第24話「お人好しな青年3」
「さて、気を取り直してカルロスさんたちを探すか。その前にエドワードさんに謝らないと……」
青年はギブタウンのエドワードに会い、津波にあって船を壊してしまったことを謝った。
「……ということで、大変申し訳ございませんでした。代わりといってはなんですが、よければこの船を……」
「津波に……それは大変でしたね。生きててよかったです。その船はどうしたんですか?」
「この船はヤシの漁師からいただいたもので、渦の原因の調査をしたお礼にと」
「先ほどヤシの漁師の人がギブタウン城で買い物に来た時言ってましたよ。一人の男性がヤシの漁師のピンチを救ったと。調査だけではなく、悪者に捕らわれていたヤシの漁師を救ったのはあなただったんですね」
「……ま、まあそうですね」
「この船はあなたのものです。私の船はいいですよ。過去から来た人を探しつつ、もし旅先で困ってる方がいたら悩みを聞いてあげてくださいね。でも今回みたいに無理は禁物ですよ」
「はい、ありがとうございます!」
青年はエドワードと別れ、乗船した。
「さて、昨日と違う方向に孤島があった。行ってみよう」
航海は静かに続き、やがて青年は新たな島の岸辺にたどり着く。
潮の匂いと波の音が、訪れた孤島の静けさを際立たせていた。
そこには一人の老人がいた。
「お、こんな島に人が来るとは珍しいな」
「あなたは?」
「ワシか? ワシはオースティンといい、ここで様々な機械を発明している年寄りじゃ」
「そういえは他の人はいないんですか?」
「今はこの島にワシしかおらん」
「一体何故、あなたが一人だけでこのような場所にいるのですか?」
「さぁーのう、ワシは気が付いたらここにいて、この島に来る前の記憶がないんじゃ。ただ、かろうじて名前は思い出せた。あと、どうしてだがなにかしらの機械を発明できることだけは記憶に残っていて、今もなお、機械を発明しているんじゃ」
「なるほど」
「しかし、最近のう……歳をとるごとに寂しさを覚えるんじゃ。この島にもっと人がいればと思ったりすることがあるんじゃ。いくら元気でもワシも歳じゃ。いつくたばるか分からん。せめて、ワシが死ぬ前にいろんな人たちを見てみたいのじゃよ」
「たしかに、この島で一人孤独に生きるのは寂しいですね」
「じゃろじゃろ? そうじゃ、旅人さん。無理なお願いかもしれないが頼みを聞いてくれないか?」
「なんでしょう?」
「ワシはこの島を賑わわせたいのじゃ。そのために、まずは人集めをしなければならない。そこで旅人さん、アンタに人集めを手伝ってほしいのじゃ。そんなにたくさんとは言わん。せめて村と呼べるだけの人数を連れて来てほしいのじゃ」
「分かりました。しかし呼ぶと言ってもどこに行けば?」
「この無人島から離れて別の島に行ってくれればよい。ワシが呼んでほしい人を言うからお前さんはその人を連れてここへ戻ってきてくれ」
「了解しました」
青年はオースティンの言う通りに従い、別の場所で村人を勧誘することにした。
♢♦︎♢
しばらくして青年は別の村に到着した。
「先ほどのご老人は『建築仕事ができそうな人』を探してきてくれと頼んできた。この辺りにいるだろうか?」
青年が村を探索中に薬屋を見つけた。
そこでとある人物に出会う。
「あら、あなたはもしかして……」
「もしやあなたは……メグさん!?」
なんと、過去の世界で共に働いていたメグと再会した。
「久しぶりね。元気にしてた?」
「まぁ……そこそこ……ですがなぜあなたがここに?」
「カルロスとニーナがいなくなったあの日、私がカルロスとニーナを探していたら、城外にいるときに急に辺りが光って気が付いたらこの村にいたわ。自分でもなに言ってるか分からないけどね」
やはりメグも過去の世界からやって来ていたのであった。
青年と異なる点は、ギブタウンから少し離れた村へ飛ばされたということだ。
「まさかあなたも、未来に行ってるとは思わなかったわ」
「はい……忘れ物をして戻ったら……それで……」
