レイナ、事情を聞く
王城からユニアスと共に貴族学院にやって来たレイナ。
その道中で大体の事をユニアスから聞いた。
「リキヤスの様子がおかしい、という報告は受けていたんだ、それとなしに取り巻きの者に聞いたが最近懇意にしている令嬢がいる、と。男爵令嬢で入学式の時に出会ったそうだ」
「普通は男爵令嬢が王族と話すなんて御法度ではないですか?」
「周囲も注意をしていたらしいが聞く耳を持たなかったらしい」
「殿下はリキヤス王子と直接お話する事は無かったんですか?」
「……知っているだろう? 私とリキヤスは余り良好では無いんだ」
「あぁ、時期国王の争いですね、派閥同士の諍いが起こっているとか、お父様にも話が来ております」
「……アルバート家はどちらにも付いていないと聞いているが」
「えぇ、誰が王になろうとも国に忠誠を誓っているので関係ありませんわ」
「流石だな、それでこそ『物言う公爵家』だ」
そんな会話をしつつ馬車は貴族学院に到着した。
「私はフィリア様に会います。 殿下はリキヤス王子をお願いします。 それから、念の為に近くに魔道士を配置しておいた方がよろしいか、と」
「それはどういう意味だ?」
「リキヤス王子はもしかしたら何らかの影響を受けている可能性が高いと思います。 ダンジョンでも魔術を使った罠がありますので」
「なるほど、隣室に待機させよう」
そう言ってレイナとユニアスは分かれた。
レイナは控室の一室にやって来た。
「フィリア様、レイナです。 入りますわね」
そう言って入ると中には泣き腫らした顔のフィリアがいた。
「レイナ様……、どうしてここに……」
「国王様に用があったので来ていたら殿下から話を聞きまして……、災難でしたわね」
「えぇ……、リキヤス様とは良い関係を築いていた筈なんですがどうしてこんな事に……」
そう言うとフィリアはまたボロボロと涙を流した。
レイナはそっとハンカチを出した。
「せっかくの美しい顔が台無しになってしまいますわ」
「うぅ……、ありがとうございます……」
フィリアの肩をポンポンと叩いて宥めつつレイナはリキヤスに一発お見舞いする事を固く誓った。