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「……あれから、どれほどになる」

大天狗は秀衡に問いかけた。

 二人は濡れ縁で月を肴に酒を酌み交わしていた。

 秀衡は白い小袖を着ている。その上に一枚着物を羽織っている。肌の色が、その小袖に負けないくらい白い。

 彼はここしばらく病に伏していた。今夜はそれをおして縁に出ていた。止める者もあった。だが、今日は調子がいいからと譲らなかった。大天狗と盃を交わすことを、家の者が知っていたわけでは無い。秀衡はただ、酒と盃を用意するように言っただけだ。それでも、普段物静かな秀衡の、頑固な様子に何かを感じたのか、反対するものは口を噤んだ。

「さぁ、なぁ……そも、大天狗様の言われる、あれ、と、言うのが、どれに当てはまるのやら見当もつきませぬ……」

「そうさな。様々な事が在り過ぎた、か」

「まこと」

二人は遠くを見つめた。


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