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どこかで見たような異世界物語  作者: PIAS
第二十六章

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第761話 ダンジョン報告会 ~第二地下迷宮エリア方面~


 ルーティアの妊娠が発覚した時はなんやかやで騒ぎになったものの、その後『ジャガーノート』は予定通りダンジョンの探索を開始した。


 異邦人達によってダンジョンが発見されて以来、潜り続けている《サルカディア》のダンジョン。

 今判明している範囲内だと、まだ八か所の分岐先の探索が終わっていない。


 『ジャガーノート』は計四十人の七パーティー態勢ということで、分散しても全てを一度に探索することは出来ない。

 それに一番難度の高いと思われる本命ルートには、パーティーを二つ割り振っていた。

 なので八か所の内、六ケ所に別れて探索していくことになる。






 それから二か月が経過した。


 季節はすっかり秋から冬へと移り、寒さも増した頃。

 ジャガーキャッスル内の会議室では、『ジャガーノート』のメンバーが集まって会議をしていた。

 議題はこの二か月での探索の成果についてだ。


 なお会議に参加しているのは完全に身内だけとなっている。

 ゼンダーソン達『バスタードブルース』も、ノーチラス達『ノスタルジア』もこの会議には参加していない。

 両者ともに、今はダンジョンに潜っている途中だ。


「という訳で、会議を開始するぅ! まずは各自の探索状況の報告から頼む」


 団長である北条の号令をもって、会議が始まった。

 まずは探索状況の報告ということで、最初に声を上げたのは信也だった。


「俺達は鉱山エリア十九層から続く、第二地下迷宮エリアの探索をしている」


 第二地下迷宮エリアは今となってはなつかしい、猿の魔物が出現するエリアだ。

 最初の階層からD~Cランクの魔物が出現するとあって、ダンジョン公開からしばらくは冒険者達の手がほとんど伸びていなかったエリアだった。


 しかし今では大分高ランクの冒険者も集まっているので、こういったエリアの探索も進んではいる。

 ただし出現する魔物程度の情報ならともかく、詳細な地図の情報などはそうそう出回るものではない。


 第二地下迷宮エリアでいえば、三十七階層までの地図はギルドに金を払うことで手に入るが、それ以降の階層の地図はない。

 勿論自作の地図を所持しているパーティーやクランもいるが、その情報をギルドに売り払っていないのだ。


 これは、冒険者には意外とマッピング系スキルの所持者が少ないことにも原因がある。

 普通に冒険者が出入りするエリアなら、ギルドで地図を買うことが可能だ。

 未探索のダンジョンや、未攻略のエリアを積極的に探索でもしない限り、マッピング系のスキルは余り鍛えることが出来ない。

 結果、そういったエリアの地図情報はなかなか出回りにくい。


「一応ギルドから途中の階層までの地図を買ってはいたが、大分実際とは異なっている箇所などもあった。それらを手直ししながらだったので、探索の方は四十階層の迷宮碑(ガルストーン)に登録をした所までだ」


