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第11話「兵長の死」

悲報が届いた。


「大変です!」


「今度は何事だ!」


「チェロスさんからの連絡で、今朝火山に行ったヴァルサ兵長が……兵長が……」


「ん?」


「……噴火に飲まれ亡くなったとのことです!」


「なん……だと!!」


「ドラゴンに掴まれ、身動きがとれないまま逃げきれず………ラヴォス様?!」


「………」


ラヴォスは言葉を失った。


「ラヴォス様!! ラヴォス様!! しっかり!!」


「あの……ヴァルサが……」


 ♢♦︎♢


ラヴォスは数年前、ヴァルサを入隊させた時のことを思い出す。

状況はチェロスの時とよく似ていた。


「おいそこの女! なぜ立ちすくんでいるのだ」


「………アンタがこの町を破壊したの?」


ラヴォスは冷たい目で周囲を見渡しながら答える。

町の瓦礫の中、小さな少女が震えて立っていた。


「正確には俺の部下か洗脳した町人の仕業だ。我々の最終目的に近づけるには手段選ばない。取り残された女を見るのは少々痛ましいが、許してくれ」


「………かっこいい」


「あ?」


「チョーかっこいい! ねぇねぇどうやって破壊したの?」


「かっこいい? なんだこの餓鬼は。悲しくないのか? 両親とか死んだんじゃないのか?」


「たしかに……うぇぇぇぇぇぇぇん、お母さんーお父さんー!! えぇぇぇん!!」


「フッ……やはりただの餓鬼か。どうやって破壊しただ? お前は知らなくていいことだ。さらばだ」


「おい!」


「あ?」


「待て」


「え?」


「私も連れてけ。私もお前と組んでいろんな町を破壊してみたい」


彼女にただならぬものを感じた。

ラヴォスはヴァルサを軍事基地(今のテイクタウン城)へ連れてきた。


「なに? 女?」


「いや女というか……幼女……」


兵士たちがざわめきだした。


「なにしに来たんだ? 見学会?」


「まさか」


「今日から入隊したヴァルサだ」


「よろしく……くすん……」


「にゅ、入隊!?」


「しかも泣いてるのか?」


「えぇぇぇん!! お母さぁぁあん!! お父さぁぁあん!!」


「おいおい、大丈夫かよ……」


兵士たちは目を丸くする。

今まで連れてこられた新人の中でも、これほどなよなよした者はいなかった。


「ラヴォス様はなぜこんな奴を連れてきたのだろうか……」


「ここはおこちゃまが来る場所ではないんだよ」


「とんだお荷物がやってきたものだ」


「てめぇらいい加減に…」


「いい加減にしろ! 私はこの男に仕えたくここに来たんだ! 遊び半分で来てんじゃねぇんだよ!」


「「……」」


兵士一同はその瞬間、静まり返った。

ヴァルサの瞳に揺るぎない決意が光っていた。


その後、ヴァルサはラヴォスに相談した。


「あのさ、さっきさ、兵士たち、私のことを受け入れてくれないみたいだけど、私ってここにいてはいけないのか?」


「自由にしろ。ただ両親を失ったんだ。行き場がないんだろ」


「…………ない」


「だろうな。ならば俺んとこにいろ。俺と修行を重ね、強くなり、バカにしてる奴らを見返してみてはどうだ?」


「うん、頑張るっ!」


最初は弱かった彼女だったが、みるみる強くなっていった。

そして俺の想像を遥かに上回る強さ、そして強靱な肉体、そして心を身につけた。

階級が兵長になるまで登り詰めた。

そんな頑張り屋で今はもはや欠かせない存在だった彼女が……


 ♢♦︎♢


「死んだだと……」


現実を受け入れるのにしばらく時間がかかった。

ヴァルサの死に、悲痛な思いで胸が張り裂けた。


「「ラヴォス様!!」」


心配になった兵士たちが叫んでいる声がやっと聞こえた。


「……ああ、すまない。ちょっと頭を冷やしてくる」


ラヴォスは自室へと向かってしばらく出てくることはなかった。


「くそったれ!! 何事にも忠実に取り組んだあのヴァルサが……火山が噴火しそうなことは予想はついたはず…かつドラゴンもいる。外部委託によるリスク回避のために素材集で危険な場所まで出向いて肉体ごと吹っ飛ぶとはヴァルサらしい死に様だな……体を張って仕事に取り組むなど仕事に対する姿勢が立派だ! だがな、死んじまったらもうどうすることもできねぇんだよ! なぁ、俺はこれからどうすればいいんだよ! 教えてくれよ、なぁ、ヴァルサ!!」


