも重い恨みが宿っていた。


「う、うわあああああああああああああああああ!!!」


次の瞬間、彼は無数の幽霊に取り囲まれた。

冷たい手が首に、腕に、足に絡みつく。

息子は必死にもがき叫び、闇の中へと引きずり込まれていった。

……そして、目を開けた。


「……夢、か? よっぽど疲れてたんだな。しかし妙にリアルだった」


「目覚めたようだな」


ベットに寝かされており、見上げると先ほどの男がいた。


「疲れていたのか、君が気絶したから、ベットで寝かせてやってたんだ。なんか悪夢でも見てたようだったぞ」


「わざわざ、ベットまで運んでくれ、寝かせていただき、ありがとうございました! ふかふかで、気持ちよかったです!」


「フォッフォッフォッ、そうか、これから清い水を取ってくるんだったな」


「はい! いろいろとありがとうございました! 清い水を手に入れたら戻りますね!」


「おお、待っとるぞ」


「(にしてもさっきの夢は一体……そもそも夢だったのか?)」


 ♢♦︎♢


「そうだ! いい方法を思いついたぞ! ニーナ! お前は魔法使いだったな。元の世界にワープしよう」


「そんな高度な魔法は使えないわよ。できるならとっくにやっているわ!」


「チッ、相変わらず使えねぇな」


「アンタに言われたくないわよ!」


「カルロスさん、ニーナさん、喧嘩はやめましょうよ」


「口を挟むな。部外者は引っ込んでろ!」


「いいえこの子の言う通りよ。こんな時に喧嘩なんかしたくないわ」


カルロスは舌打ちしながらも、渋々黙る。


「ところで、こういう時に役立つ魔法はないのか?」


「んー……そうね。とりあえず、“ギブタウン”の様子でも視てみる?」


「そんなことができるのか?」


「まあね。これでも一応魔法使い。けれど視れるのは私だけ。視たこと全てあなたたちに伝えるわ」


「ありがとな。早速視てくれ」


「分かったわ」


「………」


ニーナは目を閉じ、両手を胸の前で組む。


「なんかあなた(青年のこと)にそっくりな人が翼と欠片を集めてくれてるみたい」


「なんだと?」


「それ私の子供のかも。きっと子供がカルロスさんたちのかわりにミッションを受けたんですよ!」


喜悦の声を上げる父親。


「でかしたぞ、お前の子供よ」


「……え、なんなの……」


「どうした?」


ニーナの表情が固まる。

その瞳にはなにかが映し出されていた。


 ♢♦︎♢


息子はウィルソンに清い水を渡し、ちゃっかり報酬を貰い、無事に依頼を果たした。

そして水晶の欠片と天使の翼の羽を集め、ギブタウンへと帰還する。

カルネスが待つ部屋に入り、報告した。


「ただいまです。今回も欠片、そして天使の翼の羽が手に入りました」


「おお、やりましたね! そうだ、五つだ。調査の結果だが、水晶の欠片は五つで時の水晶として復元できることが分かった。だから今集めたのを合わせるとあと一つで揃うことが分かりやした。先が見えてきましたね。翼の入手先は宇宙を示唆していた。ギブタウンの宇宙といえば、スカイギャラクシーだ。そこへ行ってもらいやす」


水晶の欠片は五つ集めるとスペアとして完成するようだ。


すると突然、部屋の灯りがふっと消え、辺りが闇に包まれた。


「停電!? 息子さん大丈夫ですか?」


「はい」


「ならよかったです。電気をつけてくるのと皆さんのことが心配なので、様子を見てきますね」


カルネスは戻ってくると険しい顔をしていた。


「大変だ!!!」


「停電に気を取られている隙に強盗が入って今まで集めた翼の羽や欠片を全部盗まれてしまった!」


「ええええええっ!? あとちょっとで完成だったのにぃぃ!!!」


息子は頭を抱え、床に崩れ落ちた。


「なんで厳重に保管してくれなかったんですかカルネスさん!!!」


「そ、そんなこと言われても……!」


 ♢♦︎♢


「……え、なんなの……」


「どうした?」


「どうやら息子くんが集めた翼と欠片が盗まれたみたい!」


「なにィ!?」


「クッ……一気に帰れる希望がなくなった……」


「きっと私の息子なら取り返してくれますよ。私が育て上げましたから勇敢な子ですよ」


「おお、頼もしい奴だな」


 ♢♦︎♢


「まぁ正直ミッションもだるいし、もうこれを機に翼や欠片を集めんのやめるか~父さんたちには悪いが~」


「本当にそれでいいのですか?」


本性を出しかけると、昔父親に言われたセリフを思い出す。


「私は仕事で辛い日々を過ごしている。お前はなにがあっても負けるな。立派な大人になるんだ!」


「そういえば、こんなこと言われ続けていたな。前言撤回します。翼や欠片集めを続行します」


「さすがです。見直しました」


「でも強盗ってどこ行ったんだろ」


「宇宙……奴らは宇宙に行った」


チェロスが現れる。


「チェ、チェロス……なぜ分かる。それに奴らということは複数犯ということまで」


「理由は後だ! とにかく早く追え! 宇宙は運良くちょうど息子さんが次に行く場所だろ!」


「は、はい!」


息子は慌てて立ち上がり、強盗の行方を追って走り出した。

残された空気には、緊張が走る。


「……で、なんで宇宙に行ったって分かったんだ?」


「……実は」


取り残された二人は、深刻な表情で話を始める。

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