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どこかで見たような異世界物語  作者: PIAS
第二十一章

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第610話 千年迷宮 攻略開始


「ふう、なかなか厄介な相手だったな」


 信也がドロップを回収しながら、先ほどまでの戦闘を振り返る。


 『千年迷宮』に挑むに当たり、『ジャガーノート』は二つのグループに分けて攻略を行っていた。

 そしてエリアを攻略し終わったら先に戻ってきた方が転移部屋で待機し、合流を果たした後に今度は探索エリアを入れ替えて攻略を行う。


 そうした体制で既にこのダンジョンに潜り始めて、一か月程が経過している。

 信也達が戦っていたのは、魔法生物エリアの先に待ち構えていた最終守護者(ラストガーディアン)、キャスリングゴーレムだった。


 このゴーレムは切れ味に定評のある金属、〈キャスリング鋼〉で構成されたゴーレムであり、全身のあちらこちらが鋭利な刃物のようになっているという、打撃だけでなく斬撃属性の攻撃もしてくるゴーレムだった。


「そうっすね。体中がキレッキレだったから、ちょっと攻撃しにくかったっす」


 由里香は今は爪系の装備で戦っているとはいえ、剣や槍と比べると射程が短く至近距離まで接近しないといけないので、このような全身凶器のような相手は戦いにくい。


「それに~、北条さんが言ってた通りとっても頑丈だったから疲れました~」


 そう言いながらも息を乱している程ではない芽衣。

 芽衣自身も近接で戦える能力はあるが、今回は召喚や魔法メインで戦っていた為、体力的な消耗が少なかったのだ。


 このルートはすでに北条らのグループが先に攻略していたので、信也達も情報は既に伺っていた。

 一つのグループといっても複数のパーティーで構成されているので、その分ボスの情報も蓄積されて増える。


 それらの情報で、ここの最終守護者(ラストガーディアン)にはAランクのゴーレムが出る事が分かっていた。

 シュトライルゴーレムやアーダルゴーレムなど、武具用の金属としては鉄よりグレードが少し高い金属系統のゴーレムがランダムで選ばれるらしい。

 ちなみに鉄で出来たアイアンゴーレムは、Bランクの魔物となる。


 そして肝心な最終守護者(ラストガーディアン)としての特性だが、雑魚が一緒に呼び出されるとか特殊なスキルを持っているとか、そういった類のものではなかった。

 どうやらどの金属のゴーレムが出た時も基本同じ仕様なようで、とにかく硬くてタフ! という、元々ゴーレムが持っている特性を更に引き上げるものだったのだ。


 元々最終守護者(ラストガーディアン)としてHPがかなり引き上げられていた所に、特性で防御力とHPが更に引き上げられていたので、信也の言うように本当に厄介な相手だったと言える。



「ゴーレムはいまいち魔法の効き目もよくないし、私ら魔術師からしたらボスとして出現した場合、天敵とも言えるな」


「あはは。ヴェンも少しは近接を身に付けたら?」


「私には最低限の"護身術"などの戦闘スキルだけで十分だ。ファルみたいに若くはないので今更始めてもな」


 今回のキャスリングゴーレム戦では、戦闘時間が三時間以上にも及んでいる。

 元々前衛でも戦っていたファエルモだが、『ジャガーノート』に入ってからはメアリーを目標に、戦って癒せる神官戦士を目指していた。

 ヴェナンド相手に軽口を叩いてはいたが、今回も積極的に前衛としても戦っていたので、スタミナ的にはかなり限界に近い。


「さあ、話をするのもいいが、ドロップを回収して祝福を受けて、さっさと転移部屋に戻ろう」


 二つのグループに分かれて行動していた『ジャガーノート』だが、この魔法生物エリアの最終守護者(ラストガーディアン)は信也達のパーティーがラストだった。

 シグルド達など他のパーティーともボス部屋前までは一緒に探索していたが、今頃は転移部屋で休んでいる頃だろう。


 信也もメインタンクとしてかなり疲労は溜まっていたが、休むなら転移部屋でゆっくりと休みたい所だ。

 疲れた体を押し、ボスのドロップを回収して他のメンバーと共に先へと進む。


 『ジャガーノート』では今七つのパーティーが編成されているので、この厄介なゴーレムボスを七回倒した計算になる。

 これらゴーレムボスは、それぞれの構成された金属のインゴットを大量にドロップするので、素材の確保にはもってこいだ。


 更に、今回は〈ゴーレムの核〉を二つドロップしたので、北条としても満足の結果だった。

 もっとも、他のメンバーはあの耐久ゴーレムバトルはもうこりごりといった様子だったのだが……。


 その後、ドロップの回収も終わり、祝福を受けた信也達は魔法陣から転移部屋へと飛んでいく。

 その先では、先にゴーレムを倒していたシグルドらのパーティーの他に、別グループで行動していた北条らも勢揃いしている。



「おい? まただぜ」


「あいつら、クランで行動してるみてーだけど、次々とエリア攻略してやがるぞ」


「相当腕利きの奴らなんだろうな」


 転移部屋内にいる冒険者達の囁く声が、あちらこちらから聞こえてくる。

 全員無事に合流を果たした『ジャガーノート』は、周囲の他の冒険者達からの注目を浴びながらも、休息を取るのだった。







▽△▽△▽



 『千年迷宮』は全層が石造りの迷宮タイプで、エリアによっては無灯火で真っ暗なエリアがあったり罠が配置されていたりと、RPG的にいえばオーソドックスな迷宮と言える。

 名称に千年とついていて歴史が古そうにも思えるが、実際にダンジョンが発見されたのはそこまで古くはない。


 とはいえ、発見から数百年が経過している事は事実であるし、転移部屋には迷宮碑(ガルストーン)が三つ配置され部屋自体もかなり広いので、それなりの規模のダンジョンという扱いになる。


