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内側

「しらおと……どの……」

さすがの九郎も驚いてへたり込んでしまった。白乙が人間でない事は分かっていたが、これほど大きな蛇であるとは思わなかったのだ。

「お逃げにならないとは、さすが大天狗様に認められたお方」

ぬるり、と、鱗を光らせて、白い大蛇が九郎に顔を寄せた。

 正直に言えば、逃げなかったのではない。そもそも逃げられないのだ。このような洞穴でどこに逃げる場所があるのか。

 しかし、九郎は自分が咄嗟に逃げるという行為を取らなかった事を幸いに思った。もし逃げて居たら後悔しただろう。

(私はやるべきことがあって白乙殿に会った。そして、ここに来た。逃げるわけにはいかない)

「驚かぬわけではございませぬ。正直、驚きました。ですが、それが白乙殿の真実の姿であるならば、お見せ頂いたこと、有り難く」

九郎はそう言って立ち上がり、真っ直ぐに白乙を見た。白乙は少しばかり首を引いて、九郎から頭を離した。

「……九郎殿に仔細を分かって頂くため、この姿を知ってもらわねばなりませんでした。最初に人の姿を借りたのは、驚かせないため」

「それは、ゆきのか様や秀衡様をも驚かせぬよう、ということでしょうか。つまり、お二人も知らぬことにございまするか?」

九郎が聞くと、白乙は小さく首を横に振った。

「秀衡殿には確かに気遣いを致しましたが、ゆきのか殿は巫女であります故、ごまかしなど効きませぬ。まして、奥の天狗様に縁の方であれば、尚更物事の本質を見ておられましょう」

「ゆきのか殿は此度の仔細を存じておられると」

「はい」

「奥の大天狗様も、ということですね」

「無論」

全ては、お膳立てされたこと。導きの内のこと。九郎は静かに大きく息をして、心を落ち着かせた。そうであれば、ここからが重要であるはずなのだ。

(何が来ても、越えて見せる)

心の中でそう言って、九郎は仄かに笑みを浮かべた。

「では、お聞き致しましょう」

「はい」

白乙は短く返事をして、ゆっくりと話し始めた。


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