第26話「お人好しな青年5」
「これで解決か……ん? 向こうの方から気配を感じる」
気配が感じる方へ青年が向かうと、そこにはラヴォスがいた。
慌てて影に隠れる。
「あ、あれは……! い、一旦隠れよう」
「ミクロンめ……こんなチンケな村すら征服できないとは。しかし、爆発を起こせるほどのミサイルがこんな場所にあるとは思えんな」
「お、なんだ、この欠片は?」
ラヴォスは小さな赤い欠片を見つけた。
「宝石にしては形が歪だな……かといえ石ころにしては綺麗過ぎる」
「あの赤い欠片どこかで…もしやあれは…時の水晶の欠片か!? 奴はまだその存在を知らないようだが、あれがもし知られたら……」
「そこに誰かいるのか!」
「まずい!!」
「……気のせいか」
「強力なミサイルがあると聞く。ひとまずは戻るか」
そしてラヴォスは城へ戻る。
「なんとかして奴の野望を食い止めなければ…誰でもいい。誰かラヴォスの情報を知っている者はいないだろうか」
♢♦︎♢
青年はオースティンのいる所へ戻る。
「準備が遅かったではないか」
「ごめんなさい、いろいろありまして……」
「まぁよい。これで出発できる! お前さんには散々、迷惑をかけたな! ここまで手伝ってくれて本当にありがとう。なにか礼をせねばな」
「礼だなんてそんな……そうだ! なら一つ聞いてもいいですか?」
「なんじゃ?」
「ラヴォスという銀髪の大男のことを知っていますか?」
「ラヴォス? 銀髪の大男? さぁ分からんな」
「そうですか……(まずい、時の水晶の存在を知られたら、水晶を使ってあらぬことをしかねない。早くなんとかしなければ……)」
「ん? もしかして別の島へ行くのか?」
「はい。私もずっとここには残れません。やるべきことが残ってますので……(あと一つの町を見たら一旦カルネスさんやチェロスさんの所へ戻ろう)」
「そうか、残念じゃ。だがどんな困難が訪れてもお前さんならやれる。ワシはそう信じておる。そうだ、そしたらこれを。なにかに使えるかもしれん」
青年はある物を受け取った。
「では、またどこかで会おう、若者よ」
「はい!」
青年はスカイギャラクシーを後にし、別の場所へと移動する。
船は島などを往復したせいか少しボロくなり、このまま乗り続けるのは危険と判断し、一度船を置いた。
しばらくして、スノーアイランドと呼ばれるウィンタータウンの近くの雪の島にたどり着く。
「さすがにここまで寒いと、いくらいろんな環境に慣れてる私とはいえ、さすがに辛いな。それにしても本当に寒いな。寒い場所は大抵慣れているけど、さすがに寒すぎる。もしかしたら、この寒さになにか原因があるのかも」
しばらく歩いていると、宿らしき小屋を見つける。
さらにその先を見渡すと今にも崩れそうな橋があった。
そこに一人の男が立っていた。
「どうかしたんですか?」
「いやー、この橋を渡ろうとしたんだけどよ…見ての通り、今すぐにも人が乗ったら崩れてしまいそうなんだ。この先の村に帰りたいのだが、なにか木材があれば、橋が直せるかもしれないんだけど、木材はこの橋の先の村にあるんだ。なんとかして、向こう側の村へ行けないだろうか……」
「この橋の長さはジェットシューズでも、燃料が足りないな。船も危険だ。そうだ、この海を潜り向こう側に行けばどうにかなるかもしれない!」
青年はスカイギャラクシーを去る前に、オースティンから酸素ボンベという海を潜るアイテムを受け取っていたのだ。
「おい、お前正気か? このクソ寒い最中、海を潜ろうだなんて自殺行為だぜ。この寒さは寒中水泳なんてものじゃ済まされないと思うが…」
「だからと言ってずっとこのまま村へ行けないのも問題でしょう。いつこの寒さが続くか分かりませんし…とりあえず行ってきます」
「お、おい! ちょっと……」
青年はそう言い残し、極寒の海へ潜った。
そして青年はなんとか橋の向こう側の島にたどり着く。
「はぁ……な……なにか……ロープのような……ものが……あれば……崖を……のぼり……村へ行ける……」
青年はふと辺りを見渡すとロープがあった。
ロープを使い、島に上陸する。
しばらくして、青年は村を見つけた。
「む……村……だ」
しかし青年はあまりの寒さに体が冷え込み、その場に倒れこむ。
少しの間意識を失っていたようだ。
声が聞こえ、目が覚める。
「おい! 大丈夫か!!」
