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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

君の好きとは違うから

作者: 花園眠莉

 高校に入ってはじめましての人と会話するようになった6月下旬。私は久し振りに恋をした。


 私が好きになった子は中村真白なかむらましろ。同じクラスの女の子。誰にでも話しかけるような人懐っこい性格であの子の周りにはいつも誰かしらいる。人に流されそうな雰囲気だけどそんなことはなくしっかりと芯があるし、校則も全部ちゃんと守ってるし、すごく真面目で特に古文とかは予習復習忘れない。

そんな真白ちゃんは憧れの対象であり、恋愛の対象でもある。私は幸運なことに出席番号が真白ちゃんの1つ前。それで話す機会もあってお互い名前で呼び合える仲、友達なのだ。今日も席に座る時に挨拶をする。

「真白ちゃんおはよう。」友達と話していたけれど挨拶をした。私だって話したいもん。真白ちゃんはパッと私の方を見て今日も笑顔で返してくれる。

「あっ、おはよう!深雪ちゃん!」そしてまた真白ちゃんは友達と話し始める。


 チャイムが鳴って席に戻り始める人がちらほらと現れる。真白ちゃんの友達も元のクラスに戻りいつも通り話し始める。

「深雪ちゃん、今日の1時間目の授業何だっけ?」メモ帳を開いて水曜日の1時間目を見る。現国だ。

「現国だって。寝てたら起こして欲しい。」寝る予定では無いけれど文を読むとどうしようもなく眠くなってしまう。真白ちゃんは手で顔を隠しながら笑ってから返事をしてくれる。

「いいよ。じゃあ、数学の時間は私を起こしてね。あと、教えて!」国語や歴史の好きな教科は起きてるけど数学とか苦手な教科は寝てしまうらしい。

「勿論!」今日の時間割は現国、地理、数A、数1、古典、倫理。私が寝そうな授業は1、2、5、6。真白ちゃんは2、3、4。真白ちゃんは真面目だけど興味によってやる気が揺れる。そんなところもこの上なく愛おしい。


 1時間目はいつの間にか終わっていた。何度か真白ちゃんが起こしてくれた記憶はある。

「ぐっすりだったね。昨日寝るの遅かったの?」休み時間に入り話しかけてくれた。

「そんなことは無いんだけどなぁ。」話せる口実があって嬉しい。


 2時間目は2人して授業の記憶がない。ノートに書かれたミミズみたいな文字が授業に参加していたかを物語っている。私達は顔を見合わせて笑った。なぜかというとおでこが赤くなって、前髪が割れていたから。トイレで直そうって真白ちゃんと話して2人で向かう。


 「深雪ちゃんと仲良くなれてよかった。だって、こんなに笑うって思わなかったもん。」

「私も真白ちゃんと仲良くなれてよかった。こんな面白いって思わなかった。」

「やった!私達両想いじゃん!」私の手をきゅっと掴んでからその勢いでハグをされた。急なことに汗が出る。そして色んなことに焦りだす。臭くないかなとか変な反応してないかなとか。


「そうだね。」


 でもね、真白ちゃんの好きと私の好きは違うんだよ。

私の好きは恋愛の。君の好きは友情の。


 複雑な心情を抱えながら次の授業が始まるのを待つ。

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