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第36話「息子の登場」

青年は、主にカルロスから無理難題な仕事を押し付けられ、長期間にわたって肉体労働……ほとんど奴隷のような扱いを受けていた。

奴隷解放後、ギブタウン城の外壁に立て掛けられていた時の水晶の不思議な力により、一同は未来の世界へと飛ばされてしまう。


青年はかつて特殊な水晶図鑑という本を読んでおり、その中に時の水晶の解説が記されていた。

その知識があったため、水晶の効果を理解していた彼はカルロスたちを救うため、自ら手を触れ、タイムスリップを試みた。


カルロス、ニーナ、メグ、そして青年は、それぞれ別のタイミングで水晶に吸い込まれたため、飛ばされた時間はほぼ同じでも、到着した瞬間にはわずかなズレが生じていた。

カルロスペアと青年は互いに元の世界へ戻る方法を探していたが、運命のいたずらか、すれ違いが続き、三日間出会うことはなかった。


その間青年は未来の世界でラヴォス軍の侵略に巻き込まれ、数奇な運命をたどることになる。

だが、行動があまりに大胆すぎたため、ラヴォスに口封じのため命を奪われてしまう。


三日後、カルロスたちはギブタウン城付近で青年の変死体を発見した。

彼らは未来に来てから青年とは別行動を取っていたため、誰の手によって殺されたのかは分からない。

ただ、過労死にしてはあまりにも異常な遺体の状態だった。


葬儀を終えた後、カルロスたちはギブタウン城の墓庭で、未来のギブタウンで働いていたカルロスの息子であるカルネスに呼び止められる。

彼の口から語られたのは、死者を生き返らせることができるアイテムの存在だった。


その名は天使の翼……カルロスたちはそれを青年に使用し、蘇生させることを決意する。

しかし、翼に関する情報は極めて少なかった。


カルロスたちは資料室にこもり、天使の翼についての情報を必死に探る。

やがてチェロスの協力もあり、アイテムが落ちていそうな場所の目星がついた……ギブタウン周辺の危険地帯だ。


天使の翼、そして元の世界へ帰るために必要な水晶の欠片を求め、カルロスたちは探索へと向かう。

しかし、最初のステージでモンスターの襲撃を受け、カルロスは命を落としてしまう。


それから一か月、チェロスは誰一人戻ってこないことを確認し、彼らがすでにこの世にいないのだと悟った。


 ♢♦︎♢


「あれから一か月が経過した……なのにまだ戻ってこない……おそらくもう洞窟内で死んだんだろう。やはりあの時、強引にでもカルロスさんたちに装備を着させれば……」


チェロスはワープポールの前に立ってそうささやいた。


「さて、そろそろ門番の時間だ。門へ行くとするか」


「ん?」


その時だった、部屋の扉が開けられる音がした。

何者かがこちらへ近づいてくる。

チェロスはその人物の顔を認識すると、青ざめてきた。


「こんにちは♪」


「あ、アンタは……」


なんと、チェロスの目の前には死んだはずの青年の姿があった。


「もしやカルロスさん、早くも天使の翼を見つけてあなたを?」


チェロスはカルロスたちが天使の翼を見つけて青年を生き返らせてくれたと思い込む。


「……て、天使の翼ですか? それはなんですか?」


その人物は小首をかしげる。

その反応にチェロスの胸に小さな違和感が芽生えた。


「そうか、あなたはその存在を知る前に……」


「どういうことでしょうか? 話していただけますか?」


チェロスはいきさつを話した。


「そういうことがあったのですか。それは大変でしたね。あっ、突然お伺いして申し訳ございません。私はこの前亡くなった者の子供です。若い頃の父と瓜二つなので驚かれましたよね」


「む、息子さんだったのか……どおりで話が噛み合わないわけだ」


「申し訳ございません」


「いや、あなたは悪くないが、それにしてもそっくりだ」


「父は私が幼い頃に少し行方がわからなくなったことがあるのですが、まさか水晶に飲み込まれ、そしてこちらで最近亡くなったということでしょうか?」


「ああ……」


「あ、私がここに訪れた理由は、父が見つかったとお聞きしましたので来たんですが……」


「ああ、そうだったのか。すまないがそれは少し前の情報だ」


チェロスの前に現れたのは青年と顔のよく似た青年の子供だった。

風の便りで青年が現れ出たと聞き、駆けつけたそうだが、着いたら訃報を聞くことになってしまった。


「時間がない。あとで詳しく話す。告別式だ。よければ、あなたのお父さんの告別式がもうじき開かれる。来るか?」


「はい! もちろんです! ありがとうございます!」


「そろそろ時間だから付いて来い。仕方がない、俺も行くか。だがいろいろあって俺は中に入れないかも」


「ありがとうございます。同行させていただきますね」


そして会場へ到着する。


「告別式の案内、ありがとうございました。今お時間よろしいでしょうか?」


「ああ、いいぞ」


「ありがとうございます。差し支えなければ、なぜ父が亡くなったのか、もう少し具体的に教えてほしいです」


「了解だ。ならここじゃなんだし、会場の外で話そう」


チェロスと青年の息子は告別式会場の外へ移動し、事の真相を話す。


「……ということだ」


「なるほど……昔から父が行方不明になった原因は、時の水晶により未来へ行っていたから。そこまでは先ほどまで分かっていましたが、タイムスリップ前の世界でカルロスという人物に奴隷とされていた疲れで、未来の世界に着いて少しして亡くなった可能性があると」


