レイナの兄、ユニアスに報告する
「闇ギルドが関与していたのか……」
「はい、妹に寄って既に壊滅しましたが……」
レイナの兄であるセリオナはユニアスに報告に来ていた。
「ギルドの事は余り詳しくは無いが闇ギルドなんてあったのか」
「えぇ、嫌がらせから不正の隠蔽、果ては殺人行為まで行うたちの悪い組織です。 元々はギルドから爪弾きにされた者達が集まって出来た組織で自分達を認めなかった世間への復讐、まぁ逆恨みに近いですよ」
「王都にはまだ闇ギルドは存在しているのか? しているのであれば国として取り締まりを強化しなければならないな……」
「まだ複数あります、ただ闇ギルドの依頼人は貴族もいるようなので取り締まりは難しい、と思います」
「そうなのか……、まだまだ俺は世間を知らないな」
「私も妹が冒険者になっていなかったら知りませんでしたよ。 ある意味妹には感謝しています」
「それで婚約破棄騒動の黒幕はわかったのか」
「はい、闇ギルドに依頼したのは隣国ゴネリアの王太子であるデイニズでした」
「デイニズか、あの男は我が国をやたらと目の敵にしてくるからやりかねないな、しかし隣国が関わってくるとなるとややこしい事になるな……、正式に抗議を出すと向こうがどう出てくるか……」
ゴネリアとの関係は良くもなく悪くも無い、今回の事を公にして関係が悪くなると面倒臭い事にもなる。
「……実はですね、妹は以前依頼でゴネリア王族に恩を売っているんですよ」
「えぇっ!? いつの間にっ!?」
「魔獣の被害が酷かったそうで密かに他国のギルドにも依頼を出していた様で妹が引き受けたようです。 やはりSランクは貴重な存在ですから」
「そうか……、ん?という事は……」
「既にゴネリア国には交渉しています、『デイニズ王太子が勝手にやった事で国として関わっていない、そちらの方で裁いて頂いて構わない』との書をいただきました」
「いや、動きが速すぎるだろ……」
「妹のフォローをするとなると迅速に動かないと……」
そう言うとセリオナはフッと乾いた笑みを浮かべた。
その表情で普段の彼の様子がわかったのでユニアスは苦情した。
「という事はレイナ嬢は……」
「はい、デイニズ捕縛に動いております」
本当に動きが速いな、とユニアスは内心突っ込んでいた。
この分だと本当に1か月以内に解決するだろうな、と思う。