「ん?」
「おお、目が覚めたか」
「あなたは?」
「目が覚めて良かったぜ。俺はウィンタータウンの村長のオスカーっーもんだ。しかし、驚いた…あんな凍えてやがったのに、まだ生きてやがる。待ってろ、今体を温める薬を作ってるからな」
どうやらウィンタータウンには着くことができたらしい。
「ありがとうございます」
「しかし、なんだってあんな体がボロボロになったんだ?」
「実はですね……」
青年は今までの経緯を話す。
「なんだと!! たかだか木材を取りに行くために、スノーアイランドからここまで海に潜ってやって来ただと! バカ野郎!! それで、死んだらどうすんだ!!」
「すみません」
「仕方ねえな……木材は用意してやるから、そいつを届けに行くんだな」
「でも帰りは……」
「しかたねぇ、俺の船を使え。用が済んだらすぐに返してもらう」
青年はすぐさま、男のいた場所まで行った。
「お待たせしました」
「す……すげえなお前…来るのが遅いからさすがに、凍えて死んだかと思ったが、まさか本当に戻ってくるとは……よし、ここからは俺に任せろ!!」
男はそう言って橋の修理を行った。
数時間後、橋は直った。
「ふぅ、これでやっと村に帰れるぜ。お前にも迷惑をかけたな。礼としてなにか俺にできることはないか?」
青年はその男が家に戻れば船体要の修理道具があると聞き、船の修理を依頼した。
しばらくして船の修理とメンテナンスが完了し、男は帰っていった。
「よし、これで安全に海を渡ることができる。しかし、これだけ寒いのにも、やはり原因がありそう。とりあえず再度ウィンタータウンへ向かって、船を返すか」
青年は再び、ウィンタータウンへ移動する。
ウィンタータウンに着くと、外に出ている人はほとんどいなかった。
「さすがに人はいないか。ひとまずここは村長さんにお礼を言わなければ」
そして村長に会う。
「村長さん! この度はありがとうございました!」
「困った時はお互い様だ!」
「しかしここの場所、異常に寒いような気がするのです。なにか原因があるのではないかと思い、調査してみようと思うんですが」
「この村の寒さについて調査する……か。たしかに俺たちも、この異常な寒さは初めてだ。たしかにここは雪国だし、吹雪くことなんざ当たり前のように起こってるんだけどよ、今年はいくらなんでも寒すぎる。ドライアイスに全身浸かってるくらいにな。そのせいで村の人が誰もロクに外に出れないんだ。これはとても自然の力とは思えんな」
「そうだったんですか……」
「だから毎日、薬を調合して、体が温かくなる薬を作り、それを村の皆に配ってるんだが……」
「配ってる内に数が足りなくなってきたと」
「そういうこった。この薬の調合に必要な草がこの近くの山に生えている。だが、あの山には危険なモンスターが沢山いてだな、誰も近づけねぇんだ。誰かに草を持ってこいと言いたいが、この寒さだ、そうもいかん」
「ならば私が向かいます」
「この寒さに、危険なモンスターの山だぞ? 無茶はよせ」
「このままじっとしていたら、いつかは凍死します。そうなる前に、どうにかして寒さの原因を突き止めれば被害が少なくなるはず」
「そのどうにかってのは分かってんのか?」
「……いえ」
「大体、あんな無茶してこの村に来て死にかけた奴が危険な山に登れるか?自分の身体も守れんやつが、他人を救えるとは思えねぇよ。悪いこたぁ言わねぇ、暖かくなるまでじっと待つことだな」
青年は一瞬黙り込む。
冷え切った体の痛みも、村長の言葉でさらに鋭く意識に刺さる。
しかし、やがて決意を固めるように顔を上げる。
「………おっしゃる通り、たしかに私は、今まで散々無理をしてきたかもしれない。困ってる人を見ると助けずにはいられないお人好しな性格が抑えきれず、自分のことなど見えていませんでした。それでも、助けてあげたお礼に見せる笑顔が私のエネルギーになるんです。その笑顔があれば私はいつでも乗り越えられる。それに私には果たさないといけない目的がある。だからじっとしてはいられないのです」
「そこまでしないといけない目的があるってのかい?」
「はい! だからこそ、あなたたちの役に立ちたいのです!」
「ん〜仕方ねーな。だが、今日は遅い。ベッド使わせてやるから休め」
「分かりました」
体力も減っていたため、この日は休むことにした。