 四十層といえばそれなりの深さだが、まだ第二地下迷宮エリアには先がある。

 信也の報告によると、二十から二十九層にD~Cランクの魔物が。

 そして三十から三十九層にはC~Bランクの魔物が出現し、ちょっとだけ探索した四十層ではAランクの魔物も僅かに確認したという。


「ふむ……。未だ攻略者がいないと思われる第二地下迷宮エリアだが、意外とこちらも奥が深いのかもしれぬな」


 信也の報告を興味深そうに聞いているエスティルーナ。

 そんなエスティルーナは、ムルーダのパーティに加わっていた。

 今回の全体のパーティー構成は、北条、陽子、信也、シグルド、ライオット、ムルーダ、キカンスをリーダーとする七つのパーティーで編成されている。


 そして、今回は元々組んでいたパーティーメンバーをある程度ばらけさせて編成されていた。

 これまでのレイドエリアでの合同探索で、すっかりメンバー間の連携や交流も進んでいる。

 そのお陰で、試しに編成してみた新しいパーティーでも各自それなりに上手くやれていた。


「うむ。和泉には引き続き第二地下迷宮エリアの探索を頼むぞぉ。では次にムルーダの報告を聞こうかぁ」


「おう、聞いてくれ! 皆も知ってるだろーけど、おれ達は大鉱山エリアの攻略に成功したぜ!」


「つっても、オッサンの従魔の力も借りたけどな」


 ムルーダ、龍之介の順に発言が続く。

 これまでパーティー単位では組むことが無かったこの二人だが、今回はエスティルーナと共に同じパーティーに配属されている。

 そしてこのパーティーには、これまたずっと北条と同じパーティーだった楓も一緒だった。

 当初この編成を聞いた時は、らしくなく饒舌に喋りまくって反対していた楓だったが、結局は北条の説得によってムルーダパーティーへと編成されている。


「攻略っていっても、結局一層しかなかったんでしょ?」


「確かにそーだけどよ。でもそん代わりに結構広かったぜ、あそこはよお」


 ムルーダパーティーが探索していたのは、第二地下迷宮の三十三層からの分岐先。

 出現する魔物のランクがグンと上がることから、ギルドの方では注意を呼び掛けているエリアだ。


 そこはかなり広大な地下空間であるのだが、フィールドエリアのような特性も持っている。

 まずはその広さ。

 ムルーダが言うように、通常のフィールドエリアよりも広いのではないかという位、広大な空間になっているのだ。


 次に明かり。

 大鉱山エリアと名付けられたそのエリアは、広大な地下空洞のような場所で天井までの高さが百メートル以上はあるというのに、エリア全体を太陽のような光が照らしている。


 これによって辺りの風景をよく見ることも出来るのだが、この空洞内には所々に盛り上がった小山のようなものが幾つもあり、そこからは各種鉱石などが採掘できる。

 中にはミスリルなどを採掘出来たという報告もあり、かなり有用な鉱石資源が採掘できるのだが、この一層しかない広いエリアには最低でもBランクの魔物が徘徊している。

 しかもそれだけでなく、Bランクの魔物に混じってAランクやSランクの魔物まで混じっているのだ。


「それもよお。ワーム系の地中から襲ってくる厄介な奴に加え、アイアンゴーレムとかやたらと硬くてタフな奴が襲ってきやがる。団長から従魔を借りてなかったらマジきつかったぜ」


 ムルーダパーティーは実はリーダーのムルーダが一番ランクが低いのだが、実力的にはA~Sランクのパーティーだ。

 アイアンゴーレムはBランクなので、ランク的には問題ない相手に見える。

 しかし金属の体を持つゴーレム系は、まともな武器では消耗も激しいしダメージも入りにくい。


 更にAランクのマジックアイアンゴーレムは魔法にも強く、エスティルーナやケイドルヴァの魔法攻撃も効果がいまいちだった。

 とっておきはSランクのミスリルゴーレムで、物理も魔法もとにかく防御が固い。

 しかし倒すとミスリルの鉱石をドロップするので、完全無視するのももったいない。


「まー、そんなこんなで広い鉱山地帯を探索してたんだけどな。階段のあった場所から大分離れた場所にボス部屋に続く扉があったんだよ」


「そーそー。んでもって、その奥にはクソでかいワームがいてよ。いやー、あれはマジでかすぎ君だったぜ」


「なあ? だよな。あんなデケーミミズがいるとはたまげたぜ」


 肝心のボスについて唯々でかいとしか言えないボキャ貧な二人に代わり、エスティルーナが補足説明をする。


「私も実際に見るのは初めてだったが、大鉱山エリアのボスはSランクのグランドワームだった。元々大きな体をしている魔物だが、守護者(ガーディアン)だけあって更に体が大きかったんだろう。体が大きいのとタフだったくらいで、特殊な攻撃はしてこなかったのが幸いだった」


「広さと出現する魔物のせいで探索には苦労したようだがぁ、ボス部屋の場所さえ分かっていれば、エリア攻略自体はそう難しくもないってことかぁ」


「でもしょーじきあのエリアはしんどいぜ、オッサン。やたらとタフな奴らが多いっからよお」


「それなら一旦全員でボス部屋の前まで行って、そこからパーティーごとに別れてボスを倒せばいいんじゃないか?」


 パーティー単位で行動する理由は経験値の問題もあるのだが、何より通常のエリアはそこまで通路が広く取られていないためだ。

 しかし今の話を聞く限り、大鉱山エリアなら一層だけだし集団行動で一気に突破という信也の意見は理にかなっている。

 エリア攻略を目指すという点においては。


「そうだなぁ。和泉のいうように、この会議が終わったあとは全員で行ってみっかぁ?」


 北条も信也の意見には満更でもないようだ。


「それっておれ達も行くのか?」


「勿論だぁ。案内は頼むぞぉ」


「げぇ、マジかぁ」


 嫌そうな表情をするムルーダだが、メンバー全員で向かえば突破は容易いだろう。

 ここで信也に続いてムルーダの報告が終わり、次はシグルドパーティーの報告の番となった。


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