自室で一人叫ぶラヴォスであった。


 ♢♦︎♢


「あんなラヴォス様初めてみたぜぃ……ヴァルサ兵長んこと幼少の頃から育てて可愛がってたもんな……クールなラヴォス様も落ち込むことあるんスねぇ」


「クルーさん、しばらくはそっとしておきましょう」


「ああ、せやな」


その近くにチェロスもいた。

火山の際にヴァルサが言っていたことを思い出す。


「私もあなたみたいに、平和に暮らしていた。だけどある日突然、その平和はなくなり、私は全てを失った。普段の日常がこんなにも幸せだとは思わなかった」


「当時小さかった私は一瞬で両親を失い、希望を失い、行き場を失った。でもその時目の前にラヴォス様が現れた。その時希望と行き場はあると思い入隊を希望した。それからはラヴォス様に服従し、兵長にまで上り詰めた。いつ、なにが起こるかは分からない。いかなる時でも強く生きる覚悟が、あなたにはないの?」


「(火山の時に言ってたことはこのことだったのか。いかなる時でも強く生きる覚悟……か……でも今ラヴォスがさっき言ってたシチュエーションって……)」


「おい! 敵が攻めてきたぞ!」


兵士が慌ててくる。


「ラヴォス様に指示を仰ごうとしたが、落ち込んでいるみたいでまともに受け答えができない! 幸い敵は少ない! 行くぞ!」


チェロスは考える余地もなく敵軍の所へ向かった。


 ♢♦︎♢


数日後、より軍事力の高い敵軍が再び襲来した。

必死の抵抗の末、敵軍を追い払うことには成功したものの、多くの兵士と、クラウンが戦死してしまった。

城内には重苦しい沈黙が広がる。戦死者の報せは兵士たちに動揺を与え、城の士気に波紋を呼んだ。


ラヴォスは追い打ちをかけるように突然起きたクラウンの死、そして二人の貴重な戦力を失ったことを知り、書庫で読んでいる最中であった本を持ったまま放心していた。


「お前までいなくなるとは……これ以上、俺からなにを奪う」


夢であってほしかったが、悲しいことにこれが現実である。

頻繁に会議を重ね、戦略を練ってはいたが、敵軍が実際に襲来した時の対応策はほとんど準備されていなかった。

ラヴォスは自分の浅はかさを後悔した。


しばらくの間、彼は闇雲に読書を再開した。

だが心はまったく落ち着かず、文字を追う目は虚ろであった。

すると、ある章が目に飛び込んできた。


『天使の翼』


「天使の翼……?」


★天使の翼。天使の翼を使用すると死亡した人物を一人蘇生をさせることが可能です。


「天使の翼……そんなアイテムが存在したのか! これを使用すればヴァルサを……!」


★使用する際は、亡骸を棺に入れて、蘇生させる者の名前を叫びます。


「死体を棺に……か……爆死した奴を棺に入れるのは到底不可能だ……ならば父親なら!」


★亡骸の一部、もしくは骨でも蘇生は可能です。

その場合、超低確率で蘇生は失敗する場合もありますが、ほぼ成功するといえるでしょう。


「骨か……そうだ、遺骨だ! で、天使の翼の入手先は?」


★天使の翼はどこで手に入るとは詳しくは分かっていません。

ただ一つ分かることは天使の翼は天使の翼の羽としていろいろな場所に散らばっていることが多いでしょう。

天使の翼の羽をいくつか集めれば天使の翼として使用できます。


「なるほどな……その天使の翼で父を蘇生させてやるか」


しばらくしてラヴォスは自室を出て、兵士が集まっている所で、天使の翼の情報が掲載されたページを開き、大声を上げる。


「業務連絡だ! もし出先に天使の翼ないし天使の翼の羽というアイテムが落ちていたら拾ってこい! 画像はこの本に書いてある!」


「はっ!」


数日後、兵士やボスたちが天使の翼の情報を仕入れる。

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