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修練

天狗はその日から様々な戦い方を遮那王に教えてくれた。相手は天狗一人である時もあり、その天狗よりは身の小さな天狗が数人、混ざることもあった。得物もその時によって変わる。剣術の稽古であったり、弓であったり、槍であったり。時に木々の間を跳ぶことを教え、時に身の隠し方、息の殺し方を教えた。それは、ある意味、遮那王に合う戦い方を探しているようでもあった。下手に的を絞らず、様々な技法、状況、得物を学ばせる、経験させることは、飽かず鍛錬を積むのにも有効であった。

 遮那王にとっても、それは空虚であった心を満たす、大切な時間になっていた。単調な寺での生活で、天狗と過ごす時間だけが素の自分で生きて居られた。武士の子であると言われ、初めて心に差した光が、じわじわと身の内に広がりを見せるようだった。

 遮那王にとって天狗の存在は、閉じられた空間に吹く、清し風であった。身軽な遮那王はその風を追い、風に乗って飛ぶ。それを天狗は満足気に見ていた。

 広く様々なものを与えた所為か、遮那王は心の赴くままに多方面に興味を示した。時にそれは武芸の枠を超え、文芸や政にも及んだが天狗はそれに出来うる限りで応えた。その姿勢は、九郎の心に信頼を呼び、天狗の心に喜びを生んだ。師弟は、深い絆を持った。


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