「あら? なにか困ったことでも?」
「はい、実は……別件なのですが」
青年が事情を話す。
「なるほど、村に建物を建てるために建築の仕事をしている人がほしいと。なら、この近くに凄腕の人がいるわ。ちょうど今ぐらいに仕事から帰ってくる頃かも」
「分かりました。ありがとうございます。そうだ、カルロスさんとニーナさんを探していたのですが、あの二人は今どこへ?」
「悪いけど分からないわ。私がこの村に来てから彼らの姿を見てないわ。にしてもわざわざあんな男を探しに。あなたも大変ね。またなんか困った時はなんでも聞いてちょうだい」
「はい。ありがとうございます」
♢♦︎♢
青年はメグから聞いた建築家を探すため、村の小道を歩いていた。
その後、青年は一つの建設現場を見つけた。
中には若者が作業していた。
「どうかしたっスか?」
「すみません。この辺りで建築をやってる方がいると聞いたんですけど……」
「ああ、建築家は俺っスけど、なんか用スカ?」
「実は……」
青年が事情を話す。
「なるほど、分かったっス。凄腕の奴っスね。それっしたら呼んでくるんでちょいとお待ちを」
若者は頭を軽く下げ、作業現場の奥へ駆けて行った。
まもなく、別の男が現れた。青年の視線は自然とその人物に向く。
「それは弟のことだろ?」
「あなたは?」
「あ、俺はジュアンだ。よろしくな」
「あ、ジュアンさん、ちょうどよかったっス」
その後、事情を話し、青年はジュアンの後についていき、数分後、建築家の家にたどり着く。
「うちには弟がいて、そいつと話をしてからそちらに島に向かう」
ジュアンは弟のジュリアンを呼び事情を話す。
「という訳なんだ。すまんが、俺はいろんなところで仕事をしてみたいんだ」
「そ、そんな! 兄貴、そりゃないぜ! ただでさえこの村は建築家の人手が少ないってのに……兄貴までどっか行っちまったら、もう仕事なんざ、やってられねぇよ」
「ジュリアンよ……気持ちは分かる。だけどよ……路頭に迷った人が、家を建ててほしいと頼んで来てんだ。俺たちはその頼みに応えるだけさ。どんな場所であれ、雨露を凌げる建物がなきゃ人は生活できねぇ。俺は将来、世界を回っていろんな建造物を建ててみたいんだ」
「兄貴……分かった。兄貴がそこまで言うならもう止めねぇよ。ただ兄貴、この村はさっきも言ったように人手は少ないんだ。だからたまにでいいから、ここに帰って来てくれ」
「分かってるさ。なんか困ったことがあったらまた戻ってくるさ。それじゃあジュリアンよ、行ってくる」
「また帰って来てくれよ、兄貴!」
ジュアンはジュリアンに別れを告げ、荷物をまとめて家を出る。
「お待たせしました。じゃあ案内をお願いします」
「分かりました」
二人の影が夕日に伸び、村の静かな通りを進んでいった。
♢♦︎♢
青年は建築家の男を島に案内した。
「おお、連れて来てくれたか。よし、次はだな…そうじゃ、『農業ができる人』を探して来てくれ。一応、食糧は釣りさえすれば、魚は採れるのじゃが…こんな広い島じゃ。農作物を育てるには充分な広さだと思う」
「分かりました。なんとか探して来てます」
青年は先ほどの島に移動し、農業ができる人を探しに行った。
しかし捜索中、橋が壊れて進めない道があった。
一旦、オースティンのいた島に戻り事情を話す。
「なに? 橋が崩れていて、渡れない道がある?なるほど、そうであったか……ならば、これを渡そう。これはまだ試作品ではあるが、使えないことはないだろう」
青年はジェットシューズを手に入れた。
「これさえあれば、ジェット燃料がある限り、これを履けば空中浮遊ができるはずじゃ。これで本来ならば行けないような所も行けるようになるだろう。現在、こやつを強化できるパーツを開発中じゃ。じゃから現状そこまで歩けない。とりあえず今はそいつを使って捜索を続けてくれ」
「了解しました」
こうしてジェットシューズを装備した青年は再び、人探しへ向かい、崩れた橋のほうへ移動する。