「そういうこった。未来へ行ったときの出来事はあなたのお父さんから少し聞いたくらいだから多少の違いはあるかもしれないが。たしかに傲慢な奴だった。あと、変死体で発見されたことが気になっているとギブタウンの役員は言う。後で調べたことだが城の役員はもちろん、カルロスさんとニーナさんと一緒にいたしアリバイがあった。だから誰かに殺されたとすれば、外部犯かもしれない」


「なにかあったんですかね?」


「さぁな……ただ、妙なことが多い。お前の父さんの死体を最初に発見したのは、今言った過去から来たカルロスとニーナだ。そして二人は今も、お前の父を生き返らせるために天使の翼というアイテムを求めて旅している。ただ……」


そこまで言って、チェロスは言葉を詰まらせた。


「ただ? どうしたのですか?」


「……帰ってこないんだ、彼らが。もう何週間か経過しているのだが」


「まさか、既に……」


「考えたくないが、そうとしか思えん……今他の兵士に旅先である洞窟内を捜索してもらってるところだ」


「その、天使の翼というアイテムを私が探してきましょうか?」


「なっ……正気か?」


「もし仮にカルロスさんたちが亡くなっていたら、父も二度と生き返れないっていうことですよね?」


「まぁ、そうゆうことになるな」


「ならば父、そしてカルロスさんとニーナの分の天使の翼を集めてきます。仮にカルロスさんとニーナさんがが生きていたとしても、亡くなった人間を蘇らせたい方はたくさんいらっしゃるはず。ですから、最低三つ、天使の翼を集めます」


「翼って三つも存在するのかぁ?」


カルネスが憎たらしい顔でこちらに近づいてくる。


「明確ではないが、さっき資料室で読んだ本によると複数存在をにおわすことが記されていた」


「チッ……いつの間に本なんて読んでたんだ。大人しく門にいろよ」


「あの……あなたは……」


「俺か? 俺はカルネスだ。それよりこの青い兵士と関わるとロクなことがないぞ」


「あ、そうだ。翼探しに行くからには、申し訳ないのだが、水晶の欠片というアイテムもついでに落ちていないか見てほしいんだ」


チェロスはカルネスが喋っている途中、かき消すように話し始める。


「水晶の欠片ですか?」


「ああ。水晶の欠片とは、何個か組み合わせると時の水晶になる」


「時の水晶って……」


「そうだ、カルロスさんやあなたのお父さんはその水晶により、この世界へやってきた。ならば過去に帰る時もこの水晶が必要だ」


「でも、だとすればその水晶をもう一つ作る必要はあるんですか?」


「普通はそう思うよな。作らなきゃならないのは、うちのバカが水晶を壊しやがったからだ」


チェロスはカルネスに視線を向けながら、皮肉交じりに言い放つと、カルネスの顔がピクリと引きつった。


「修復は難しいらしい。だから欠片を集めて時の水晶を作るハメになった。元はと言えばそのせいで欠片探しに行くことになってその先でおそらく亡くなったカルロスさんは可哀想だよな」


「チッ……」


短く舌打ちしたカルネスは、視線をそらしてどこかへ歩き去ってしまった。


「水晶のこととか、あなたのお父さんに聞いたんだ」


「そうだったんですね。たしかに父は宝石店で働いていました……幼い頃、宝石の本を読み聞かせをしてくれてましたが、そんな親子なかなかいないですよね……うっ」


涙が落ちると、その雫は床に小さな音を立てて弾けた。

それはまるで、消えてしまった想いのかけらのようだった。

チェロスは黙ってその様子を見つめていたが、やがて静かに口を開いた。


「本当に天使の翼と水晶の欠片を捜す旅に出るのか?」


「はい、私が探してみせます」


「分かった。落ち着いたらでいいから、準備とかしたら俺に声をかけろ。なんなら装備品も貸す。あとミッションに行くために事前に伝えたいこともある」


「はい……分かりました。ありがとうございます」


息子は一旦チェロスと別れて、家に帰り、ミッションに行くための準備をする。


小一時間して、息子はギブタウン城を再訪して、門でチェロスと再会する。


「おお、来てくれたか。ありがとな」


「こちらこそ♪」


息子は笑顔で微笑む。


「早速だがさっきのワープポールに行くぞ」


「よろしくお願いします!」


息子は支度後、ワープポールの部屋へと移動した。

ちなみにワープポールは、触れた者が、ステージや町などに瞬間移動することができるハイテクな装置である。


ワープポールの受付にはミオがいた。


「ここがステージセレクトだ。まずはあのお姉さんに話を聞こう」


「やっほー、私はミオ。君は翼とか欠片集めをしてくれることになった子ですね」


その後、ミオからステージについての説明を受ける。


「ご丁寧にありがとうございます! では、行ってきます!」


「はい、頑張ってくださいね!」


天使の翼は三人分の三つ必要で、水晶の欠片は組み立ててクリスタルが完成する数が必要だ。

息子は父親やカルロスを生き返らせるべく、これらを探す旅に出る。


そして青年がワープポールに触れると、光が包み込み、やがてその姿は消えていった。

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