レイナ、依頼を受ける
婚約破棄騒動から1週間が経過した頃、レイナは再び城に呼び出されていた。
「それではリキヤス王子は王位継承権は剥奪され幽閉となったのですか」
「あぁ、魅了治療も兼ねてだが治ったとしても王家に復帰する事は出来ないし1代公爵になるしかない、フィリア嬢に関しては名誉回復及びに慰謝料と新たな婚約者を紹介する事で手を打ってくれたよ」
「ユニアス様もお疲れ様でした、国王様に丸投げされてましたからね」
「『これも将来の為の経験だ』とか言って自分は面倒臭いから放り投げただけだろ……、しかし男爵令嬢の正体がレイナ嬢が所属しているギルドの受付嬢だったとはね」
「私の姿を見た瞬間、顔面蒼白で土下座してきましたからね、まぁギルド長には報告しましたから多分クビでしょうね」
「まぁ概ね事態は収束したんだが肝心の黒幕の正体が見えてこない」
「殿下の1派が仕組んだのではないか、という噂も耳に入ってきますが」
「そんな事を企んでいる事が耳に入った時点で王太子の座を辞退してるよ、実の弟を嵌めてまで王太子になろうなんて思ってない」
「流石は殿下ですわ、やはり勝負は正々堂々としていないと」
ホホホと笑うレイナにちょっと苦笑いをするユニアス。
因みにだがレイナがリキヤスをぶん殴った件に関しては『お咎め無し』の通達が既に出ている。
「それで殿下は黒幕は国内にいるのか国外にいるのかどちらのお考えで?」
「俺は国外にいる、と考えている。 我が国を乱し我が物にしようとしている輩がいる、と睨んでいる」
「それは許しがたいですわね」
「その通りだ、そこでレイナ嬢、S級冒険者としての君に頼みたい事がある」
「我が国の敵となる輩を討て、という事ですか?」
「そう考えてくれて構わない、必要な事があったら協力は勿論惜しまない」
「畏まりました、その依頼受けさせていただきます、1月で全てを明るみにしてみせますわ」
「いや、期間は決めなくても良いが……」
「いいえ、やはり解決は早くした方に越した事はございませんわ。 それに向こうが次の手を打ってくる前に行動を起こさないと」
「それもそうだな、よろしく頼む」
こうしてレイナは王家から依頼を受け行動を開始した。