 現在確認されているルートは五つ。

 ダンジョンが発見された当初は、祝福されていたとはいえ十五層程度のエリアが一つしかない、小規模なダンジョンだったらしい。

 しかしそれからの長い年月の間に、ダンジョンはメキメキと成長を遂げている。

 これは他のダンジョンに比べても相当早いペースだ。


 だがとある時期からダンジョンに変化が訪れた。

 一時期全くダンジョンの成長が止まった時期があったのだ。

 当時の最深部は、ゴーレムなどの魔法生物が多く出現するエリアで、最終守護者(ラストガーディアン)としてAランクの魔物が配置されていた。

 『ジャガーノート』の面々でもヒィヒィ言いながら倒していた、あのゴーレムのボスだ。


 その状態は長く続いていたのだが、ある日冒険者が全く別のルートに新しいルートを発見した。

 途中までは既存のルートだったので、新しいルートの発見に冒険者たちはこの新ルートへと群がる。

 だがそれはほんの最初の頃だけだった。


 その新ルートは不死者が出現するエリアとなっていて、灯りもない無灯火エリアである事から挑む者が徐々に減っていったのだ。

 しかも、最初の階層こそCランクの魔物しか出現しないものの、階層を二つ下ると出現する魔物のランクが一つ上がる。

 四層も下るとAランクの魔物が徘徊するようになるという、他のダンジョンでも余り類を見ないエリア構成になっていた。


 それでも歴史が長いだけあって、Aランクの魔物が出る層から更に下の階層へと挑んだ冒険者もいる。

 その多くは帰らぬ者となっていたが、とあるパーティーが死者を出しながらも逃げ帰る事が成功し、情報を持ち帰った事があった。


 彼らは言った。

 不死者エリア三十八層からはSランクの魔物が出現する……と。





「――という訳でだなぁ、休息を終えたらパーティーメンバーを絞って不死者エリアへのアタックを行う」


 転移部屋の中に間仕切りなどがある訳もなく、聞き耳を立てている冒険者もいたので、北条は周囲に【遮音結界】を張ってから今後の予定についてを告げる。


「今回も水竜洞窟の時みてーに、パーティー単体で向かうって事か」


「いやぁ、今回はふたつのパーティーで向かおうと思う」


「へぇ、ちなみにどういう風に振り分けるつもりなんだい?」


「それはぁ……」


 シグルドの質問に北条が答えていく。

 北条の挙げた出撃メンバーは、自身を含む異邦人たち九人とボルド、エスティルーナ。そして盗賊役としてAランクのンシアの名を挙げた。


 異邦人達は、北条以外の面子も既に全員がAランク基準レベルに達している。

 その上、全員の『異界の来訪者』の称号が新しい称号へと変化し、それによって各々の能力が更に強化されていた。


 レベル的にも『リノイの果てなき地平』のレベルに追いついてきており、実質的な能力でいえばすでに上回っているほどだ。

 確かに現状で戦力的に二つのパーティーを選出するなら、この人選は納得できるものだろう。


「そうかぁ……。僕達も大分強くなったつもりだけど、Sランクの魔物が徘徊してるとなると仕方ないね」


「フンッ、ならワシらはワシらで、その間魔法生物エリア辺りでレベル上げでもしておこうじゃないか」


「そうさね。立ち止まったらそこまでになっちまうからね」


「アンデッド相手なら、ケイドルヴァの火炎の妙技が活躍出来たのに残念だよ。でもガルドの言う通り、今がダメでも次があるさ」


 《水竜洞窟》の時同様に、探索メンバーから外されたリノイの面々は不服そうな声を上げながらも、前向きな声が飛び交う。


「スマンなぁ。元々ここの不死者エリアは探索する予定じゃなかったんだがぁ、ノーチラスの奴が言っていた事が気になってなぁ」


 ノーチラスは内緒話をした時に、運が良ければ『千年迷宮』でジャファー本人と出会えるような事を言っていた。

 その事は『ノスタルジア』と別れた後に、改めてその時話を聞いていなかったメンバーにも情報共有している。


 しかしこれまで『千年迷宮』を探索してきたが、それらしき人物は一切見かけていない。

 ダンジョン周りの人たちや、転移部屋で屯してる冒険者にも話は聞いて回ったが、ジャファーが出現するなんていう話は噂話ですら聞けなかった。


「まあ、聞くところによると二層ごとに魔物の強さが上がっていくみたいだから、探索そのものにそこまで時間は取られないと思う」


 北条達異邦人からすると、ジャファーは実際に話を伺えるかもしれない稀人だ。

 今は余り時間を無駄に出来ないが、不死者エリアもかつて挑んでいた冒険者がいたので、三十六層までの地図はギルドから入手してある。

 元々探索スピードの速い北条達なら、それほどの時間のロスにはならないだろう。



 それからしばらく休息を挟み、ゴーレム戦の疲れを癒した信也達。

 不死者エリアへはまず、無灯火エリアの二十八層にある迷宮碑(ガルストーン)まで転移する。

 そこから更に三層下りた三十一層に、不死者エリアへ分岐する隠し扉があった。

 休息を終え準備を整えた北条は、選抜されたメンバーと共に『千年迷宮』の奥深く、不死者エリアへと向け出発した。



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