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水花

 その日、九郎が目覚めると、枕元に一通の文が置いてあった。野花の添えられたそれは、ゆかしく香も焚き染めてあった。

 時節は春。長き冬を越し、全ての命が大きく背伸びをする季節。草木のみならず、動物達も、そして、人間でさえも、心が浮き立つのを最も強く感じるのは、この季節ではないだろうか。

 それは、その季節の到来が、時に人の世における試練の終わりを意味するからかもしれない。

 辛い時が長く続いたとしても、必ず、南風が春を連れて来る。春告げ鳥が鳴けば、もうそこまで。芽吹く時が来ているのだと。

 

 九郎は身支度を終えると文に目を通した。花は小さな花器に活けた。余力で生きる儚さは、可憐な野花を一層美しく見せた。



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