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第37話「金の力1」

息子はまず、ウッドタウンへワープした。


「フン……なにが生半可な気持ちでいてはならんだ。俺様を舐めんなよ」


なんと、息子は猫をかぶっていた。

息子はとてつもなく性格が悪かったのだ。


「金だ。険しい道のりで言いなりになれば、多額の報酬が貰えるに違いない! ん? にしてもなんか煙くせぇな」


すると奥から男が血相変えてこちらへ向かってくる。

背後には薄い煙が立ち上り、遠くの屋根が赤く染まっていた。


「どうしたんすか?」


「どうしたもこうしたもない! 見りゃ分かるだろ! 町に火がついてしまって、町中がパニックなんだ! 早くしないと俺の家にまで火がついてしまう……この町には消火器も川もないんだ。だから火がついてしまったらおしまいなんだよ……!」


「ほう」


言葉と一緒に、彼の指差す先で家の一つが黒い煙を上げている。

人々が大声で走り回り、子供の泣き声が混じる。

ウッドタウンは火の海になりかけていた。


「唯一、水がある場所があるんだが、ここの町が入口になっている洞窟がある。その洞窟の奥には秘伝の水がある。秘伝の水ならこの程度の火をすぐに消すことができるのだが……」


「私にとってこいと?」


「お願い……いやお願いします!」


「ふむ……そこの洞窟には化け物が住んでいると噂されているそうな(チェロスから説明を受けたところだ)。たしかその凶暴な化け物の近くに水があるんだっけか?」


「知ってるのか! なら話は早い! 今すぐとってきてくれ!」


「なら話は早いだ? てめぇいい加減にしろよ! そこは俺が求めているアイテムが入手できる可能性はあるが、そんな物騒な場所行くかは俺が決めることだ。行くとしても自分のペースでゆっくり行くつもりなんだ。俺は疲れているんだ。少し休ませてくれ」


火に焦る町人と、自分の疲労を言い訳にする男の噛み合わないやり取り。


「お願いだ! 今すぐとってきてくれ! いやとってきてください! 今から行かないとこの町は火の海になってしまう!!!! もちろん報酬は用意する!!!!」


息子の目は輝いた。

そう、報酬という言葉に。


「報酬か。まぁいい。とってきてあげましょう」


報酬を耳にした息子の態度はころっと変わった。


 ♢♦︎♢


数分後、息子は水を取ってきて無事に洞窟から戻ってくる。


「ん? あなたはたしか、秘伝の水を取ってきたらお礼をしてくれると約束していた方ですね」


「そうです。この度はありがとうございやした!」


「うむ。で、お礼になにをくれるのですか?」


「金塊を差し上げます。高値で売れますよ!」


そして奥からもう一人出てくる。


「ワシはウッドタウンタウンの村長のトニーじゃ。ワシからもお礼しよう」


それはセーブテレフォンと呼ばれる旅人の必需品だった。

それは旅の記録を残せる貴重な道具。

金塊は高値で売れる換金アイテム。

どちらも、息子にとっては都合の良い報酬だった。


「皆さんどうもありがとうございました。さて、私はそろそろここを出ます。この町に平和が戻ってよかったですね」


息子は一礼し、きれいな笑みを浮かべて見せた。

周囲の人々は拍手し、口々に言葉をかける。


「ありがとう! 英雄よ!」


そしてトニーたちがいなくなった途端、再び毒を吐く。


「チッ……くだらねぇ。結局この欠片と金塊とかしか手に入れられなかったしよ。とりあえずチェロスの所へ戻るか」


息子は洞窟でなんと、水晶の欠片を入手していた。

金と欲に支配されながらも危険な洞窟を突破して成果を上げる。

そして息子はワープポールでギブタウン城へと戻る。


 ♢♦︎♢


一方、カルネス城の受付で独り言を言っていた。


「思えば父さんたちが死んだ場所に行かせてるんだよな……やっぱりあの時、行くのを止めたほうがよかったのかな……まっ、息子さんを翼集めに行かせたのはチェロスの野郎だからな。なにかあれば全部あいつが悪い。全てはあいつの責任だ!」


