1/8
◇プロローグ
──────とある病棟。
ここには、ある患者達が入院していた。
患者達は皆、成年に達していない少年少女達。
ここの病棟には、医者である大人達を除いた大人は存在しない。
そして、この患者達は全員、奇妙な病を患っていた。
嘘をつくと紅い花を吐き出す者。人間であると言うのに、背から翼がはえてくる者。
僅かな光にでも当たると火傷を負う者。反対に、僅かな闇にでも当たると火傷を負う者など、患者によって症状が違う病。
数年前に突如現れた為に治療法は見つからず、患者達は病気の研究と治療の為に一切病棟の外には出てはいけない。
そして、この奇妙な病を担当する医者達は、これらの病を纏めて「綺病」と命名した。
奇妙で、何処か美しく残酷な病。
今の所、この綺病にかかった者は死を待つのみ。
そんな事を少年少女達は知らず、治療に明け暮れる日々。
これは、そんな綺病を患った患者達の日常の物語。
平和で、時に残酷な物語──────────
「────いつになったら、この病気はなおるのかな……?」