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放尿刑事

作者: レン太郎
掲載日:2010/04/05

 午前零時三十分──。

 冬の凍てつく寒さもなんのその。銃器密売組織の幹部の行方を追っていた俺は、犯人の目撃情報をキャッチし、ネオンままたく繁華街へと足を向かわせた。

 そして、カジノバーで女をはべらせ豪遊している犯人を発見。繁華街から入り込んだ、寂れた路地裏へと追い詰めるまでに成功した。

 さて、あとはこいつを逮捕するだけだ。


「動くな!」


 俺の相棒、44マグナムが犯人をロックオンした。すると犯人は両手を挙げ、観念した様子でゆっくりと振り向き、愛想笑いをしていた。


「へへへ旦那。そんな物騒なもの、おろしてくださいよ」


 俺のマグナムに恐れをなしたようだ。なんて素直な奴なんだ。

 だが、マグナムをおろし、手錠を出そうとした刹那の瞬間、犯人が懐に手を忍ばせた。


「き、貴様!」


 俺は慌ててマグナムを構え直し、再び犯人を捉えた。と同時に犯人の銃口も俺を捉えていた。

 犯人の銃は、トカレフ型の改造銃。恐らく台湾からの密輸品だろう。銃器密売を商売にしているだけあって、こいつもなかなか物騒なものを持ってやがる。

 立場が同等になったことにより、一気に緊張が高まる。互いにピクリとも動くことができず、吐く息が綿菓子のように、冷たい空気に溶けていく──、ただそれだけだった。


 だが、そんな渦中にありながらも、俺の下半身は大変な事態を迎えようとしていた。実は、たまらなく小便がしたくなってしまったのだ。

 ここ最近、食事もろくに取らず、ウィダーインゼリーとポカリスエットのヘビーローテーション。そういえば、最後にいつトイレに行ったか、記憶がまったくと言っていいほどない。

 俺はとうとう我慢ができず、マグナムで犯人を捉えたまま、下半身のマグナムちゃんをポロリと出してしまったのだ。

 口径が小さいので、44とまではいかない4マグナムだ。


「な、なにしやがる!」


 ここで驚いたのが犯人だ。それはそうだ、いきなりマグナムをもう一丁出されたのでは、驚かない方がどうかしてる。

 だが俺は、犯人を一点に見据え、そのままの状態で一気に放尿した。


「単なる小便だ。気にするな」


 俺がそう言うと、犯人は妙に納得した表情を浮かべていた。話しがわかる奴なのか、ただのバカなのか、今のところ謎だ。


 しかし、事態はとんでもない方向へと向かいつつあった。なんと、小便が止まらなくなってしまったのだ。こんなに出るのは、生まれて初めての経験かもしれない。

 足元にはすでに、大きな水溜まりならぬ小便溜まりができており、アンモニアを含んだ蒸気がマグナムにまとわり付き、さらにはこの寒さで蒸気が結露し、塩の結晶のようなものがキラキラと輝きはじめていた。綺麗なのだが、なんだか複雑な心境だった。


「長いな」


「まあな」


 引くに引けぬ、犯人との睨み合いは続く。


 だが、さらに事態は悪化。あまりにも小便が止まらないため、体の水分が不足し、目の前がぼやけ、立ちくらみがしてきた。

 そんな俺の様子を察した犯人は、ニヤリと並びの悪い歯を覗かせた。


 ヤバイ! 撃たれる!


 そう思った矢先、ふらついた俺の足が小便溜まりをおもいっきり踏み付けてしまい、飛び散った小便が犯人の顔を直撃した。


「き、汚ねえぞ!」


 手段が汚いのか小便が汚いのかは知らない。たぶん両方の意味だろう。

 そのおかげで、体勢を崩してしまった犯人は、俺の44マグナムの餌食となり、事件は終演を迎えることとなった。しかし4マグナムの方は、まだ放尿を続けている。

 どうやら署に戻る前に、泌尿器科に寄らなければならないようだ。



(了)


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― 新着の感想 ―
[一言] くだらなすぎていい感じ。 もう一つドラマがあるといいな。
2010/04/05 21:00 退会済み
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