「ちげーよ! 息子さんから言ったんだよ。俺が少し事情を話したら、父、カルロスさん、そしてニーナさんを……」


チェロスがやって来る。


「誰がそんなこと信じるか!」


「盗み聞きしてたんじゃねぇのかよ」


「うっ……まぁいい。言っとくが、俺はまだお前を信用してるわけではないからな」


「やっほー♪」


「どうしたんだ?」


「息子くんが帰ってきましたよ♪」


報告を受け、三人は足早にワープポールへ向かうとそこに息子の姿があった。

ミオは笑顔で案内し、息子は深く一礼する。


「ただいまです」


「おかえりなさい! どうでしたか?」


「翼や欠片を集めに行くとか言っちゃいましたけど、かなりきつかったですね。カルネスさんが生半可な気持ちで行ってはならないと忠告してくださらなければ、油断してモンスターにやられて死んでいたかもしれませんね。ありがとうございます」


「ほら見ろ」


チェロスはカルネスを睨む。


「チッ……」


二人は小声で言い合う。


「(調子乗んなよ……)」

「(睨むなっての)」


「……あの、報告いいですか?」


「あ、はいはい。どぞどぞ。すんませんねぇ」


「ありがとうございます、カルネスさん。今回は欠片しか拾ってこれませんでした」


「いやー、十分ですよ! まさか本当に拾ってくるとは! お疲れ様です!」


「ゆっくり休んでくださいね♪」


「これからも頑張りますので、なにかありましたらフォローをいただくかもしれませんが、その時はお願いいたします」


「もちろんです! あ、そうだ! カルネスナビというものを差し上げます! これはギブタウンに住んでいる者に与えられるナビ。あらかじめ連絡先を交換していれば、遠くにいても無線機の要領で連絡を取り合うことができるのです! ミッションに行かれてる時、なにかあれば連絡しますし、非常事態などは連絡してくれても構いません。また、ギブタウン周辺の天気などの情報も瞬時に分かり、かなりハイテクです。本当はギブタウン在住ではないので、差し上げてはいけない決まりなのですが、翼や欠片集めに行ってくださっていますし、万が一の時に連絡の手段がないので、特別ですよ」


「ありがとうございます。有効に活用させていただきますね」


「ではまずは私と連絡先を交換しましょう」


息子はカルネスナビを貰い、三人と連絡先を交換した。


その直後、チェロスはその場を去ろうとする。


「おいチェロス、どこ行く」


「別にどこに行ったっていいだろ」


「あとで会議があるから遅れんなよ。さっきの話の続きは会議の後でも話そう」


「……チッ……ああ」


チェロスの舌打ちが響き、空気が一瞬で重くなる。

その場にいた全員が、二人の険悪さを肌で感じ取っていた。

沈黙を破ったのは、息子だった。


「すみません、私が介入していいのか分かりませんが……カルネスさんとチェロスさんの間で、なにかあったのですか? 告別式の時も、どこかギクシャクしていましたし。もし私でよければ、話してくれませんか? なにか問題を抱えているなら、解決の糸口が見つかるかもしれません」


「いや~こっちの話ですよ。大したことないので気にしないでください」


「はぁ……そうですか……」


「それはそうと、次は砂漠ですね。ミオ、案内してやれ」


「はい! 息子くん行きましょ!」


「はい!」


そして息子は天使の翼と水晶の欠片を追い求め、いや、報酬を獲得するために、次の目的地へと向かおうとする。


「なんだあいつら、仲が悪いのか? 見てて腹立つ。ま、俺にとっては関係ないがな。砂漠かぁ。俺暑いの嫌いなんだよな。ま、報酬をくれればどんな逆境も乗り越えることができるんだよな。だから頼むぞ、ギブタウンの連中」


息子はミオに案内されている間、独り言を言う。


「なんか言った?」


「い、いえ!」


「そう。なんか長い独り言言ってたような……」


「い、意気込みみたいのを言ってただけですよ」


「そっか♪ じゃあ行きますよ♪」


息子はワープポールに手をかざした。


 ♢♦︎♢


「来てやったぞ」


会議を終え、数分後、薄暗い廊下の一角でチェロスとカルネスは再び顔を合わせていた。


「俺らはてめぇを許していない。てめぇは俺らがお前を軽蔑している理由は分かってるのか?」


「……」


カルネスとチェロスは相変わらず険悪ムードである。

カルネスは数ヵ月前の出来事を話し出した。

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